突然の勧誘
話数をめっちゃ貯めてだすのでよろしくお願いいたします
「なぁ、先に質問してもいいか?」
まず先にきいておかなければならないこと。
それは、なぜ俺を探していたのか?表向きの理由は理解できるが、それがなにを意味するのかが今の俺には理解できない。
「いいよ、なんでもきいてくれ。」
こちらをみつめるエメラルドの瞳と視線がぶつかりむこうの真剣さを伝えてくる。
「俺が手品師だから仲間に加えたいってことで間違いないよな?」
嫌な言い方にはなったが、今のタイミングでの勧誘はこいつらが求めているのは、俺ではなく『手品師』であることは容易に理解できたが、問題なのは『手品師』を冒険者にして仲間に加えようという謎の発想の理由だ。
正直な話、転移者の俺からしたら魔法をフルに使って魔物と戦える冒険者という職業にあこがれを抱いていた時期はあった。
だが、これがあこがれで終わった理由はひとえに資金と才能のその2つが俺には欠けていて、逆に商人としてなら才能がありそうな『遊び人』というジョブの適性が高かったからだ。
ちなみに『遊び人』のジョブの特徴は「強運」というスキルが最初から手に入り、めちゃくちゃ幸運に恵まれるということが多くなるという一方で、
俺が語っている『手品師』というジョブはなんなのかというと、上級職のようなものらしく。
取引先にギルド証を提示したさい、ジョブの名前が勝手に『手品師』に切り替わっており、スキルの欄にも「強運」は消えておらず、逆に「器用」と「マジック」の2つのスキルが追加されて強化されたため、今は名乗りを変更し『手品師』として商人をやって過ごしていたのだ。
と、『手品師』というジョブの説明を彼らにしたところで彼らに個人的な見解を告げる。
「色々説明したが、手品師は戦闘職ではなさそうだぞ?」
昨日はたまたまあんな使い方で魔法を打ち返すことができたが、あんなのは初めての経験だったので2度も成功するかはわからんし、仮に簡単な魔法が打ち返せたところで彼らの仲間になるには全然実力に開きがあると思う。
「と、以下の説明をきいてまだ俺を誘うつもりか?」
そうそうに飽きたのか、左の巨乳女はテーブルに身体をあずけて寝はじめ、ピケとアインの2人への説明になったが、
「この話は博打打ちのようなものなんだけどね。」
と前置きをしたあとに、あるSS級パーティーとすごい勢いでランクをあげているA級パーティーについて語りだし、最後にある共通項をのべてきた。
「彼らには1人、他にはいない特殊なジョブもちがいる!」
冒険者業界では、ユニークジョブと呼ばれるそれは唯一無二でなくても、極端に数の少ないジョブ持ちの人たちをそう呼んでいるそうで、彼らの特異な才能はどれも一風変わった扱いにくいものだが、彼らがチームに色を与え上手くハマることができれば戦力が爆あがりすると言われているらしい。
「特異な才能ね~~。」
思わず飛び付きたくなる話だが、これは前述の通り博打であって成功するかどうかわからないこと、その代償は己の命で支払うことになるのだ。気軽にイエスとはいえない。
「わかった、この条件をもとに少しだけ時間をくれ。」
ノリ気な態度を示さなかった俺に提示された条件とは···