45.
私はまた生まれ変わった。
今度は資産も歴史もある良き家の長女であった。
名は、フローリニアという。
両親や親戚には大層可愛がられていた。
だがその先に幸せな未来が待っているわけではなかった。
……やはり私はまた婚約破棄とざまぁのループへと巻き込まれてゆくのだ。
◆
フローリニアの一人目の婚約者である彼はルーベズルトンという五つ年上の男性であった。
彼はお金持ちだ。
経済的な意味では彼との縁はそれなりに良い縁だった。
だが彼は非常に女好き。ことあるごとに自室に女を連れ込むような人であり、また、そのことを悪いこととはまったくもって思っていないような人。しかもかなり深い関係にまで発展している関係も多いからさらにどうしようもない。
そんな彼の悪行には一応まだ黙っておいていたのだが。
「フローリニア、君との婚約は破棄だ」
ある日ついにそう言われてしまうことに。
「君なんかよりずっと条件の良い女性が見つかった、だから、関係はここまでとしようじゃないか。……さよなら」
こうして私は捨てられたのだった。
だが、その時言っていた女性と結婚した彼は、ある日突然行方不明に。
そして後に彼の家の近くに位置する山の奥にて内臓を抜かれた状態で発見されたそうだ。
もちろん彼は発見時既に亡き人となっていたらしい。




