ゆーま(28)
続きです。
問題ばかりが増えていく。
事態は好転せず、奇跡の尻尾も捕まえられない。
そればかりか、現実はさらに牙を剥く。
どれだけ問題が押し寄せようとも、現実はより残酷な事実を押し付ける。
木々の隙間から覗く高い青空に、光の粒が帯びとなって流れる。
それは互いに引き寄せ合い、結びつき、そして明滅する。
「・・・・・・」
目の前の光景にもはや言葉も出ない。
私の腕の中で、みこちゃんはぐったりとしている。
私はただ頬を涙に濡らし、唖然とし眺めていことしか出来なかった。
そんな私たちを、滅煌輝結合の闇が包む。
その闇からは巨大な翼が伸び、辺りの樹木を揺らした。
翼が開き、その風に闇が散る。
姿を現したのは人型のアンキラサウルスだった。
闇より暗く黒いの羽毛を纏った体に、細長い手足。
何故か輪郭がぼやけていて、その姿をはっきりと捉えることが出来ない。
ただ二つの赤い眼球が煌々と輝いて。
新たなアンキラサウルスの出現に、もはや心は動かない。
ただ全てを諦めたように、その場に立ち上がった。
アンキラサウルスが翼を動かしもせずに、ゆっくり降下し大地に降り立つ。
小さな風が起こり、それに黒い粉のようなものが舞う。
それは粘ついた液体のように周囲の木々にまとわりついた。
私の体にも、少し付着する。
毒性などはないようで、ただ気持ち悪いだけだった。
「やらなきゃ・・・・・・」
希望は見えない。
けれど、諦めることは出来ないし、するわけにもいかない。
みこちゃんの命がかかってるんだ。
涙を拭って、また近くの木の枝をへし折る。
赤い目を不気味に光らせるそいつに、ゆっくりと歩み寄った。
続きます。




