18.
伯母の紹介で婚約することとなった私たちは最初からあまり気が合わずすれ違ったり喧嘩になったりすることが多かった。
そんな状態だったから、関係が長続きするはずもなくて。
「エリーミネ! お前なんか要らねぇ! 婚約は破棄だ!」
婚約から三ヶ月も経たないうちに関係は壊れることとなってしまった。
「お前みたいな女はなぁ! 路上で泥水啜って生きていきゃそれでいいんだよ! てか、それが相応しいんだ! 良い男と結婚しようだなんて考えるな。そんなのは都合が良すぎる考えだ! 貧民街にでも行って、汚ねぇ男に奉仕しとけや!」
彼は常に私を見下している。
だから最後の日であるこの日もボロクソに言ってきた。
くだらないなぁ、なんて思いながら、顔を真っ赤にして暴言を並べる彼をぼんやりと眺めておいた。
「じゃあな」
「さようなら」
私たちにはきっと仲良くなれる未来はなかったのだろう。
喧嘩する、不仲になる、それが定めだったのだと思う。
で、彼のその後だが。
彼は私との婚約を破棄してすぐ別の女性と婚約したようだが、その女性の借金の肩代わりをさせられることとなり、かなりの額を失うこととなってしまったそうだ。