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5日目① 異常な行動


 自分の部屋のドアの下に、何やら紙が挟まっているのに気づいた。


 いつ入れられたのだろう?

 だけど紙っていうことは彩乃が外に出られなかった時……つまり昨日入れられたものだろう。


『葉月と新はグル。私と古田くんのナイフは奪われました。気をつけて』


 恐らく、この紙を書いたのは琴美ちゃんだろう。


 彩乃は1日ぶりに、彼女は外へ出る。

 そして琴美の部屋のドアをノックする。だが返事は無かった。ドアを開けて中を見るも、中には誰もいない。


 下の階に行き、古田くんと新くんの部屋のドアを叩くが、中から返事は無かった。


 すると、階段から足音がした。

 そこには、新の姿があった。


「新く……」


 その瞬間、琴美ちゃんの言葉が頭に浮かんだ。

 彼と葉月さんはグル……。


「こっちに来てくれ」

「……?」




 ◆◆◆




 向かった先は、空き部屋だった。

 娯楽室や図書室と同じくらいの広さがあり、モノさえ置けば何か新しい共有スペースとして使えそうだ。


 長方形の部屋の奥には、黒い布の掛けられたモノが置いてあった。


 周りに何もないから、そればかりが目立つ。


「新くん、アレは?」

「……」


 その時、声が聞こえた。


「んんんん!!」


 ――女子の声、多分琴美ちゃんの声。


 新は黒い布の掛けられたモノの方へ進んでいく。彩乃はその背中を睨んだ。


 彩乃の声に気づいた琴美は声をあげた。

 まるで何かを警告するように。


「ねえ新くん、その布の中って……」

「そう、正解」


 背後からの声。

 彩乃は咄嗟に後ろを振り向く。


 部屋の扉を閉め、中に入った来る葉月さん。


「まずは、お仕置きが必要ね」


 葉月が近づき、新は布を外す。そこには手と足を縛られて床に倒れている古田くんと琴美ちゃんの姿があった。


 口はガムテープで留められていた。

 葉月はナイフを持ち、琴美の腹を刺す。


「んんんんんんんっ!!」

「やめてっ!」


 苦しそうな断末魔をあげた琴美。

 古田はずっと2人の様子を睨んでいた。


「なぁにその目!」


 葉月は古田の脇腹にナイフを突っ込む。


「っっっ!!」


 古田も苦しそうな断末魔をあげた。


「やめて……やめて!!!」

「ならばアンタの持ってるナイフを渡しなさい」

「……持って来てない」

「はぁ?アンタ本当の馬鹿?」

「……」

「琴美から聞いたんでしょ?私が何人でも殺せるナイフを持っている事。それなのに警戒もしないで丸腰で来たわけ?」


 葉月は不気味な笑みを浮かべながら近づいて来る。


「ああ、そう。丸腰のアンタに教えてあげる」

「……なに」


 彩乃は後ろへ後ろへと下がっていく。


「飯田さんみたいに暴力振るったらさ、首輪作動するから気をつけて?」

「……は?」




 ◆◆◆




「来ないで……!」

「……」


 ナイフを持って近寄る葉月を見て、飯田は首を小さく横に振りながら壁に背中をつける。


「なんで、なんで私なのよ……っ」


 理由なんてなかった。

 仕方ない、それだけ


 飯田は箱ティッシュを持ち、葉月目掛けて何度も大きく振った。箱ティッシュが葉月の頭に当たると、彼女は苦しそうに首を押さえ始めた。


「いっ!いだっ!」


 首輪が作動したのだ。

 少しだけ血が流れ、首輪はおさまった。


 どうやら警告の形で、首輪が作動したのだ。

 ナイフ以外で他人に暴力は禁止。


 ナイフ以外で人を殺せたら、このナイフの存在価値なんて無くなる。運営は徹底しているのだ。




 ◆◆◆




 壁側まで追い詰められた彩乃は、その場で腰を抜かす。その様子を見て殺せると確信したのか、葉月はニヤリと笑った。


「なんで、なんでこんな事をするの!」

「葉月さんっ!」


 新の叫び声。

 葉月は振り向くと、手の縄を自力で解いて、琴美の縄も解いてあげている古田の姿があった。


「……ちっ」


 葉月は舌打ちをすると、ナイフを持って2人に近寄った。古田はその様子を睨み、自分の制服の内ポケットからナイフを取り出す。


「今日の朝補給されたたナイフは回収したはず」

「残念でしたね……今朝再び奪われたのは、飯田さんの置き土産です。部屋を散策した時に見つけました」


 状況は変わった。

 古田がナイフを持ち、対抗し始めたのだ。


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