後処理
つづく。。。
サキヤ城陥落から三日、イサキ国は、早々に和睦を提案した。いくつかの領地と、人質を差し出すことを条件として。ハリク国は、この和睦を受け入れ、サキヤ城含めた周辺の領土と、将軍ガイデンの娘を人質として確保した。
ハリク国が戦勝を祝っているころ、敗将ガイデンは、イサキ国の王イサキ・サリヤに謁見していた。最初に口を開いたのは、王の傍らに立つ宰相ディキンだった。
「敗戦の責は重い。我らは多くを失うこととなる」
沈黙が場を支配した。次に口を開いたのは、サリヤ王であった。
「我らは人質を決めねばならぬ。評議会の協議の結果、ガイデン、そなたの娘を人質とすることが決まった。これはそなたの敗戦への贖いでもある」
ガイデンは、何も答えなかった。わかってはいたのだ。ヒキナミにサキヤ城を取られた時から、こうなることは予想できていた。平民上がりの将軍の味方をする役人などいないことも、その解決が一番国のためになることも。宰相は淡々と続けた。
「同時に、将軍の保有する遺物は全て没収し、将軍の位も剥奪される。後任はドロキア参謀を新たに将軍とする。ガイデン、貴様は一兵卒となりその配下に加わるがいい」
ガイデンは、全てを聞き終わった後、静かに、去っていった。あとに残った者たちは、その背中を見つめ、しばし口を利かなかった。
ところ変わってサキヤ城では、ヒキナミが、生死の境を彷徨っていた。三日たった今でも、ヒキナミは深い昏睡状態にあり、未だ目を覚まさなかった。ヒキナミのいない中、副将イナサは戦後処理を着実に遂行していた。
「副将、人質が着いたようです」
報告を受けたイナサは、人質との面会に臨んだ。
つづく