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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・ウォーゲーム
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スペクターズ(15)

続きです。

「ん? なんかおかしくねーか?」


「なんかってあんた・・・・・・。そこのパーツ上下逆じゃない。逆になんでそれではまったのよ・・・・・・」


「ああ、なるほど・・・・・・。そういうことか。つまりは・・・・・・ん? どういうことだ?」


「だぁもう! ちょっとよく見せてみなさいよ! つまりここ! ほらこの部分が・・・・・・あれ? どうなってるのこれ・・・・・・?」


 なんだか微妙に会話内容が不安な感じだが捗っているようだ。


 あんまりそっちの能力を期待していなかったノワールも黙々と作業を続けている。

たぶん蟹食うときに静かになるタイプだ。


 僕も僕でもちろん作業に勤しんでいるわけだが、どうにも捗っていなかった。

というのも、救世主にやられた左手が痛むのだ。


 病院は嫌いだから行っていない。

というか小学生がこのレベルの怪我だなんて、説明もとい言い訳が難しいだろう。


 だからとりあえず気づかれないように整形(この言葉を腕に対して使うことになるとは)だけしておいた。

今はノワールの琴線に触れそうな包帯で封印を施してある。


 まぁそんなわけで、左手がほとんど使いものにならないのである。

動くことは動くが、そのたびに肉の中を刃物でぐちゃぐちゃにされるような痛みが走る。

おかげ様で睡眠不足だ。


 けれども、それらのことはいいとして・・・・・・。


「ちょっといいかな・・・・・・?」


 何だか微妙に及び腰でカチャカチャやっていたみこの背中に声をかける。

「うひっ」という小さな悲鳴とガチャリとぶつかる部品の音で返事をしてくれた。


「別にそんなにビクビクしなくても大丈夫だよ。もっとあの二人くらいにガサツにやっても問題ない」


「別にガサツにやってないわよ!」


 さくらがそこは重要という風に訂正してくるが、一旦それは置いておいてみことの話を続ける。


「で、それでなんだが・・・・・・みこ、ちょっと一旦作業から離れてもらってもいいかな?」


「え・・・・・・わ、私上手に出来てないですか!?」


「いや、そうじゃなくて・・・・・・」


 実際みこの仕上げたものはどれも完璧だし、慎重になりすぎてる割に何故かどらこより手際がいい。


 というか真にこう言った作業に向いていないのはどらこだろう。

単純にどうも不器用な様子だ。


 まぁそれも置いておいて、だ。


「君には別の役割、アンチェインドとしての役割がある。その為に・・・・・・何というか、能力を使う練習をしてもらいたいんだ」


「練習、ですか・・・・・・?」


 さっき衝突させていたパーツを正しく組み直しながら首を傾げる。

それに僕はゆっくり頷いた。


 みこのアンチェインドとしての能力。

それを実際に使ったのはあの秘密基地での一回のみだ。


 おそらくだが、まだみこの力は安定していない。

うまく使えていない状態にあるのだ。


 みこの場合は状況も特殊で禁忌武装もあって、能力が二種類使える状態。

だとすれば能力発動までのプロセスが簡単な分禁忌武装に流れるわけだが、それに阻害されてしまっているというのも要因の一つだろう。


 それに関してはきららが問題無く二種類の能力を使っていたので、今思えばあれはなかなか凄かったわけだ。

となればユノは更にその先、異例中の異例か。


 まぁともかく、みこの能力はおそらく周囲の人物の能力の強化、あるいは発現、もしくはキラキラ粒子の活性化と言ったところだろう。

とすれば使わない手はないわけで、というよりやたらめったら機械を作るより効果的に働くかもしれない。

きららのあの後の伸びを考えると、その力は絶大なはずだ。


「君のアンチェインドとしての能力は、おそらく戦力の底上げに繋がる」


 きっとデタラメなくらいに。


「だからもっと上手く扱えるようになってほしいんだ。たぶん今まで自分の意思で使おうと思って使えたことは無いだろう?」


「それは・・・・・・そうかも、ですね・・・・・・」


 みこの瞳が記憶を参照して動く。

その上で思い当たることは無いようだ。

まぁそうだと思う。


「・・・・・・でも、練習なんて・・・・・・どうやるんですか・・・・・・?」


 ちゃっかり会話途中にパーツを組み終わったようで、役目を失った指が完成品の表面を無意味に撫でる。


「そうだね・・・・・・」


 その質問に対しては少し考える。

確かに練習って言っても、何をすればいいんだか。

みこにその感覚が分からないなら、僕に分かるはずもないだろう。


「まぁでもそれも含めての、だ。必ず、君の力は必要になってくる」


「そ、そんな・・・・・・とんでもない」


 みこが無理無理と、顔の前で手を振る。

それをガッチリと途中で掴まえた。


「大丈夫、そんなビクビクすることはないさ」


 気楽でいい。

水に浮くときみたいに、身構えず、力まず。


 そういう意味を込めて肩を叩く。

みこはそれに困ったような顔をして笑った。

続きます。

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