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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・ウォーゲーム
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救世主II(7)

続きです。

「そんなわけで、君らには潜入調査をしてもらいたい」


 結局休憩時間は無くなり、スバルはいよいよ本題に入った。


「潜入・・・・・・ですか?」


 みこちゃんがスバルの使った言葉に首を傾げる。

それにスバルは「ああ」と相槌を打った。


「そう、潜入だ。ありがたい救世主様とコンタクトをとるにはそれが一番手っ取り早いだろう。君たちにはあの救世主の信者になって、そして教団に潜入してもらいたい」


「教団・・・・・・? んだそれ?」


「最近の子供はテレビをあまり見ないと言うが・・・・・・どうやらそれは本当らしいな」


 どらこちゃんの反応にスバルが肩をすくめる。

私も教団という言葉に心当たりは無かった。


「アンキラサウルスが現れたことに対する反応は三つに分けられる。まずはまぁ・・・・・・あまり気にしないと言ったところで大部分がここに当てはまるだろう。君らもここだ。そしてもう一つ、これは僕の立場。明らかに異常であると感じるパターンだ。多くの人の反応に対してもね」


「それって、アンキラサウルスが認識を歪めてるからなんでしょ?」


 話の腰を折るような感じになってしまうが、確かそうだったはずだ。

ゴローに言われたのだから間違い無い。

ところがスバルはそれを否定する。


「いや、そんなことは無いよ。確かに改名戦争の参加者はそんな風に伝えられてるらしいが、そんな事実は無い」


「え・・・・・・」


 断言である。

スバルの言うことだからほとんど間違い無いのだろう。


 そんな言葉を聞いてしまうと、自然視線はゴローに吸い寄せられる。

もう本格的に色々怪しいかもしれない。


「嘘ついたの・・・・・・?」


「い、いや! 知らなかったニャ! そんなこと! ボクはやってないニャ!!」


 私の疑いの視線にゴローが焦る。

だがその焦り方は嘘が見破られたというような感じでもない。

というかセリフ回しからして後半ちょっとふざけてる。


「まぁ今はそれはいいんだ。メインじゃない。今回問題になってくる三つ目のパターンについて話していいかな?」


 でも疑いの心は忘れちゃいけないよ、とスバルは最後に付け足す。

そうして私が骨折させた腰の骨を矯正した。


「教団って言うからには・・・・・・まぁ宗教的な何かなんでしょうけど・・・・・・」


 さくらが飲み物を一口啜るように飲み込む。

スバルはそれに「ああ」と答えた。


「その通り、三つ目のパターンはアンキラサウルスを特別な存在として受容し、信仰するパターンだ。模倣犯は救世主を自称しているだけじゃない。実際に誰かさんたちにとっての救世主になったわけだ」


「えぇ、そんなこと・・・・・・」


 思わず少し引くが、とは言え実際の話なんだろうからびっくりだ。


「今アンキラサウルス信仰がアツい・・・・・・ではなく、大いに問題になっているよ。確かに突然現れた不思議で強大な力を持った存在が現れると意味ありげに感じてしまうのも分かるが、アンキラサウルスは神様なんかじゃない。死傷者も出てるし、なんなら自分から死にに行くなんていう熱心な信者も居るくらいだ。あと亜種で超能力者信仰もあるね。こっちはまぁ死傷者は無いからまだマシだね」


「で、そこに会話が成立するアンキラサウルスが現れたと」


 さくらが目をつぶってそう言う。


「まぁ概ねそういうわけだね。ただアイツは姿が姿だから最初は超能力者信仰の方だったんだけど」


「なるほどね」


 スバルの補足にさくらが頷く。

私も大体のことは理解出来た。

そうなると確かに教団に入会・・・・・・入信(?)するのがやりやすい気がする。

正直あまり気乗りしないけど。


「潜入、かぁ・・・・・・」


 単純によく分かんない宗教とかってちょっと不気味だし、潜入となるとなかなか気が休まらない。


「まぁ仕方ないニャ・・・・・・」


 ゴローがあからさまにめんどくさそうな顔をしている私に寄り添う。

悩んだところで仕方がない。

もうほとんど決まっていることなのだから。


「大丈夫。支援はしっかりさせてもらう」


「当たり前よ」


 さくらがスバルに理不尽にキレる。

いや、そんな理不尽じゃない気もする。

でもそれで怒るのはやっぱり理不尽・・・・・・な気がする。


 正直全く理解の及ばない難しい話をされると思ってたしそのつもりで聞いていたけど、どうやら思ったより事情は簡単らしい。


「まぁ作戦決行はまだもう少し先だ。君らの武装の改良もしないとだしね」


 そう言ってスバルは一番近くに居たみこちゃんに、あの謎の端末を手渡す。


「それは通信機。日程とかは追って連絡するよ。それにね」


「は、はい」


 機能とか使い方の説明は既にされているのか、みこちゃんは真面目に頷いた。


 少し興味があったので、みこちゃんににじり寄ってその画面を覗く。


「あ、壊さないでよ?」


 そのスバルの忠告は、間違いなくみこちゃんでなく私宛ての言葉だった。

続きます。

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