カラーカテゴライズ(7)
続きです。
「あれが......そうなの?」
さくらがやや困惑した様子で尋ねる。
「そう......だけど......」
そんな私たちなど意に介さずサメフードは続けた。
「まず水色。そしてその猫がなんか使い魔っぽいから黒。気が弱そうなのが白で、サイドテールが赤。デコ広くて性格悪そうなのがこれまた黒。バランス悪」
私たちを順々に指差して、色を並べる。だから何だと言うのだ。
そこから先はやはり分からなかった。
「さくらが性格悪そうなのは認めるけど......それがなんだって言うのさ」
「ちょっと、あんたね......」
さくらが踵で私のつま先を踏む。
そういうところだと思う。
サメフードがやたら仰々しく言う。
「まだ分からない?炎は木を焦がし、水は炎を消す。しかし木は水を吸い上げ伸びる。そして光と闇は互いに蝕み合う」
「うん、ごめん。余計分からん」
サメフードがフードを外して、その顔をあらわにする。
「面貸しな!」
さっきの仰々しさはどこへいったのか、不良風に外へ招く。
「ゴロー......」
ゴローに部屋から荷物を持ってくるように耳打ちする。
ゴローが離れるのを確認してから、私も外へ向かった。
その後にとりあえずという感じでみんなも続く。
相手は私たちが全員出揃うのを律儀に待っていた。
ゴローから武器をまとめた鞄を受け取る。
それを見て再び話し始めた。
「能力の説明をしてあげよう」
屈んで、道に落ちていた葉っぱを拾い上げた。まだその意図は見えない。
「万物にはね、皆属性というものがあるんだ。この葉っぱなら、当然木だ。もちろんそれは人間にだって言える。人間が身に纏う雰囲気ってあるだろう?あれが属性だ。水色は水。赤は火。黒は闇で、白は光だ」
「いや......そんな謎理論押し付けないでよ......」
「いや、押し付けるよ。それが私の能力だからね」
食い気味に言われる。
その手の中の葉っぱは木製の小盾へと姿を変えていた。
「私みたいなことしやがって......」
私も負けじと定規を取り出す。
それを剣へと変えると、その刀身は表面に水を纏っていた。
「ん?何これ......?」
触れるとひんやりしていて気持ちよかった。
「なるほどな。つまりこういうことだ!」
当然どらこちゃんが背後から飛び出す。その握りこぶしには火がついていた。
その拳が盾に衝突する。
しかし、相手は余裕の表情だ。
「そう。そういうこと。そして私は全ての属性を操れる」
水の柱がどらこちゃんの全身を包み込む。
「だ、大丈夫ですか!?」
みこちゃんが歩み寄るとすぐに水の流れから吐き出された。
「ずるじゃねーか......」
口から水を吐き出しながらどらこちゃんが毒づく。
ただ適応は早いようで、すぐに全身を熱で乾かしていた。
「ずるでもないよ。私は手元にある属性しか使えないもの。葉っぱを拾わなきゃ、木の能力は使えないってこと」
「じゃあ水はどっから来たのよ?」
さくらが頭を抱える。
「水なんて空気中にたくさんあるじゃんか」
そう言って手のひらの中に水の球を作り出して見せた。
「みこちゃん!さくら!なんかやって!」
光属性と闇属性に無茶振る。
何が出来るかは前もって確認しておいた方がいいだろう。
「えぇ......こうですか?」
みこちゃんが発光する。
それだけだった。さっきもゲームは断っていたし、ゲーム慣れしていなくてゲームっぽい発想が貧困なのかもしれない。
「どーよ?」
対するさくらはそれなりにゲームをするようで、水の球と同じような紫色に光るエネルギーの塊を作り出していた。闇なのに光っているという矛盾。
「となると......こっちの戦力は、水、火、闇......か」
バランスが悪いという言葉の意味を理解する。
相手はこの環境では、火以外の全ての属性を使えるだろう。
「あ、言い忘れてたけど、火はさっきその子から貰ったよ」
盾を掲げる。
その盾には小さな火が灯されていた。
サメフードを被り直して笑う。
「属性っていうのは有利不利の関係だけじゃなくて、組み合わせがあるからね。この戦い、私が完全に有利だよ」
レパートリーで言ったら確かにそうなるが、しかしこちらは多人数。
さくらとどらこちゃんが私のそばに寄ってくる。
右に暗闇、左に炎を携えて、水を纏った剣を垂直に構えた。
「が、頑張ってください」
後ろからみこちゃんが光りながら応援してくれる。
その声援を背中で受け止めて、私たちは前へ踏み出した。
サメフードの口の端が吊り上がり。
「それじゃ、始めようか」
続きます。




