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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・グラデーション
532/547

ランチタイム(12)

続きです。

 しばらくすると、やっとみこ母がやってくる。

実際はそう何分とかかっていないのだが、体感では長かった。


「およ? 二人とも気まずそうじゃん。うける」


「うけないでくださいよ・・・・・・。ほんと、ごめんなさい・・・・・・お母さんが」


 母親の大人らしからぬ態度に、みこがため息をつく。


「そんなこと言っちゃって・・・・・・照れてるだけだもんね。本当はお母さん大好きなの知ってるから」


「ほんと・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」


 みこはその奔放さに振り回されているようだけど、そのフリーダム加減が今はありがたかった。

少なくとも、みこにさっきまでのような硬さはない。


 あたしはというと・・・・・・まぁ他人の親のことなので曖昧に笑うことしかできない。


 みこ母が運んできた料理が、テーブルの上で湯気を立ち上らせている。

見たところ普通の肉野菜炒めといったような見た目だが、どうも香りが妙な気がする。

妙というか、嗅いだことのない匂いだ。


「ささ、遠慮なくお食べ・・・・・・!」


 勧められるままにとりあえず食べてみる。

緊張感のせいかすんなり喉を通らないが、味を確かめるのにはこっちの方がむしろいいのかもしれない。


「・・・・・・?」


 が、いまいち分からない。

食べ物、の味だ。

それは間違いない。

けど、何だ・・・・・・これ?


「すみません・・・・・・うちのお母さん、あんまり料理上手じゃなくて。無理して食べない方が良いですよ」


「ひどっ!?」


 みこはそう言うが、実際とても食べられないような味なわけではない。

ただ・・・・・・。


「不味いとかじゃないすけど、なんか・・・・・・変わった味ですね・・・・・・」


 まるで知らない味。

甘い辛い苦いというような言葉で表せない。

何だそれって感じの表現だが、間違いなく何だこれっていう味だ。


 あたしのリアクションを受けてみこも同じ料理を口に運ぶ。


「うん・・・・・・今日は比較的当たりですね。久しぶりに人を連れ込んだからちょっと張り切ったんでしょう・・・・・・」


 みこの表情は渋く、少なくとも美味しいという感想ではなさそうだ。


「大丈夫、大丈夫! 食べちゃえば一緒! 不味くないなら十分だよ」


 十分ではないだろ。

しかしまぁ、新鮮という意味でなら・・・・・・。

それほど悪くはない、可能性も否めない。

こともない。


 しかしどうやって作っているというのだろう。

キッチンを覗いた感じでは、奇異な調味料が備え付けてあるように見えない。

謎は深まるばかりだ。

続きます。

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