ディリーとルフランの戦闘 1 挿絵あり
「それはぁ、年齢だ!!」
シーン……と沈黙の時間が流れ、まるで時間が止まったかのような錯覚に陥るかのような時だった。
「……それだけだろ……。くだらない……」
完全に呆れられたと気づいたルフランが悔しそうに内心毒づく。
(ディリーの奴ぅ……人の足元すくうのが得意なやつだ……くそぅ)
「そんな事ないぞっ、もう1つくらいある!!」
まだあるのかとディリーは思わないでもなかったが、その答えが気になったので聞いた。
「言ってみろよ」
ルフランがまたまた焦らして、ディリーにとっては「早くしろよな」と思う時間でもある。
「笑顔だ……!!」
今度はさっきの沈黙の空気より重いかもしれない。それに耐えかねたルフランが顔をだんだんと赤くさせていった。
(はずしちゃったはずしちゃった! ああ~、ディリー呆れ顔だよ~)
くくっと忍び笑いをするくらいで笑いをこらえ、ディリーが言う。
「お前らしいよ……ホント」
基本的に仲の良い2人はさっきまでの沈黙の時間なんて忘れようぜとばかりに、ディリーが伸びをしてから強くなるための行動を起こそうと提案した。
「さぁ~~て、稽古でもするか? ルフラン」
ルフランが瞳の動き《アイコンタクト》で返事をする。
稽古1 素振り
2 剣合わせ
3 実戦
すごい簡単なメニューを作ってディリーがルフランの意思を確認した。
「いくぜっ! いいか?」
少し尻込みしてしまう弱気な心を押し殺して「おう」と返事する。剣と剣のぶつかり合うキーンという音が鳴り響く。音が続く続く続く。どれくらい経っただろうか、5分か10分か、さすがに2人とも相当バテていた。さすがに息がなかなか整わない。突然ディリーが「あっ」と拍子抜けするかのような声を出す。
「どうした?」
やるべき事を忘れていたなんて言い難かったので抽象的な言い方でごまかした。
「あ……いや、俺ってヌケてんなと思ってよ」
きょとんとした表情になったルフラン。
「何だよ? 拍子抜けしちまった」
(あーっ、ホントに俺のボケッ。素振りの回数が足りないだなんてー。こりゃこいつには悪いがいつもの練習量の2倍くらいするか)
「ルフラン! 一緒に素振りするか!」
ルフランが表情で面倒くさそうにしているのが丸わかりである。苦笑するルフランだった。
「そんな顔をしてもダメ」
「ダメ?」
ただうなずいてルフランのやる気を促す。
「何回やんの?」
ルフランの質問にディリーが回数で答えた。
「200回」
声のトーンが小さくなる。
「は?? なんて言った今?」
「俺に付き合ってくれよ、ルフラン」
ニコッと白い歯をのぞかせてディリーが笑った。
ルフランはマジでー!? というやる前から疲れるよというような表情をしてみせた。素振りが終わり、腕を回した時ぶんっぶんっと腕から鈍い音が立つので腕の痛みから少し顔をしかめる。
(おおお~~、腕が痛てぇ~。くそーっ、ディリーの奴め。後で何かオゴラせなきゃ割に合わないぜ)
その一方で体力に余裕が残っていたのかディリーは軽々と何度もバトミントンのラケットを振っているかのように素振りをし続けている。そのディリーの様子を見て「くっそ~」と対抗心が燃え上がったらしく一生懸命に剣を振り下ろし続けるのだった。そしてまた30分以上の時が流れ――今度こそ本格的に疲れで息を切らせて草原に倒れ込んだ。
「おーいてて……」とディリーは自分の利き手に剣ダコが出来ていた事に気づいて嬉しそうに笑う。それを気にしてルフランが何をにやけているのかと聞いてきた。いや……とディリーは生返事する。
「何だよー」
ルフランが頬を膨らませる。ディリーはルフランのその不満顔のおかしさと嬉しさも相まって盛大に笑う。今度はルフランも笑いにつられて楽しい気持ちを味わった。
そして……木の下へ行った。今日は随分と自主トレをしたと2人は考えて休息も大切と日なたをよけて休む事にする。
風がそよそよといった心地良い感じで2人の体をなでてゆく。「気持ち良いー」とルフランが髪をかきあげて毛が揺れるのを防いだ。ディリー……と声をかけたが返事がなかった。
……?
返事がなかったので彼の方を見ると、いつの間にかスゥスゥと寝息をたてて寝ている。
のんきなところがあるよなとルフランは少し笑った。
そして――
2人の運命を変える事となるシグナルが鳴り始める。




