4日目① 彼の遺したモノ
彩乃は目を覚ます。
いつものように顔を洗い、歯を磨いて寝癖を治す。
「きゃぁぁっ!」
女子の悲鳴が聞こえる。
真帆ちゃんか、琴美ちゃんの声だ。
口をすすぎ、彩乃は急いで部屋から出ようとした。
ガチャっ
「……え?」
ガチャっ、ガチャっ
何度ドアノブを回しても、ドアは開かなかった。ドアノブにはこちらからも廊下側からも、カギがあれば鍵を掛けることができるが、鍵なんてモノは無い。
ならば、故障だろうか?
「琴美ちゃん?!真帆ちゃん?!」
彩乃はドンドンと扉を叩いて、向こうにいるだろう人物の名前を呼ぶ。
「あ、彩乃さん……!」
この声は、琴美ちゃんの声だ。
「琴美ちゃんお願い、そっちから開けて!」
「……っ!」
「お願い!ドア壊れちゃったみたいなの!」
ガチャっ
琴美ちゃんは向こうから回してくれた。
だけど、ドアは開かなかった。
――ウソ?なんで?
◆◆◆
古田は悲鳴の聞こえた3階に合流する。
及川も部屋から出て来た。
そして、新も合流する。
「……なんで」
古田は呟く。
廊下には、背中を複数刺されて死んでいる潤の姿があった。首輪は発動しており、首は抉られていた。
古田は急いで部屋に戻る。
逃げたと思ったのか、及川は急いで追って来る。
階段には、壁や段などいろいろな場所に血が付着していた。
「ねえ、逃げないで!」
「逃げてません」
「逃げてるじゃない。まさか貴方が……?」
古田は部屋に入り、ノートを取った。
ノートを持った古田は、再び3階へと上がった。
「真帆さんは?」
古田がその名前を出すと、新は顔を青くする。
「あいつは、図書室で死んでた」
「……」
「こいつは俺が殺した……昨日あったことを全部話す……だけど、もう訳わかんなくなってきた」
「……彩乃さんは?」
琴美ちゃんは首を振る。
「ドアが、開かないって」
「?!」
古田は彩乃のドアノブをガチャガチャと押したり引いたりする。だけど琴美の言う通り彩乃のドアは開かなかった。
「どうして……?」
「とりあえず、昨日会ったことを話したい。どこか広い場所……そうだ、ラウンジに来てくれ」
古田と新、及川の3人はラウンジに向かって歩いていく。琴美は止まり、潤の手元に目を落とした。
そこには、小さな金色のカギが握られていた。
そのカギを持って、試しにドアノブに差し込もうとした。
カチッ
琴美の首から嫌な音が鳴る。
首輪の作動音だとすぐに気づいた。
首輪に寝ていた針が少しだけ起き上がったのだ。針が首に当たったのに気づくと、急いでドアノブからカギを離した。
すると、針も再び首輪に寝た。
――ルール違反?
すると、彼の胸あたりに、何やら小さなカードが挟まってあるのに気がつく。琴美はそのカードを手に取って見る。
――知らせないと
それは予想もしていなかったモノだった。
◆◆◆
4人はラウンジに集まった。
古田はノートにメモをとっていた。
村木 →
藍田 →
及川 →飯田
古田 →
新 →須藤
和田× ←??
坂本× ←??
飯田× ←及川
清田× ←??
→??
須藤× ←新
清田真帆が誰かを殺していても、ここにいる人たちはほとんど全員が人殺しになっている。
「古田くん、これ見て」
「……?」
琴美はテーブルの上にばんっ!とカードとカギを置いた。
「これは……?」
「須藤くんが持ってた」
古田はそのカードを読んでみる。
護りのカギ
→ゲーム中に一度だけ使用可能。監視カメラに宣言後、12時から2分間のみ徘徊可能になる。全ての部屋に使うことができ、1日中閉じ込める事が可能。
「……カギ?」
古田は突然立ち上がって、一人でラウンジから去っていった。古田が向かったのは自室だった。ベッド横の金庫のダイヤルを回し、中から自分のナイフを取り出す。
――分かりました、全ての謎が。
古田は薄々感じていた。
だが、須藤の死と、彼が残したモノにより古田は正解に繋がることができたのだ。
そのまま和田の部屋に入り、机の中や椅子の中を片っ端から漁った。だが求めるものは出て来なかった。古田はそのまま飯田の部屋へと向かう。
「古田くん、どこ行ったんだろ」
「昨日会ったこと、話したいんだけど」
そこへ、古田が戻ってくる。
「お待たせしました」
新は、昨晩あった事を話した。
「俺はあいつが和田を殺したんだと思ってたんだ」
「最初からナイフを渡されていない須藤さんは、誰も殺していないし、殺せない。恐らく犯人もそれは予想外だったでしょう」
琴美は「犯人……?」と呟く。
答えるように、古田くんは頷いた。
「カギという、全員とは別アイテムを渡された須藤さん。そしてもう一人……いる可能性が98%まで上がりました。須藤さんの残したこのアイテムのおかげで、最速は確信に変わってきています」
犯人は女子3人の中の誰か……
そんな思いを込めて言い放つ。
「何人でも殺せるナイフを持っている人がいる可能性があります」
古田はそう言いながら、持っていた紙切れを見せた。
『夜20時10分、3階女子トイレで待っている』
「これは、飯田美穂さんの部屋の中で見つけてきたメモです」
古田は歩きながら自分の推理を語り始める。
「何人でも殺せるナイフを持つ者は、和田くんだけではなく飯田さんも殺す予定だったと僕は考えます」
「そこで……新くんに見つかった、と」
「はい、死体が発見されました」
「それで、殺さない選択を選んだってこと?」
琴美も古田の推理に参加し始める。
「恐らくですが……新くんの死体発見時、犯人は新くんの近くに隠れていた可能性が高いです」
葉月さんは疑いの目を琴美に向け、琴美は気づかず、熱い視線を古田に向ける。
そして新は、驚愕の表情を浮かべる。
「僕の推理から行くと、犯人は……」
古田は一人に指を向けた。




