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1日目② 親睦を深めるプレイヤーたち


 飯田は全員に「変な気は起こすな」と言い放つ。真帆ちゃんや琴美ちゃん、和田くんの金庫の中身を見ていない組は首を傾げた。


「侑士、金庫ってなに?」

「ベッドの横にあったんだよ」

「へぇぇ」


「変な気……と言うのは?」


 小さく手を挙げながら、潤は質問する。

 まるで彼も、金庫の中を見ていない……と言った様子だった。だが彼は手を挙げた……単に言葉の意味が理解出来ていないだけだろう。


「……カード、見ましたよね?」

「カード……あぁ見ましたよ」

「それです」

「はぁ」と、潤は間抜けな返事を返した。


「全員が武器を手放すべきでは?」


 と坂本くんが提案する。

 だが、飯田さんは否定した。


「いえ、金庫の中身を開けて中を取り出さなければ良い話です。手放しても意味はないでしょう」

「……どういうことですか?」


 と、坂本くんは眉を潜めて質問を続ける。


「ナイフは恐らく、このバイトの1つの要素。例え私たちが手放したとしても運営側がまた用意して来るかもしれません」


「徘徊禁止時間……」と潤が呟くと、飯田さんは「そう!」と指をさす。


「徘徊禁止時間に、運営側が新たな仕掛けを用意する可能性だって考えられます。だから無闇に捨てたらするのではなく、触らなければ良いのです!」


「捨てることもルール違反になるかもしれない」


 と、私は発言した。

 すると、沈黙が訪れた。


「……それで、あの金庫の中身は?」


「青いグリップのサバイバルナイフが入っています。そして一緒に入っている説明カードには、全員は最初から10万円を受け取る権利を持っていて、誰か一人を殺せば、殺した人がその人の賞金も貰える……というモノです」


「……でもまぁ」と新が口を挟む。


「最初の殺人なんて起きないっしょ」

「……何故?」と葉月さんは面白がっていそうな表情を向ける。


「だって、最初に人を殺しても10万円プラスってさ、別にそんな大した額じゃなくね?100万円プラスなら殺人が起こるかもだけど、20万になるだけだぜ?人は一人しか殺せない、ならばそいつは20万円でストップって事だ。人を殺して20万になるくらいなら、最初の殺人は起きないだろ?」


 と、新は長々と自分の意見を話した。

 確かにそうだ、最初に殺せば20万円が貰えることになるが、それ以降は人を殺すことができない……20万円なんて人を殺してまで欲しい金額じゃない。


 少なくとも、10万円貰えるのが確定している私たちにとっては……だけど。


「確かにね」と葉月さんも納得した。

「だから、俺らはあんなナイフなんて気にしないで、仲良く過ごしてれば良いんだよ」


 その発言を聞いて安心した。

 新くんは、人を殺さない。


 ……きっと。




 ◆◆◆




 それから5人ずつ分かれた。

 女子は話しながら建物の探索をしていた。


「大浴場だ~!」

「大じゃないでしょ……」


 女湯を見に来た彩乃らだが、広い浴場を見て真帆はテンションが上がっていた。そして冷静にツッコミを入れる琴美。高1の可愛い女子コンビだが、意外とボケツッコミがハッキリしているのかもしれない。


「まぁ、景色は何処も同じかな」


 と浴場の窓を開け、木々を見つめながら葉月は残念そうに呟いた。飯田さんはしっかりと完備されているシャンプーやボディソープを見て「ほぉぉ」と謎の声を漏らしていた。


「私、お母さんが買って来たモノ以外を使うの初めてなんです……!」


 と、飯田さんは、高1らしい発言を見せた。


「じゃあ、今日みんなで入りません?!」


 と真帆ちゃんは満面の笑みで言った。

 一緒にお風呂……と考えると、急に恥ずかしさが襲って来た。元気な真帆ちゃんに色っぽい葉月さん……この2人と入るのはなんだか気が引けるような……。


「さ、賛成……!」と飯田さんは頬を赤らめながら賛成の手を挙げた。


「私も良いわよ」と葉月さんは大人の返事を。

「構いません」と琴美ちゃんまで……


「彩乃さんは?!」

「え……あ、えっと……」


 葉月さんはニヤッと笑い、彩乃の顔を眺めた。


「さては、恥ずかしいの?」

「……!」


 真帆ちゃんは「大丈夫だよー!」と元気付けるが、余計にうんと言えなくなってしまった。


「はーいろっ?」

「……は、はい」


 流れに負けてしまった。

 夜までに、色々準備しなくては……!




 ◆◆◆




 男子たちは娯楽室や図書室などを見て回り、中庭が見渡せる2階ラウンジにやって来た。


「……さて」


 新は丸テーブルの椅子を引いて座り、足を組んだ。


「これから5日間一緒に暮らす仲だ、まずは雑談から始めようぜ?」


 和田は座り、潤らも席についた。


「んー俺ばっかり話してるし、そろそろお前らの事も聞いてみたいから……じゃあお前、名前なんだっけ?」

「潤。須藤潤だ」

「おっけー潤、じゃあ質問するわ。ぶっちゃけあの、なんだっけ?彩乃ちゃん?とはどうなん?」


 突然の恋愛話に、潤は驚く。

 その反応を見て、新と和田は楽しんでいた。


「まぁ、小学校以来会ってないし、久しぶり~って感じだよ。まだ話してないし、てか気づいたのさっきだし」


 新は「ほほぅ?」と変な声を漏らすと、突然立ち上がって古田の右手首を掴み、上へ伸ばした。


「よーし、ここに潤と彩乃をくっつけよう!の会を設立することを決めた!お前が会長な?」

「……?」


 古田は、ぽかんと口を開けていた。


「よーし、じゃあ坂本」

「はい」

「あの5人の中で、可愛いな~って思う奴いた?」

「え……」

「1人くらいいるだろ??」

「……うーん、分かんない」

「そっか~」


 新は残念そうに手をぶらぶらさせながら、自分の席に戻って来る。


「んじゃあ、和田は?」

「琴美ちゃん可愛いよな」

「あーツインテ?」

「そそ」

「分かるわ、ボブショートの子がどんな子かは分かんないけど、あの子も良いよな」

「ヤるならあの大人っぽい女子かな?」

「あの子巨乳だよな!あれはオカズになるわぁ」


 と、男子はいかにも男子高校生っぽい話題で盛り上がっていた。




 ◆◆◆




 昼食をとり、その後は全員で娯楽室へ行った。


「はいっ、スリーカードぉぉっ」

「いっやぁぁ!」


 新と潤はポーカートーナメントで上位まで残り、ババ抜きトーナメントでは、古田が勝ち上がった。


「え、古田ババ抜き強くね?」

「表情に出ないのと、運だよなぁこいつ」

「それ、運強過ぎだろ。2択外さねーし!」


 と、古田くんの意外な才能を見せられたり。

 神経衰弱では坂本くんの記憶力が発揮された。


 そんなこんなで、時間はいつの間にか過ぎていた。夕方になり、女子たちは浴場に向かっていった。


「ふぅ~楽しかったぁ」


 と、和田は背を伸ばす。

 男子も解散し、娯楽室に残ったのは新と和田の2人だけだった。潤は風呂に行き、坂本は図書室、古田は散歩すると言っていた。


「あ、俺金庫の中身見てないんだわ」

「お、見て来る?」

「一緒に行こうぜ?」


 2人は和田の部屋に行った。

 和田はベッドの奥の金庫を見ると、金庫の前でしゃがんでダイヤルを回し始めた。


「これか」


 和田は金庫の中から青いグリップの巻かれたサバイバルナイフを手に取った。


「へええ……やっば、でっけぇぇ」

「サバイバルナイフなんて、俺も初めて見たわ」

「なぁ新、もしもだぜ?」

「ん?」

「殺人起きたら、犯人どうする?」

「どうって?」

「普通だったら捕まるじゃん?それがあと4日?か、一緒に過ごすんだぜ?」

「あー……」


 新は和田のベッドに座ったまま、ばたっと身体を倒して唸った。


「うーーーーん」

「俺だったら怖くて、人間不信になりそ」

「でも、そいつはもう人を殺さないだろ?だから放置して終わったら警察にバーン!で良いんじゃね?」


 和田は笑いながら、サバイバルナイフを金庫の中にしまった。4桁のパスワードが書かれた付箋を丸め、窓の外に投げた。


「俺には必要ねーわ」

「うぉ、かっけぇ」




 ◆◆◆




 お風呂からあがり、ドライヤーで髪を乾かした彩乃は廊下を歩いていた。すると、廊下の窓からラウンジが見え、そこには潤の姿があるのを目撃した。


 ラウンジに着くと、潤はまだ窓から中庭を眺めていた。


「わっ!」

「うぉっ! んだよも~~……」

「あははっ、久しぶり」

「あぁ……久しぶり……」


 小学生みたいなノリで、再開の挨拶を交わす。


「元気にしてた?」

「ああ。そっちは?」

「勿論元気。だけどまぁ、女子の世界は色々あるのよ」

「へぇ……」


 ラウンジの丸テーブルに肘をつき、潤の顔を眺めながら質問を投げかける。


「潤はなんでここに?」


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― 新着の感想 ―
[一言] ナイフは一回しか使えない でも、頃した相手もナイフは持っているんだよね(笑) まあ、ナイフ以外にも頃す手段など腐るほどありますが
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