33.
「今日いい天気だね」
「うん」
「フィリーナ、最近調子はどう?」
「まぁ……普通、かな。婚約したり婚約破棄されたりしてる感じ」
「まだやってんのかー」
私はエリザベスと定期的に会って遊んでいる。
とにかくドライな彼女と過ごす時間はいろんな意味で気が楽なので好きだ。
……それに、彼女との未来には婚約破棄も待っていないし、ね。
「今は? 婚約者いるの?」
「うん、いる」
「へー。どんな人? ちょっと聞いていーかな」
「普通の人。隣町に住んでいて、一応仕事もしてるみたいだし、まぁあまり知らない人なんだけど……」
「ふーん、大丈夫そ?」
「うん今のところ。特に何も起こってはない感じ」
そんな風にして自宅でエリザベスと遊んでいた時、だ。
「おい! 開けろ! 開けろや! はよ! おせぇ! さっさと開けろ! 開けろ! 開けろ開けろ開けろ開けろ開けろや!」
玄関の方から叫び声が聞こえた。
何かと思ってそちらへ足を進めると、そこには婚約者の姿が。
「……どうされました?」
扉を開けた、刹那。
「お前ええええ! 何してんだああああ! 自宅で女と遊んでるとは愚かなああああ! 婚約者を放置するなどおおぉぉぉ! お前はくずかああぁぁぁぁ!」
殴りかかってくる。
……だが。
「アポラ・アポクラテス・リリハラリアル・ミゼラ・ニタス・ニホカストラス・リアルレストレス・アポ!!」
後ろから追ってきてくれていたエリザベスが唱えた。
すると殴りかかろうとしてきていた婚約者の彼は突如泡を吹いて倒れる。
「ふー」
「エリザベス!」
彼女の術はさすがの効果だ。
いつも私を救ってくれる。
「大丈夫だった? フィリーナ」
「うん、ありがとう」
「軽い気持ちで開けちゃ駄目だよ」
「……ごめん」
「ま、分かればいい! それに! とにかく無事で良かった良かった!」
婚約者は亡くなった。
そのため婚約は自動的に破棄となった。




