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輝く世界を旅して  作者: 藍川秋馬
王都までの道のり
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魔水晶

 久しぶりの投稿になります。既存小説の書き直しのようになりますがかなり設定変更されています。


 水の中に沈んだ透き通った青い石を傷一つない綺麗な手が拾い上げる。日の光にかざしながら片目でその石が持つ魔力(ちから)を測定する。平均値を少し超えた良い物だと川辺に置いた袋の中へと詰めて行くとまた川に戻ってそれを探す。二時間ほど、その作業を続ければ大小様々な青い石が手に入り袋を回収して迷うことなく帰路を辿る。


 テーブルの上に置かれたカラフルな透き通った石はこの世界では必要不可欠な存在。魔水晶と呼ばれ色によってその使い方は異なるのだ。


 透き通った水色の真水晶は水の力を持ち赤く透き通った物は熱、もしくは火の力を持つ。これをそのまま使用することはなく加工するのだが残念なことに彼にはその加工はできない。もともとは趣味で始めた魔水晶の採取、見た目は非常に綺麗でただただそれに一目惚れをしただけなのだがそれは功を成して今では仕事の一環として採取作業を行なっているのだ。


「宝石加工のスキルは欲しいなぁ・・・・」


 そんな呟きに誰も返す者はいないと思っていたが


「取ったらどうだ?合成のスキルも取れば簡単に作れるんじゃ」

「来ているのなら先に声をかけて欲しいな。ガレスおじさん」


 銀色の鎧に身を包んだ騎士。この男はここから少し遠くにある王都の王国魔法騎士団の団長のひとりである。なぜそんな男と顔見知りかというと魔水晶を採取するこの好青年・ソアレの保護者にあたる人物。ガレスが任務に行った際に孤児として見つけ自分の家族として迎え入れたことがきっかけである。

 そしてソアレに魔水晶の採取をお願いしている張本人。


「悪い悪い!で?スキルを取るつもりはないのか?」

「スキルをとってもこの環境下で好きに合成ができると思う?魔力だけで作ることはできるけど僕にはそこまでたくさんあるわけじゃない。魔力消費を少なくするには炉が必要だって知ってるよね?」


 騎士団団長様がその程度の常識を知らないわけじゃないでしょうと言えば悪かったよとその大きな手で頭を撫で回される。


「僕と世間話をしに来たわけじゃないでしょ?水の魔水晶と火の魔水晶は指定された数はあると思うけど。測定も終わってるよ」


 木箱の中に入った大量の赤と青の魔水晶。平均数値はレベル2以下、一般家庭で使用する魔道具に組み込まれるため殺傷能力が低い物が必要なのだ。それと2以上の物は魔法武器に使用される。その場合は騎士団で一度保管され武器を生成する際に組み込まれるのだ。


「ここは水と火しか取れないか?」

「一般家庭用のものならそれで十分とは思うけど前におじさんからもらった本には他の属性を持つ水晶がいるとかでそれが気になる!すごい気になる!自分で加工もしたいしスキルも欲しい!」


 採取だけじゃ楽しくないと両手をあげて抗議する。


「それに水晶は純度の属性結晶。別の場所では混ざったものも見つかるのだとか!」

「それはダンジョンに行くしかないだろう?」

「僕もいつか行きたい!」


 うーんと悩むガレス。可愛い子のためには色々とやってあげたいが採取ばかりで戦闘経験はソアレにはない。そう、ソアレには、だ。


「鏡石で魔道具を作れば良いんだがあれは今は使うことがないから採取する人間も少ないんだ」

「その前にスキル取得とそのスキルが使える場所が欲しい!」

「スキル取得と場所はどうにかなるが・・・・そうだ、今度魔導書を持ってこよう。ソアレの魔導書だ」

「できれば内容量を多くして欲しい」


 それはどうか自分で育ててくれと笑うガレス。魔導書はこの世界ではかなり重要なものである。それはいつか欲しいと思っていたが今の状況で必要性を感じず所持していなかったのだ。


「それじゃあ魔水晶をもらって行くぞ。これが依頼料だ」

「もらっても特に使い道がないんだけど・・・あ、おじさんに買い物を頼もうかな」

「自分でいかないのか?」

「僕がひとりで買い物に行けるとでも思ってる?」


 それもそうかと大口を開けて笑うと別の依頼を頼むよと依頼書を一枚ほど渡す。








 空気が澄んでいる森の奥で見つけた緑の水晶。岩場から突き出た石柱に興奮を抑えられず駆け寄ってその表面を触る。魔力レベルの測定には一般家庭に使う規定に沿ったもので採掘する際の道具を取り出す。ただ自分の身長を超えるその巨大な石柱にどう運ぼうかと考える。


 魔力測定の魔眼を発動させながら見渡していると今までで見なかった数値の魔水晶を発見。武器を作る時にもこんな数値の高い物はまず使わない。使うとしたら賢者と呼ばれる人か騎士団団長のまとめ役である人間かと別の石柱の近くに落ちた拳ほどの大きさの結晶を袋の中にいれる。


「砕ける、かな」


 手にした短剣を鞘から引き抜くと刀身で自分の顔を写した。両の目の色が徐々に変わって行くと突然石柱上部がずれ地面に落下。落下した衝撃でいくつかに砕けそれを回収して行く。


「下の方は今度持ち帰るとしようかな」


 重たいしこういう大きいやつを持ち帰る時に何か良い案があれば良いんだけどと魔法には他よりも詳しいだろうガレスの来訪を待つことにしよう。

 そもそもの話だが魔水晶を一人で採取させるのがおかしいんだよなぁと一人思いながら家に帰る。楽しいからまだ良いんだけどもしもモンスターとか来たらどうする気だよとため息をついた。


「同業者とかいないんだろうなぁ」


 宝石とかならまだしも魔水晶だしなぁ。別に人気がないわけじゃない属性持ちの武器や道具を作る際に必要となってくるのだがその採取・採掘をする若者がいないというのが問題なのである。つまりは後継者不足。いつか採掘する人いなくて魔法使えなくなるぞ、とは言えない。道具を介さなくても魔法を使える人もいるわけだしと袋の中から採取してきた結晶をテーブルの上に並べていきその質をもう一度測定する。


「魔水晶の無を探さないとなぁ」


 どこにあったかなと頭の中に記憶されている採掘場を思い出す。属性のある魔水晶は無属性、なんか色々と使うらしいのでそれが一番報酬金がいい。早めに探しておじさんに色々と頼もうと心に決める。


「箱、四つ分でどのくらいになるんだろう」


 かなりの金額になったりしてと夢見るのはタダだしと予想するソアレだった。


 

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