表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/17

プロローグ

プロローグは長めのお話になってます


 マンションの一室で、海老原は机に向かって座っていた。右手でペンを回し、ノートに向かって座っていた。


 スマホの着信音が鳴り、海老原は驚き肩をピクリと震わせた。


「もしもし」

「俺だ」

「神奈川さん」


 2歳歳上の男、神奈川さんだ。

 海老原と神奈川さんの2人は、とある計画を実施しようとしていた。それは『リアル・デスゲーム計画』だった。


 小説が発端で、ドラマ化や映画化、漫画化もされているとあるデスゲームに魅入られた2人は、いつしか自分たちもデスゲームを作ってみたい……そんな話をしていた。


 大学生の海老原はデスゲームの内容を考え、社会人の神奈川さんは、首輪の用意や監視カメラの用意、他に手伝ってくれる運営人仲間の確保などを着々と進めてくれていた。


「海老原ちゃーん、どうよ?」

「うん、このデスゲームならいけそう」

「んで、参加者は?」

「全員高校生で良いと思う」

「りょーかい。招待制?それともあのデスゲーム小説と同じように拉致制にする?」


 海老原は一瞬戸惑った。

 参考にしていたデスゲーム小説は、拉致して無理やりデスゲームに参加させるというものだった。だが拉致などやった事が無いし、見つかったら危険だろう。それよりなら無リスクな招待制の方が良いのかもしれない。


「……招待制」

「お?マジ?」

「このデスゲームは招待制じゃないと成り立たない」

「おっけー」


 山奥の廃施設は、もう確保してもらっている。

 水道や電気は通るけどガスは通らない。食事は買ってきたパンなどを勝手に食べてもらうことにしよう。建物の入り口や窓など、外に出れる場所、そして室内には大量の監視カメラを設置。監視カメラの死角を使って逃げられるなどあってはならない。


 首輪には一応、もし逃げられても場所が分かるようにGPS機能のついたモノを付ける。スタンガンなどを付けずに、内部にはボタン一つで作動する針を付けてもらった。


 針は首輪に埋められていて、ボタンを押すことで作動し、内側に向かって立てられる仕組みになっているのだ。針が立てられる時には首回りの四方八方から針が動き、切られながら痛みに苦しむことになる。


 その機能がついた首輪のサンプルを、海老原は机の中から出して眺めた。


「神奈川さん、ありがとうね」

「いやいや、俺もやってみたかったし」

「監視カメラ等は大丈夫?」

「おう、テストも完璧」

「よし……あとは参加者か」

「さて、そこは海老原ちゃーんに任せるぜ?」

「分かった」

「可愛い子を一人二人頼むよ?」




 ◆◆◆




 私、村木彩乃はスマホを片手に夜の公園のベンチに座っていた。服装は高校の制服で、荷物は何一つ持って来ていない。


「すみません」

「はい」

「村木彩乃さんでよろしかったですか?」


 茶髪の大学生のような男が声をかけて来た。


「海老原さん、ですか?」

「はい。この度はありがとうございます」

「いえ、こちらこそ」


 海老原さんとは3日前にナンパで知り合った。川沿いの公園で黄昏ていたところ、声を掛けられたのだ。


 そして、今回のバイトを提供された。

 施設で5日間過ごすだけで最低10万円が手に入るというバイトだった。


 学校に嫌気がさしていた彩乃は、そのバイトを二つ返事で了承した。学校ではカースト上位のギャルからバカにされ、友人も少なく、退屈していた彩乃の元へ舞い降りてきた謎のバイトの話。


 ――もう、どうなってもいい


 そんな彩乃は、海老原さんの話に乗ったのだ。


「車を用意してあります、こちらです」

「財布とか無いですよ?」

「あはは、誘拐とかそういうのでは無いです。勿論身体目的などでもありませんし、安心してお乗りください」


 こういうのって、車の近くまで来たら無理やり連れ込まれるモノだろう。だが違った。


 海老原さんが止まっているワゴン車のドアを開けると、中には他に4人の男女が座っていた。彼らも同じように高校の制服を着ていた。


 彼らが、これから5日間施設で共に過ごす仲間となる人たちだと分かった。彩乃はワゴン車に乗り窓側の席に座った。


 海老原さんはドアを閉めると、ワゴン車はゆっくりと発車した。




 ◆◆◆




 どれくらい寝ていたのだろう。

 スマホの時計を見ると、23時半を指していた。


 ワゴン車のドアが開く音と同時に目が覚めた彩乃は、降りていく高校生たちの背中を見つめ、最後にワゴン車から降りた。


「すっげぇ……」


 辺りを見回すと森……いや、山の中だろうか?

 人の気配、建物の気配など一切ない。


「さぁ、こちらです」


 海老原さんは、彩乃ら5人の高校生らを案内する。すると後ろからもう一台ワゴン車が到着した。


 彩乃は5人じゃ話より少ないな……と思っていたのだが、そのワゴン車を見て安心した。話通り、高校生は10人いるのだ。




 ◆◆◆




 高校生10人らを守るボディーガードのように、スーツの大人たちが前後についていた。そのまま大きな会議室のような場所に案内され、長机に向かい10人はそれぞれ座った。


「では、これから説明を始めさせていただきます」


 前に立った海老原さんがそう言うと、スーツの大人たちは何やら銀色の輪っかを持ち始めた。


「まずは、この施設のルールとしてこの首輪を着けていただきます。この首輪にはGPS機能がついていて、もしもの時に対応する為です。また、ルール違反者を取り締まる者に警告を出したりするものでもあります」


 海老原さんが説明している最中、それぞれ10人の高校生たちの背後に大人たちはまわり、首輪をつけ始める。首の後ろで鍵を掛けられた首輪は、自分たちでは外すことはできない。


「続いてこのカードを」


 それは名前と部屋番号が書かれたカード。

 そして裏には館内図が載せてある。


「食事は5日分、こちらが用意します。シャワーや電気も繋がっているので、ご自由に。何かありましたら夜の徘徊禁止時間までに、今僕が立っている台にでもメモを残してください」


 海老原さんはそう言うと、説明を続ける。


「深夜12時から朝の5時までの5時間は、清掃の為に係員が徘徊します。この時間は皆さんは必ず自室に入っていてください。その時間に部屋から出た場合はどんな理由であろうとルール違反、処罰の対象になります。また、建物の備品を壊したり外へ出たりするのも禁止事項です。」


 その話を聞き、チラッと時計を見ると時計は23時50分を過ぎていた。


「あぁ、今はまだ始まっていませんし……そうですね、1時からを徘徊禁止時間とします」


 海老原さんは全員の視線を確認すると、やり切ったようなため息を吐く。


「最後にルール違反のおさらいをします。」


 ルール違反のおさらい

 ・徘徊禁止時間24時〜5時

 ・建物の備品を傷つける

 ・建物から出る


「こんなところですかね、基本は自由に過ごしていただいて構いません。そうだ、皆さんからスマホを預からせていただきます。スマホがあるとトラブルや会話の妨げになりますから」


 すると、隣で立つ大人は「スマホを渡せ」とでも言うように手を出した。スマホの電源を切り、大人の手に渡した。


「では、1時には自室にいてください。その他、質問等が無ければ私たちは撤退します」


 質問……と言われて手を挙げる者はいなかった。

 質問者がいないのを確認すると、海老原さんたちは出て行った。




 ◆◆◆




 海老原は出ていき、ワゴン車で施設近くのもう一つの小さな民家へ移動した。


「海老原ちゃーんお疲れ〜」

「神奈川さん。お疲れ様です」

「始まるね〜」

「はい」


 海老原は、神奈川の隣に立った。神奈川は座りながらパソコンの画面を眺めていた。そこには監視カメラ越しに会議室の様子が映されていた。


 残された10人の何人かは、部屋に向かっていた。まだちゃんとした会話は起きていないようだ。


「何人かは話してたね。自室を確かめた方が良いよね〜みたいな感じ」

「そうなんですか」

「海老原ちゃん、デスゲームのルール説明忘れてない?」

「いえ、デスゲームのルールは自室にあります」

「ほう?どんな感じなんだろう?」


 神奈川さんには話してない。

 海老原の考えたデスゲームのルールは、一人でも制御できるモノだ。




 ◆◆◆




 彩乃は廊下を進んで、自室のドアの前へ立った。

 ドアにはプレートが貼ってあり、部屋番号と名前が書いてあった。


 306 村木彩乃


 その表示を確認し、彩乃は部屋の中へ入る。

 タンスの中には変えの服が用意されていた。下着等も用意してある。カードの裏の館内図を見てみると、洗濯機は用意してあるみたいだ。


 ベッドがあり、テーブルに椅子もある。

 部屋の中にはトイレがあるが、鍵は壊されていた。お風呂は大浴場を使うしかないようだ。


 そして、ベッドの奥まで進んで見ると、なにやらベッドの隣に小さな金庫が置いてあった。ダイヤル式で4桁の番号が必要なようだ。


「……?」


 すると、付箋が貼ってあるのに気づく。


 “暗証番号4桁は3969”


 彩乃は試しにダイヤルを回してみた。金庫の扉は開き、彩乃は中のモノを見て眉を潜めた。


 中に入っていたのは、

 サバイバルナイフとカード。


 サバイバルナイフの持ち手の部分には、青色のグリップが嵌められていた。ナイフは重く、なんだか嫌な予感を漂わせていた。


 ナイフは一旦置き、カードを見る。




 “青色のナイフ”

 誰か一人だけを殺す事の出来るナイフ。

 全員は開始時に10万円の受け取り権を持っている。一人を殺すと、殺した相手が貰える金を、自分の貰える金と合わせてもらう事ができる。




 そう書かれていた。

 その文字を見た瞬間、ゾッとする。


 このバイトは最低10万円貰えると書いてあった。その文を思い出し『最低』という文字の意味を悟った。


 人を殺せば、20万円になる。

 人を殺した人……つまり20万所持している人を殺せば30万円になる……と言う事だ。


「い、いやいや……」


 彩乃は、バイトの名前を思い出す。

 DESIRE……デザイアー……意味は欲望。


 人を殺してまで金が欲しいか?

 そんな人間の欲望を試す場所なのだろう。




 ◆◆◆




 ゲームが始まった。

 海老原は緊張で汗を流し、神奈川は余裕そうな笑みを浮かべた。


「だから100万円を用意させたのか」

「そうです」

「そして、オンラインギャンブルに明け暮れる住人たちに声をかけた」


 海老原らは今はフリーだ。

 よくデスゲーム小説で見るのは、金のある狂った大人たちが賭けて遊んでいると言うモノ……だが今はそれは無い。


 これは最初のゲーム。

 そしてテスト・ゲーム。


 狂った金持ちたちの興味を惹かせ、これからこの違法ギャンブルに関わってくれるように仕向ける。


「ここからだよ、神奈川さん。ここでミスったら金持ちの人たちは興味を持ってくれない」

「さぁ……どうゲームが進行されていくのか、楽しみだ」

「ゲームがグダグダにならないように、こちらも策は練ってあります」




 ――ここからの物語は、俺たちでは無く彼女らがデスゲームを動かしていく。さて、その様子を監視していくことにしよう。


ここからは運営側には触れずに、デスゲームのお話を進めていきます。


「続きが気になる!」

「デスゲーム小説か……読んでみようかな」

「これからも頑張って!」

 そう少しでも思ってくださったら、下の【★★★★★】から評価してくださると嬉しいです。また感想やアドバイス等もお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ