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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・ウォーゲーム
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百鬼夜行(14)

続きです。

 今度の車両は・・・・・・まぁ追いついた時点で見えてはいたけど、ぽんぽんぽんぽん開いた穴から目玉のドローンが吐き出されていた。

一体何匹居るんだか際限なく出てきているようにすら見えた。


 とりあえず一番後ろの車両はみこちゃんのおかげで切り抜けられたけど、私に武器が無いのは変わりないわけで・・・・・・次はどらこちゃんが助けに来てくれるだろうか?


「いや・・・・・・無いよねぇ・・・・・・」


 どらこちゃんはたぶん前の方で頑張ってる。

こっちに助っ人に来てもらえることはないだろう。

呼べば来るかもだけど、呼ぶ手段が無い。


 けれども、みこちゃんはこっち側に居るわけだし、あの目玉虫は狙撃の餌食のように思えた。


 飛び回ってる物体には擦りもしないバイクの目バルカンをばら撒きながら、目玉の群れをかき乱すように不規則に動く。


『何を待っているんだい・・・・・・?』


 遠い上に今度は対象物が動いているということもあってか、みこちゃんの狙撃が遅い。

その所為でスバルにも何かを待っていると悟られてしまった。

バレたからどうというわけでもないけど。


「そっちこそ遅いじゃん・・・・・・」


 心理戦とかそういうのは苦手だけど、目玉が攻撃してこないことに言及する。

しかしスバルは全く動じることなくあっさり答えた。


『今前の車両が吐き出している目玉のおっさんは目に見えている以上の数が居る。そいつらを君のお仲間の元へこっそり届けている最中さ』


「え・・・・・・どゆこと・・・・・・」


 目玉は目に見えている以上の数が居る。

つまりもっと沢山居る。

で、目に見えない。


『光学迷彩という便利なものがあってだね』


「え、やばいじゃん」


『やばいね』


 スバルの頷く姿が容易に想像出来る。

二人に今刺客が迫っていますよと伝える手段はないのだ。


「大丈夫かな・・・・・・」


『人の心配の前にまず自分の心配をしたらどうだい・・・・・・?』


「え・・・・・・」


 スバルに言われて見上げる。

すると、無数の機械の目玉と視線が交錯した。


 こちらを見ている。

そしてそのレンズの奥には赤い輝きが・・・・・・。


「まず・・・・・・!」


 何がまずいかは分からないが、とにかくこのままではいけない気がして、銃の乱射をやめる。

目の前の車両にぶつかりそうになるまで加速した。


 が、その努力が意味を成さない。

さっき程照準が甘くない。

私の体を、その瞳の数と同じ本数のレーザーが貫いた。


「これ・・・・・・」


 突然の被弾に、慌ててみこちゃんたちの方を見る。

受けたダメージにゴローが空中でよろめいているのが見えた。

しかし点が分離しないので、みこちゃんはしっかり離さないままにしていると分かる。


 だが当然状況は良くない。

私が被弾する度にゴローがよろめくということは、その度にみこちゃんの狙いがズレるということ。

追い討ちに、空中で体勢を立て直しているゴローの周りには姿を消していたドローンがぽつりぽつりとその姿を現していた。


『大丈夫かい? 痛くない?』


「私はね・・・・・・」


 空の眩しさ、太陽の暑さ、状況の悪さに纏めて顔を顰める。

あの素早さで狙いを定められるならほとんど避けるのは不可能だろう。

ゴローが遠くに居る以上、ダメージの確認も取れない。


 私と他の能力者の違いとして、ゴローの様な存在の有無があるが、今はその弊害が目立っていた。


 これ以上ダメージはもらいたくないが、仲間の援護は期待出来ない。

さくらが来てくれればとも思うが、まぁ・・・・・・。


「ねぇさ・・・・・・スバルはビーム出ないの?」


 見た目は他のドローンと全く同じだ。

紛らわしい。


 とにかく、そういうことなら同じ機能を持っていることも十分に考えられる。


『僕がかい? ・・・・・・あぁ、そういうことか・・・・・・』


 微妙に察しが悪くて、一瞬引っかかる。

次のビームがいつ来るか分からないんだからその程度の無駄も今はじれったい。


『出来たとしても教えると思うかい?』


 おまけに返ってきた言葉も結局はそれだった。


 ああ、そうですか・・・・・・。


 しかし実際に見てからなので、あの目玉から光線が出る様を想像するのは容易い。


 私の横を飛ぶスバルをチラリと見て、そして大体の位置を把握してから手を伸ばした。


『うわぁ、おい! 何をする!?』


「借りる!」


 球状だと持ちづらいから、鉄砲みたいに持ち手を作る。

左手で捕まえたそれを、右手に持ち替えた。


『・・・・・・もちろんこれを利用するのは構わないけど・・・・・・あんまり勝手なことしないでくれよ?』


「スバルを黙らせるとか?」


『大正解だよ・・・・・・』


 正直ちょっとだけそのつもりだった。

あんまり役に立つこと言ってくれないし。


 いつもとは少し違う感じだが、とりあえずは武器を手にする。

やっぱり活路は自分で切り開かねば。


 バイクを片手運転しながら、スバル印の目玉銃を構える。

デザインもちょっと銃っぽく変わった。


「まぁまだマシかな・・・・・・」


『失礼な・・・・・・!』


 少なくともバイクの連射よりは狙える。

速度を落として、再び嵐山から少し距離を離した。

続きます。

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