27-1.
「俺たちさぁ、きっと上手くいくと思わね?」
「思いません」
「っ、はぁ~? 何でだよぉ~。ぜ~ってぇナイスな関係になれると思ったのによぉ~っ」
「放っておいてください」
親の仕事の関係で知り合った男レーベライにやたらと絡まれるようになってしまった。
「やぁ! また会えて嬉しいゾ!」
「私は嬉しくないです」
「っ、はぁ~? 何でだよぉ~! おいおいおいおいぃ~!」
「やめてください」
「連れねぇなぁ」
「あなたとはあまり関わりたくないのです」
一度目をつけられると困ったもので、やたらと追いかけ回されてしまう。出会うたびに声をかけられるのはもちろんのこと、わざわざ私の居場所を調べて会いに来るなんてこともあるから厄介だ。
「なぁなぁ、俺と一緒になろうぜ」
「お断りしましたよね!」
「あれは照れてただけだろぉ~?」
「本心です!」
「まったまたぁ~」
どれだけ思いを発したとしてもレーベライはまったくもって理解してくれない。
それが、もう、もう……とにかく面倒臭い!
そんなことを続けているうちに親に勝手に話を回されて、気づけば私はレーベライと婚約させられてしまっていた。
な、な、な……なんてことだああぁぁぁぁぁッ!!
そんな風に叫びたくなったほどであった。
まさかここまで上手くやられてしまうとは。
さすがにそれは想定していなかった。
そうして私はレーベライと婚約者同士になったのであった。
……だがそれもそう長くは続かず。
「ごめん、やっぱ、上手くいきそうにねぇわ」
「え」
「てなわけで、婚約は破棄とすることにしたんだ」
「えええー……」
私の気持ちなど少しも汲まずあそこまでのことをしておいて、少し気が変わったらこんなにさらりと捨てるのか。
なんて無責任な人なのだろう……。
「あと、もっと良い人が見つかったことも大きな理由なんだ」
もう呆れきってしまった。
怒る気力すらない、というような心の状態だ。




