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君が咲いた
宵闇 桜吹雪 土手沿いの道に君の白い影
君は 後ろから見つめられることが嫌いだと言った
後ろ姿は淋しそうに見えるからと
君は 微笑んだ
僕は 恋に落ちた
春爛漫 君が咲いた 水面は花吹雪 柔らかな風
五月雨 碧色 バスの車窓に映る君の横顔
山吹色の傘から ポツリ落ちて床に滲む滴
君は 白い指先を薔薇の唇に近づける
君は 微笑んだ
僕は 君に堕ちた
茅花流し 君が咲いた 風に薫る踊子草 胸騒ぎ
青空 入道雲 向日葵の映る水たまり
君は 僕の肩を使って脱げかけたサンダルを直した
僕は案山子で 君は悪戯な白鷺
君は 微笑んだ
僕は 心が痛かった
初夏の残光 君が咲いた 紫陽花 花菖蒲 グラジオラス
読んでいただきありがとうございました。
特に全部の詩を読んでいただけたという奇特な方には深く感謝いたします。
最後は(おそらく)結婚10年目くらいの春にバルコニーで寝っ転がって作った詩です。
俳句か短歌を作ろうと思ってモゾモゾやっていたら、こうなりました。
残念です。