ディリーとルフランの戦闘 3(挿絵あり)
ふふんというような感じで魔物が鼻で笑う。
「ニンゲンフゼイガナニヲフザケタコトヲヌカス」
この惨状を引き起こしたのは貴様だなとディリーが叫んだ。
「うるさいっ、お前がすべて仕組んだんだろ!!」
それにルフランが同調する。
「そうだっ! ディリーの言う通りに決まっている!」
「ダカラドウシタトイウノダワレラニトッテタダシイコトヲシテイルマデダ」
魔物の親玉(または魔物全体の考え方?)の意見なんてわからないし理解したくもない。これ以上そんな戯言を聞くのは耐えられなかった。
「黙れ黙れ黙れぇ~~!!」
2人は同時に叫んで魔物の親玉に残されたありったけの力で剣を縦に振り下ろした。衝撃波が発生して魔物の親玉ごと地面が割れる。
「グ……オ……オノレェー」
死の間際に不気味に手を伸ばしてざしゅっとディリーの左目をひっかきつぶす。それでもディリーは痛みなんて我慢して鋭い視線を離そうとしなかった。
「ディリー……」
近くに来て心配、治療を始めそうなルフランを手で制する。
「構うなルフラン……」
傷つけられた左目から血が滴り落ちる。
「アマクミタ、コンナヒヨッコニヤラレルワレデハナイ!」
「俺らだって貴様に負けるわけにはいかんのだ!」
一度たたっ斬って倒したはずの魔族の親玉、その亡骸が勝手に動き出してゾンビ化復活した。その時に何やらルフランの方へ体の一部を投げつけていた。
「ソレハワレモオナジコト」
いざ勝負!
重っ苦しい雰囲気が周囲を支配した。ゾンビ親玉が「グワァッ」と聞こえるような変な声を発する。
「負けない……」
1対1のつもりでディリーは神経を尖らせてきたつもりだったが、ゾンビ化魔物に底意地の悪い笑みを浮かべられた。
「フン……オノレハダイジナモノヲワスレテハイナイカ」
「なにっ!?」
まさか――――……そんな暇はなかったはずと相棒に声をかけたが
「ルフラン……!」
「ディリー」
ゲホッと血を吐き出した、血が流れていく。
「ごめ……ディ……リー……。お……俺……不意打ち……しようと思……ったんだ……け……ど……」
ゾンビ化魔物の方が一枚上手だったようで罠にハマったルフランが首の辺りを激しく引っかかれている。熱を持ったその部位を気にしない様に、ディリーの集中を途切れさせないようにとのルフランの気遣い。げほっげほっと激しく咳き込んだ。
「もういいっ、何も言うな!」
「さ……すがに……剣士になっ……たばっかでこれじゃあ……、先が思いや……ら……れ……る……よな……」
苦しそうに喉を押さえる。
「本当にごめん……。俺こそお前をこんな事に巻き込んでしまった、スマン……」
ルフランだって剣士になったからには覚悟が決まっていたに決まっている。だからそれはきっとディリーの自己満足、ディリーはルフランに応急処置してから少しばかり感傷に浸った。
「オイ、ワレノコトヲワスレテナイカ」
目が点のようになってどうでも良さそうに「あ、すまん」と言った。ゾンビ化魔物が怒りで全身を震わせる。
「ワレヲワスレルトハイイドキョウシトルノゥ、ワレ……」
当然倒すつもりだ。構え直した剣が太陽の光を反射して光った。
「俺の左目とルフランを傷つけた恨みはらしてやろうか」
ゾンビ化魔物が薄ら笑いを浮かべる。
「ウヌラテイドニヤラレルワレデハナイワ」
「問答無用!」
声に力を込めて「うぉぉっ」と勢いをつけて斬りつける。ゾンビ化魔物も低く唸る奇声をあげて腕を振り下ろした。剣とゾンビ化魔物の硬くした腕がぶつかり合い鈍い音が響く。力と力がぶつかりあっているのだ。態勢を整えるために一度離れる。そしてにらみ合った。
(ディリーやめてくれ……! 俺……もう……)
自分のついてなさをルフランは呪っていた。いろんな出来事が走馬灯のように駆け巡り始める。
(俺……死ぬのかな……でも親友の前で死ぬなんて情けないよな。どうせ死ぬんならコイツを倒してかっこ良く死にたいもんだ……。なぁ、ディリー……)
真っ直ぐな気持ちでルフランの決心が固まる。
ディリーの疲労の色が濃いのは見ているだけで明らかだった。
俺がお前を守ってやる――ぐぐっと傷ついた肉体の痛みなんて無視して足に力を入れ、当然重症なルフランの身体はすぐ倒れかけたが、体勢を取り直して最後の力を――……
ネオ・ライトニングスラッシュ!!
まさか重症を負わせた相手に致命傷を与えられるなんて予想できなかったのでゾンビ化魔物が呻く。
「!?」




