First.
あー、電車出ちゃった。
ドンッ
「きゃあ!」
「わ?!」
階段を走って上ってきた女の子にぶつかって、互いにその場に崩れる。
瞬間、駅のの階段に教科書やポーチ、ピンクのペンケース…といった
いかにも女子らしいのカバンの中身と俺の教科書たちが水のように雪崩れ落ちていった。
「ごめん、大丈夫?」
同じ制服…天学の生徒だ。
自ら起き上がり声をかけると「いててー」と彼女も顔をあげた。
「私こそごめんなさい!ってあれ、福士くんだー!」
「あ、有末さん」
「ごめんね、拾おっか。」
彼女の教科書を拾い上げ、渡す。
そして彼女も俺の教科書を拾うと、俺に渡した。
「ごめんねー。」を繰り返しているが、何故か楽しそうに広い集めている。
同じクラスの有末さんは、クラスメイトだけど話しかけられれば返事を返す程度の仲だ。
彼女は明るく、人なつっこい性格らしくクラスでは皆に可愛がられている。
背がちっちゃくて、顔もそこそこながら男子にも人気があるみたいで
俺にはわからないが周りの奴らが可愛い可愛いと騒ぐ中の1人でもある。
「ふぅー!でも電車行ったあとで人が居なくて良かったね!」
「そうだね。」
電車が出た後の静かな駅のホームに、2人の会話が響く。
ベンチに2人座るのは気がひけて、俺は隣の柱にもたれていた。
「…なんで逆走してたの。」
「え?あー、ちょっと用事があったんだけど…でももういいや。
福士君は電車乗り遅れちゃったの?」
彼女は携帯の時間を見てから、こっちを向いた。
目が合うが、思わず目をそらし白い飛行機雲に視線を向ける。
そういえば、教科書を拾っている間も何度か携帯を確認していたから
誰かと約束していたのかもしれない。
「…まぁ。」
「