橋本一子さん
橋本一子さんのライヴ・レポート
十二月十一日、福岡のジャズ・ライヴ・ハウス/ジャズ喫茶「ニュー・コンボ」で橋本一子さんのソロ・ライヴが行われた。
一子さん自身にとっては十二年ぶり(十年ぶりと聞いた人もあるようだが、私には十二年と聞こえた)となる福岡ライヴ。ほぼ満席の店内に一子さんの弾くピアノが鳴り響き、囁くような、会話をするような声が耳をステージに集中させた。
私自身が一子さんの生演奏に接するのは十八年ぶり。ベーシストの藤原清澄氏が新作リリースのPRだったかで来復し、博多リバレインの5Fで無料のライヴを開催した時のクヮルテットに一子さんがキーボードで帯同していた。
ところで当時は「博多リバレイン」ではなく「イニミニマニモ」と言う施設名だったらしいが全く覚えていない。
元々「スーパーブランドシティ」としてオープンした同施設、運営会社の経営破綻で名称変更の変遷を経て現在の博多リバレインに落ち着いている。
話を十八年前の演奏会場に戻すと、この時の一子さんはイケイケのいで立ちで、曲間の藤原さんの、一子さんへのMCツッコミに、かなり辛口の返しで応戦していたのが面白かった。
この時の一子さんの演奏はけっこう尖がった音の印象がある。
一子さんは知る人ぞ知る初期YMOのサポート・ミュージシャン。
私が一子さんの存在を知った頃は、もう演奏活動をバリバリ行っていた。
リーダー作も何枚か出ていて、ジャケットや演奏姿から漠然と同世代の方だと勝手に思い込んでいた。
今回、ライヴへ行くこともあって、ネットで最近の一子さん情報をあたっていると、私と同じ干支であることを知った。同い年かと思いきや、なんと私の方が干支は一周周回遅れである!
女性の年齢を話題にするのは失礼と一般的に言われるが、それを承知で書かせていただけば、一子さんは年齢うんぬんを超越した存在、女優のヘレン・ミレン的進化の過程をたどっているのではないか。もしかしたら不老不死なのかもしれない。そんな思いを持たせるほどのアンチ・エイジング人であった。
ミステリアス、過激、ロマンティック、エキセントリック、静謐・・・・・・ すべての要素を包含したサウンドは一子さんの音楽を聴き始めた頃と変わりない。
この日の演奏で特に印象に残ったのは「ジャイアント・ステップス」。
それに唯一の打ち込み入り「グッド・ガール」。この曲を聴いて懐かしい感覚を持ったのは、私の知っている以前の一子さんのアルバム・コンセプトに近かったからかもしれない。
可能であればまた近いうちに福岡楽旅にお越しください。
ピアノ・トリオでも聴きたいし、菊地成孔さん(テナーでもアルトでも可)が入ったグループも興味大。
ライヴ・ハウスオーナーの皆さまのご尽力を期待しています!
私も次はちょっと高めのオーダーで協力させていただく所存。