53.
ジレットとの関係は壊れたが、その直後から、色々揉めていた頃にたまに話を聞いてくれていたジレットの兄で長男であるチョーゼットからアプローチを受けるようになる。
そして。
「もう婚約書類作成して提出しておいたからな」
「ええっ!!」
まさかの展開になっていく。
こ、これは……完全に巻き込まれている……。
「俺は君を絶対に愛するからな」
「えええ……」
「ジレットよりましだろ?」
「それは……まぁ、そう、ですが……」
チョーゼットはジレットとはまた別の意味でややこしい男性であった。
だがその彼はある時急に意識を喪失しそのまま死へと至ってしまうこととなる。
「チョーゼットくん意識不明のまま亡くなったんですって」
「ええーっ、気持ち悪い」
「感染症? 持病? 理解不能ね……」
「そんなことってあるものかしら。聞いたことがないけれど。もしかして……何かの呪いとか……?」
「非現実的ねぇ」
「でも……確かにちょっと変だよね」
「それな」
チョーゼットの死により、私と彼の婚約はほぼ自動的に破棄となった。
「あの兄弟呪われてるの?」
「代々悪いことしすぎじゃない?」
「それな! ありそ!」
「おかしなことってあるものねぇ」
「謎すぎる……」




