30.
「お前との婚約なんかもうどうでもいい……よって、婚約は破棄とする!!」
婚約者ミドラーは突然婚約の破棄を告げてきた。
ちょうど友人エリザベスと一緒にいる時に彼は現れた。
そして関係の終わりを告げてきたのだった。
「どうして……そんな、急な……」
「フィリーナさ、だってダサいだろ? ぱっとしねぇし、奉仕の心もねぇし……面白くねぇんだよな一緒にいて」
「それが……婚約破棄の理由ですか?」
「ああそうだよ。ダサくても奉仕の心があればまだいいんだけどな、それすらねぇとなったらもう利用価値皆無なんだよな。一緒にいる意味がないっていうか何というか、って感じなんだよな」
刹那、エリザベスが口を開く。
「あのさぁ! アンタ、フィリーナのこと何だと思ってんの?」
「……え」
「フィリーナは奴隷じゃないんだよ? なのに奉仕の心とか何とか、アンタ間違ってるよ!」
「う、う……うるさいな!! 何だよ急にッ!!」
反抗的な態度を取るミドラーを見たエリザベスは右手を素早く前へ突き出す。
「アポラ・アポクラテス・リリハラリアル・ミゼラ・ニタス・ニホカストラス・リアルレストレス・アポ!!」
彼女が冷たくも力強い声で唱えると、その真正面に立っているミドラーに雷が落ちた。
彼は一瞬にしてこの世を去ることとなってしまった。




