3日目② 真実を知りに……
3日目の夜、時間は11時半という事だった。
潤は1人で会議室に向かった。
すると、会議室のテーブルの上に紙が置いてある。そこには『約束通りに来たな、図書室へ来い』と書かれていた。
潤は徘徊禁止時間が近いということもあり、図書室に向かって走った。急いで階段を登り、明かりのついている図書室に入った。
「……っ!」
潤は、死体に歩み寄った。
図書室の中央テーブルの壁側の床には、真帆の死体が転がっていた。
「ど、どうして……」
床には青いグリップのナイフが転がっていた。ナイフは真帆の腹部から流れる血溜まりに浸かっていた。
その時、パチンっ!と音がすると同時に電気が消えた。
「がはっ!」
腹部に衝撃的な痛みを感じた。
何かは抜かれ、痛みの場所を確認する為に自分の腹部を触ったら、そこは濡れていた。
パチンっ!
再び電気がつく。
「てめぇ……」
目の前には、ナイフを持った新の姿があった。
「はっはっは……あっはっは……!」
新は不気味に笑った。
見ると、新の腹部にも潤と同じように刺し傷があった。彼も今、刺されたのだ。
「お前はもう、人を殺せない!」
「……なに、を?!」
新はナイフを構えて、ふらふらと歩み寄って来る。
「死ねっ!人殺しがぁっ!」
新はそう叫ぶと、ナイフを構えて走り出す。潤はナイフの刃を素手で受け止める。
「ぐっ……ぁぁっ!」
「死ねっ、死ねぇぇっっ!」
腹を刺されて、思うように力が入らない。新の怒りに任せたナイフは、どんどんと潤の方に迫っていく。
潤は逃げるために、新の腹を蹴り飛ばした。だが足に力が入らず、その場に倒れてしまう。
「くっ……!」
「はぁ……はぁ……!」
新は立ち上がり、床を這う潤を睨んだ。
「てめぇが、てめぇが和田をっっ!」
その瞬間、新は再び潤に向かって勢いよく走って来た。新のナイフが潤の背中に刺さり、潤は振り絞るような苦しい声をあげた。
「……あ?」
新の視界の先には、真帆の死体が目に入った。
その様子に驚いていると、再び電気が消える。
彼はようやく気づいた。
この図書室には、潤と新と真帆以外の誰かがいる事に。
新は真っ暗な図書室から出て、月明かりの照らすラウンジに出た。そのまま娯楽室に入り、電気をつける。時計を見ると11時50分をさしていた。
「くっ……!」
新は腹を抑えながら、早歩きで一階の救護室に向かった。
「……っ!」
潤は力を振り絞り、立ち上がる。
ラウンジに向かってゆっくりと歩くも、その場に倒れてしまう。このラウンジには、彩乃と2人で話したりして、たくさんお世話になった。
「あや……の……っ」
潤は壁に捕まりながら、ゆっくりのペースで自室へと戻っていく。階段を降りるも足に力が入らず、バランスを崩して転がり落ちてしまう。
「うっ……っ!」
2階まであと少し……
潤は歯を食いしばりながら、階段を降りていく。
再び階段を転がり落ちると、2階の廊下に倒れ込む。天井につく監視カメラは、潤の姿を見ていた。
潤は監視カメラを睨む。
すると、カチッという音が聞こえる。
首輪が作動したのだ。
どうやら、12時になったらしい。
◆◆◆
12時前、新は包帯を手に急いで自室の方に戻って行った。自分は初めて人を殺した……そんな罪悪感と恐怖感、さまざまな感情に押しつぶされそうだった。
――このまま死んでしまおうか
明日、彩乃に顔を向けれない。
新と潤の殺し合いを見ていた第三者は恐らく、明日彩乃にこの事実をメモで教える事だろう。
その場合、怒りを買った新は、彼女に殺される。
『和田を殺したのは俺だ、11時35分に、会議室に待ってる』
そんなメモを読んだ新は、11時35分に会議室に入った。会議室にはメモが残されているだけだった。
『約束通りに来たな、図書室へ来い』
その挑発的なメモに、腹がたった。
図書室に入るなり電気は消え、突然刺された。
電気がつくと、そいつが立っていた。
新はそいつが和田を殺した犯人……そう思って怒りに任せたナイフを振った。
あいつは、ナイフで対抗することなんてできたはずだ。それをしなかったのは彼が既に人を殺しているから。
あいつが、和田を殺しているから。
だけど、図書室の奥で死んでいたボブショートの女の死体を見た時に怖くなってしまった。
――こいつが殺したのは、和田じゃなくてこの女なんじゃないか?
その時に電気が消えた。
背後からはスタスタと走り去るような足音が聞こえていた。
第三者がいた。
もしかしたら、そいつがメモを……
和田が殺された時も、同じように……
和田と飯田の両方にメモを残して……誘導して殺したのだとしたら……?
ハメられた。
だけど、合致がいかない。
新は部屋の中に入り、急いで制服を脱ぐ。
刺された腹部にガーゼを当て、急いで包帯を腰回りに巻いた。タオルを洗面所で洗い、身体に付着した血を拭き取った。




