25.
エリーミネはのんびりとお茶をしながら生きて亡くなった。
それなりに悪くない人生だった。
そして私はまた生まれ変わる。
婚約破棄とざまぁの無限の繰り返し、これから逃れることはまだできそうにない。
私は一体どうすれば良いのだろう……。
そんなことを思っているうちに、私はまた転生する。
◆
「おはよう」
「あ、おはようございます」
そこそこ歴史ある家の娘であるフィリーナに生まれた私には美男子な婚約者がいる。
彼の名はリクル。
爽やかで整った容姿の人物である。
「元気かい?」
「お気遣いありがとうございます」
「良かったらさ、今度お出掛けしないかい?」
「あ、はい、構いませんよ」
リクルとの関係はそれほど悪いものではなかった……が。
「ごめんね。君との婚約だけど、破棄することにしたんだ」
ある冬の日についに終わりを告げられてしまう。
「婚約破棄……どうして、ですか……?」
「君のことは嫌いじゃないんだ。でももっと好きな人ができたんだ。しかもその彼女、とっても条件がいいんだ。だから、さ。君よりそっちの女性を選ぶことにしたんだよ」
「条件……」
「酷いことを言ってごめん。でも自分が幸せになるためなんだ、許して。……じゃあね、さよなら」
終わりは突然やって来た。
あっという間に崩れ去ってゆく、二人の関係。
ああ、また、終わってゆく……。
その後リクルは言っていた女性と婚約しつつ実家に残って暮らしていたようだが、春になって間もない頃のある日家に隕石の欠片が落ち、それに巻き込まれたことで落命した。




