ランチタイム(25)
続きです。
「待ってた・・・・・・って?」
あたしを出迎えたみこ母は俯くようにして頷く。
「今朝・・・・・・心配させないようにか無理に食べようとしたみたいでさ・・・・・・」
「はぁ・・・・・・」
「・・・・・・それで吐いちゃって、慌てて病院行ったんだけど、やっぱりなんともないみたいで・・・・・・。まぁ、ね? 最初からそうすれば全部良くなるって思ってだわけじゃないんだけど・・・・・・もうどうしたらいいのか・・・・・・」
到底みこ母に似つかわしいとは思えない、暗い表情。
いや、そういった表情は意図的に隠していたのかもしれない。
「・・・・・・今さ、結構色んなことが起きてるのは知ってた。そりゃ、さ・・・・・・無視出来ないよ。キミにもスーパーで助けてもらったしね・・・・・・。みこに起きてることって・・・・・・たぶん、そういうことなんでしょ?」
昨日のあたしの様子から何か感じたのか、あるいはみこが少しは何かを漏らしたのか、それは分からないがみこ母もそこにたどり着いていた。
あたしはそれに頷いて見せる。
「間違いなく、とは言えないけど・・・・・・そうだと思う。たぶん、みこがそのことについて話したがらないのも・・・・・・そこに理由がある」
異質すぎる事態に身を置いていることを悟らせたくない、あるいは自分自身それを言葉にして伝えられるほど整理出来ていない。
心配させたくないだなんて、何も言ってくれなかったらそれこそ心配だと言うのに。
「みこ、相変わらずあの調子でさ。その・・・・・・会ってくれる?」
「・・・・・・元よりそのつもりですよ」
今のみことの距離感、その心地よい温度。
それを壊してしまっても構わないくらいの覚悟で、踏み込む。
みこ母に迎え入れられるまま、家の中へ進んで行った。
続きます。




