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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・ウォーゲーム
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Invisible one (6)

続きです。

 葉月さんの家には思いのほか早く着いた。

二階建ての和風の家に、大きな庭が目を引いた。

全開にされた窓からはテレビの音声が漏れ出ている。

その窓から覗いた感じだと家具はだいぶ西洋化が進んでいた。ミスマッチだけど違和感は覚えない。私の家もこんな感じだし。

「で、誰が行く?」

 どらこちゃんがインターホンを指差して言う。

「誰って......みんなで行けば怖くない!」

 どうせここまでみんなで来たんだし、わざわざ誰かが代表する必要はないはずだ。

「ね?ゴロー」

「まぁなんでもいいと思うニャ......」

 ゴローに同意を求めるが、どっちに肩入れするつもりもないみたいだ。私のサポート枠なのに。

「もうじゃんけんで良くないかしら?」

「あ、言ったなさくら。こーゆーの大体言い出しっぺが負けるんだぞ」

「はいはい、そーね」

 おのれ、いいんだなと腕を構える。

「あっ、結局じゃんけんなんですね......」

「ほいじゃ行くぞ」

 どらこちゃんの合図で私たちの間に緊張が走る。

「「最初はグー!」」

 みんなの振る手を観察する。

いや、何も分かんないや。

「「じゃんけんほい!」」「ほい!」

 観察に集中してて若干後出しになるが、実際に何も見ていないので不正は無いと胸を張って言える......はず。

 出揃った手は、私以外がみんなチョキ。肝心の私はパーだった。

ということは......。

「い、一抜けぇ......」

 苦し紛れに目を逸らす。

「いや、負けてるじゃない......」

「仮に一抜けだとしても後出しニャ......」

「あ、あはは......」

 頭を掻いて後ずさる。

が、直ぐにみこちゃんに回り込まれてしまった。

「ふふん。逃がさないですよ?」

 個人的にみこちゃんは貧乏くじを引くイメージだったけど、どうもそうではないらしい。

「分かったよぉ......もう、行けばいいんでしょ。行けば」

 ずりずり横にずれて後ずさる。

「往生際悪いニャ......」

「今もしかしてバカにされてる?」

「それ以外の何に聞こえるっていうのよ。ほんとに......あんたねぇ」

 非難轟々ってわけでもないけど、結果が覆る展開も無さそうなので、仕方なく玄関に向かう。

そしてインターホンを指で押し込んだ。軽い抵抗のあとに音が鳴る。

しかし、それ以降は反応がなかった。

「あれ?」

「留守かニャ?」

 窓が開け放してあるから留守ってことはないと思う。

 どらこちゃんもひょこひょここちらへやってくる。

「2階から掃除機の音っぽいのがするから聞こえてないかも。もっかい押してみ」

「分かった」

 言われてもう一度押す。

すると今度はドタドタ階段を慌ただしく駆け降りる音が聞こえてきた。

「はーい。いま出まーす」

 そう言いながら姿を現したのは、全体的にふんわりした感じの女の人だった。その印象の所為か来ているエプロンが質素すぎて似合っていないように感じた。

「えっと......葉月さん家ですか?」

「はい......そうですけど」

 何でしょうかと葉月母が首を傾げる。

「るーぺさん、居ます?」

 どらこちゃんが私の背後から身を乗り出す。

そのときさりげなく私の肩を揉んでいた。たぶん深い意味はない。

「あら、るーに会いに来たの?るーなら、この時間......」

 そこで葉月母の眉毛がピクリと動く。

「るーは......」

「まさか......」

 どらこちゃんが唾を飲み込む。

「何、何?どーしたの?」

 さくらがどらこちゃんとは逆側の肩から身を乗り出す。

いや、重いって......。

高そうなシャンプーの匂いがした。

 みこちゃんもゴローを抱えて、不安そうな顔で横に並ぶ。

「るーが......居ない......。でもいつから......?なんで?」

 この場にいる誰よりも母親が困惑しだす。

「葉月さん......居ないんですね?」

 葉月母の不安そうな顔を覗き込んで念押しする。

「は、はい......」

 葉月母は腑に落ちないようだけど、頷いた。



「まず一つ言えるのは葉月るーぺはどこかで生きているニャ。それは間違いないから、ひとまずは落ち着いて欲しいニャ」

 通されたリビングルームのテーブルの上でゴローが言う。

 しかし葉月母の顔から不安の色は消えない。まぁ無理もないことだろう。

部屋の端のベビーベッドの中の赤ん坊の頭を撫でながら葉月母が言う。

「今までずっと......ずっと、気づけなかった」

 葉月るーぺの弟か妹か、それは分からないが母親の指を掴んでいた。

 さくらがランドセルからプリントの束を取り出す。

「これ、葉月さんに配られたものです。大体一月程前から学校にも姿を見せてないことになります」

「一月......」

 プリントを受け取って、信じられないといったような感じで口元を覆う。

「わたし......結構抜けてるところあるから、しっかりしないとって思ってたのにこんな......」

「仕方のないことニャ。ここに居るボクらもおろか、先生すら気づいていなかったニャ」

「それも......その、改名戦争の所為なの......?」

 家に上がってからある程度のことなら話してある。

「この子も産まれたばかりなのに......るーがそんなのに巻き込まれてるなんて」

「で、でも!お母さんが分かってなかったのは葉月さんが無事な証拠です!私たちが見つけますから、待っててくださいね!」

 みこちゃんが精一杯励ます。

しかし葉月母の不安はやはり払拭出来なかった。

続きます。

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