43.
「リーターちゃんっ、お出掛けしない?」
最近知り合った親友ルルはたびたびお出掛けのお誘いにやって来てくれる。
栗色の髪が可愛らしい娘だ。
「お誘いありがとう」
「やた! じゃ、行こ~う。んん~、どこ行こっか? あはは、楽しみだねっ」
彼女のことは好きなのだが……、先日できた婚約者ロペースに関しては心が重いことばかりだ。
ロペースは高圧的な人。そして私を見るとやたらと無礼な言葉を並べてくる。彼の発言や身振りにはいつも私を貶める意思が含まれているのだ。
愛してくれなんて言わない。
ただ普通に関わってくれればそれでいいのだというのに。
それなのに彼は、私に酷いことばかりする。
「アイス食べよ!」
「あ、ええ」
「リタちゃんアイス嫌い?」
「いいえ。好きよ。大好き」
「そ! なら良かった! じゃ、行こ~う」
◆
あれから半年、ロペースとの関係は終わった。
おかげで今は悩みが一つもない。
生きていて、暮らしていて、楽しいことばかりだ。
ロペースは放置していたら勝手に婚約破棄通知を送ってきた。
そして私はそれを受け入れる。
それにより私たちの関係はあっさりと終わりを迎えることとなった。
ちなみにロペースはというと、婚約破棄後間もなく、山登り中に遭難し一人寂しく凍死してしまったそうだ。
「リタちゃん! クッキー持ってきた! 食~べよっ」
「えっ、いいの!? ありがとう!」
「やった~、喜んでもらえたら嬉しい~」
「手作りだよっ」
「え、うそ、ほんとに!? ルルが作ったの!?」
「うん! そうそう! 作ったんだ~、自信作だよっ」




