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輝く世界を旅して  作者: 藍川秋馬
王都までの道のり
6/13

港街


 見かけない魔石を発見した。魔力レベルは1〜2だけど見たことがない。


「魔水晶とは違って透き通ってないな・・・」

「それは結晶とかっていう奴だろ?」

「結晶?」


 顔を見合わせて同じように首を傾げる。


「え、いやこれ大地の結晶だろ。魔石の一種だけど魔水晶よりもよく採れるから最近はこっちばっかりって」

「え?じゃあ僕が持つこれは?」

 

 レア度の高い魔石だろうとリオンに言われて魔水晶って珍しいんだと気づく。


「もらって帰ろ」

「あっちにも大地の結晶があるぞ」

「なんでリオンはわかるの?測定できてる?」


 あ?とちょっと柄が悪いが魔導書から鎌を取り出して地面に柄を突き刺す。


「この武器がちょっと変わっててよぉ。これ持ってから魔力持ったやつの判断ができるんだよ」

「なるほど。なんらかの魔法がかかってるのかな。大地の結晶ってぱっと見土の塊だから」

「まぁそうだよなぁ俺もわからなかったら探さねぇし」


 大地の結晶を拾っていると突然洞窟が揺れる。


 リオンが鎌を振って巨大な岩を砕いたのだがその砕かれた岩からキラリと光る何かが見える。


「待ってリオン!ここも壊して!」

「ん?おう!」


 次々に岩を砕いていくリオン。今まで魔石集めをしていたから特に拾うようなことはなかったのだがこれはとつまみ上げる。

 赤い宝石、ルビーだ!


「リオンリオンリオン!!その赤いやつと銀色のやつを拾い集めて!」

「聞こえてるから何度も呼ばなくてもいいっての!!!」



 拾い集めた宝石と交換でお金をもらったリオン。


「拾っただけだぞ?」

「拾ってもらったんだよ。こういうのはちゃんとやれっておじさんにも言われてるから」


 そんなもんなのかと理解してなさそうだがそれをちゃんと魔法書に入れて洞窟を後にする。








 街を出て辿り着いたのは海の街。たくさんの船が行き交う街に物珍しげに眺める二人。


「ここで何すんだ?」

「話によるとここには仕立て屋さんがたくさんいるから服とか布とか買おうと思って」

「強い奴はいるのか?」


 それは待ってと自分よりも背の高いリオンを止めるため腕を掴む。ここは夜も賑わうと聞いているから流石に生死を伴う戦いはやめた方がいい。


「リオンの服も買うの!ちゃんとした服と靴だったら今以上に動きやすいし王都に行ったら紹介できる強い人がいるから極力自分の命が脅かされる状況じゃない限り戦わないって僕と約束して!」

「それもそうか。じゃあいくぞ」


 適当な店に入ってシンプルな服を買う。靴の店も教えてもらって魔法が付与されたものもあるらしく少しお高い買い物をしてから。


「腹へった」


 だろうねと腹の虫が鳴っているリオンと一緒に市場へと足を運ぶ。海鮮物が多い街だと横目に見つつ嗅覚が鋭いらしいリオンに連れられてやってきたのはパン屋。


「パン好きなの?」

「ソアレがくれた奴がうまかった」

「あぁなるほど」


 パン好きになってしまったけどパン以外にも美味しいものはある。僕的にはただの食パンよりも甘いフルーツが練り込まれて焼かれたものが好きだけどここにはいろいろとある。


 何かを挟めるようにと切られたパンを買ってどこか納得していないリオンを連れて屋台で肉串を買う。甘いタレがついたものと塩でシンプルな味付けされたものを買って挟んで串を抜く。


「こっちの方が美味しいよ」

「あー?・・・・!」


 パッと花が咲いたような表情になって口の中に詰め込んで今度は塩の方を食べる。単体で食べられるようにと紙コップに入った串を渡して軽く食事を済ませる。


 海の街だからか市場は扱うものも珍しく並べられた商品を眺める。


「魚をこんなに近くで見るのは初めてかもしれない」

「丸呑みでもするのか?」

「いや、こういうのは捌いて生で食べたり調理をするんだけど海から遠い場所だと生では食べられないと聞いたことがあるよ。氷属性の魔法が使えたら話は別だけど」


 魚の口に串が刺さった状態で焼かれている魚。海の街で作られた塩で焼いた焼き魚と書かれていてすぐさま購入。


「うま」

「調味料を買って行こうかな」


 簡単な料理しかしないけど魔導書があるから買っても大丈夫だ。調味料も十分に買って宿で休む。


 魔法針を魔導書から出して魔力を注ぐ。十本が一セットなのだがこれは魔力を注げば自分の指と連動するのだ。指を動かせば簡単に縫ってくれるので非常に便利である。


「なぁそれ何してんだ?服、にしては小さいだろ」

「魔導人形用の服なんだ。ボロボロだから作り直そうと思って」


 いい布が手に入ったから作りたくてとベッドに寝そべっていたリオンが手元を覗き込む。


「器用なんだな」

「裁縫は簡単なことしかやったことないんだけどね」

「で、その魔導人形ってのはどれだ?」


 魔導書から取り出すと興味深そうに眺める。初見だと確かにこうなる自信はあると心の中で思いながら出来上がったばかりのワンピース型の服をかぶせる。靴も作れたらいいんだけどサイズを合わせて作るのは難しいからやめた。


「へぇ面白いなこれ。関節の動きが少しおかしいみたいだけど」

「そうなんだよね。直してあげたいんだけど素人が勝手にやっていいものかと思って」


 何してるのと魔導人形を手にしたリオンは関節部分に使われているものを眺める。


「洗浄系の魔法は覚えてねぇの?」

「洗浄系の魔法?」

「そもそも知らないやつか。武器の手入れどうしてるんだ?」


 見た目に反してそこはしっかりしているらしい。ただ洗浄系の魔法は話には聞く程度でそこまで特殊なものを扱っていないので必要としていなかった。


「魔導書の記録をコピーすることができるんだよな」

「教えてくれるの!?」


 やったと喜びながら写される文字は魔導書に入った途端ソアレ専用の魔法文字へと変わる。洗浄魔法というのはいろいろと種類があってその中から魔道具の手入れ方法について調べる。


 体のパーツは一般的には木製。魔力の宿っていないものから宿っているものなど様々。接続に使うものは金属が多いため錆びないように気をつけないといけない。


「サビ取りのスプレーを買うか、一度バラして部品の取り替えをするか・・・」

「バラしてみたらどうだよ」

「これバラせる・・・?僕の初めての友達」


 バラすぞーと人間ではまずそちらに向くはずのない方向に肩を動かすと簡単に外れた。僕のちょっとした悲鳴を返してくれ。


「い、痛くないのかな」

「そこはわかんねぇけど大丈夫だろ。やっぱこれ錆びてんな」


 茶色く錆び付いた接続金属。手で触れば形が崩れる。


「崩れた・・・」

「真新しいのじゃないなら仕方がないよな。どっかにネジがあればいいけど」

「ここならありそうだね」


 明日はネジ探し。全部を変えてしまうのは抵抗があるが手足パーツを外し掃除をした。


「壊れてる部分は作り直した方がいいよね・・・」


 すでに寝ているリオンを眺め何かあったときのためにスペアパーツを持っていてもいいよねと考えパーツに使う木材を探すこともしようと決めるのだった。

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