表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・ウォーゲーム
215/547

夜に這う獣(12)

続きです。

「で、どうするつもりなんだい?」


 モニターの上に踵を乗せて、少女は椅子を傾けて後ろの気配に言葉をかけた。

もう完成間近の秘密基地。

その研究室には、再び三人の少女が揃っていた。


「たぶんあの子たち・・・・・・来るよ」


 ヘッドホンの少女がつまらなそうに椅子を揺らす。

足を乗せるモニターには、ノワールときららという名の二人の少女が映っていた。

今や裏切り者の少女と、長髪の少女ユノが執着する少女。

二人はこれで繋がってしまった。


「・・・・・・」


 画面の光に照らされて、ユノは黙っている。


「ユノ・・・・・・?」


 いつも笑顔のアイドル少女ミラクルは、心配そうにその顔を覗き込んだ。

その顔にユノは涼しい顔で応える。


「問題ない。こっちから捕らえようとしていたくらいだ。・・・・・・というか、元はと言えば君の所為なんだからね」


 その言葉に、ヘッドホンの少女は舌を出した。


「まぁ・・・・・・仕方ないだろ?得体の知れないものの言うことを聞くことは僕には出来ないよ。これも人件費の一つだと思ってくれ」


「まぁ・・・・・・そうだな。ふふっ・・・・・・」


「ユノ・・・・・・大丈夫なの?」


「来ると分かっていれば、準備も出来る。それに・・・・・・場所を知られることはあまり問題ではないからね。やることをやるだけさ」


「その準備・・・・・・僕がやるんだけど・・・・・・」


 モニターから足を下ろし、椅子を回転させる。

少女はヘッドホンを外して机に置いた。


「いいだろう?彼女たちが来るなら、きっと君の目当てもおまけでついてくる」


「それは・・・・・・そうだけど・・・・・・。やれやれ、人使いが荒いね。僕もう何日寝てないか分かる?」


 それにユノは淡々と答えた。


「睡眠不足は頭が曇る。何よりも避けないといけないことだ。君の言ったことだ。今まで寝ない日があったのかと、逆に聞かせてもらおうか」


「ていうかスバルちゃん・・・・・・作業ってほとんど機械任せだよね・・・・・・」


 ミラクルが頰を掻く。

再び椅子は回転し、ヘッドホンの少女は二人に背中を向けた。


「ま、そういうことだ。僕の睡眠時間はともかく、また仕事が増えた。約束・・・・・・ちゃんと守って貰わなきゃ困るよ、救世主さん?」


「ふっ・・・・・・考えておくよ」


 研究室から、二人の少女が立ち去る。

入り口の自動扉は、二人の足音が離れきらない内に閉まった。


「・・・・・・さぁて、どうしたものか・・・・・・」


 椅子を一回転させて、ヘッドホンで耳を塞ぐ。


 少女にとって問題は三つあった。

一つは、先程増えた仕事のことだ。

そして残りの二つは・・・・・・。


「ユノはどうするつもりなんだかね」


 少女は目を閉じて、考えるのをやめた。

続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ