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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
友情の芽生え
9/112

トムの心 2(挿し絵あり)

「ありがとうグレイ! 」

 勢い良く部屋の中に入ったデュアが見た視界の中にトムの姿がなかったので呆然とする。

「…………!! そ……んな……! いない……トムがいないわ……。どうしてなの……」

 部屋のちゃぶ台のような所などをデュアは視線を彷徨わせている。その時、そこへ一枚の紙切れが残されているのを発見した。

“この小僧の仲間にチャンスをくれてやる。私はこの町の一番大きな公園、アイルツ公園に明け方まで待っていてやる。運が良ければこの私と一戦交えられるかもな”

 手紙を読んだデュアは一人でこの文面に書かれていた場所へ行こうと準備。グレイも同行するのを申し出た。しかしデュアに止められる。

「僕も行くよ」

「ううん、グレイ。あなたはここにいてっ。そしてメイちゃんを守るの。他の魔物がいるかもしれないもの」

「あ……ああ……うん」


※イベント発動

 

 複雑な気持ちになりながらもグレイは承諾した。そしてデュアは無言のまま、戸を開けて出ていった。宿屋の主人に公園の場所を聞き、それからアイルツ公園まで走りに走り続ける。

(もうちょっとよ、急がないと)

 トムの事を思うがゆえに全速力で走ってきた。そんなシュアが息を切らして休もうとしたのはアイルツ公園の入り口だった。

「トム――……!! どこ……にいる……の!? 返事して……よ、ト……ム――――!!」

 夜の公園に無理して叫んだデュアの声が響く。その時、不気味な声が暗闇の中から耳に届く。

“ふはははは! 運の良い小娘だ。しかし残念だったな。一足遅かったようだ。お前の知っている小僧はもうおらん”

 デュアは寝耳に水なヴァルマーの妄言としか思えない言動に――

「何ですって!? どういうこと? 説明を求めるわ」

 魔族ヴァルマーがデュアの問いかけに律儀に答えた。

“もう小僧に『心』はない。よって私の操り人形と化してしまっているのだ。はははははは!!”


 うつむいた状態なデュアは何を言えずにいた。震えながら嘘であってほしいことを呟いたりもしている。

「嘘よっ!! トムがあんたみたいのにいいように、人形のように使われるなんて信じられない」

 絶望を知らせるためにヴァルマーは、事実を突きつけた。

“ふっ、残念だな。本当なのだよ”

 デュアは信じたくないので首を横に振る。

「証拠があるなら見せてみなさいよ」

“よいのだな? なら、とくと見るがいい。これが小僧の『心の中枢』だ。

「………………!!」 

 デュアはただ息を呑むことしかできなかった。

「これがトムの心……なのね?」

 

 光り輝くそれをヴァルマーがいつまでも見せびらかす様に持ち続けていた。だからこそデュアはヴァルマーから『心』の理玉を奪い返せたのである。


 ヴァルマーより理玉を奪い返す 大きなイベント経験値獲得


適応能力レベルup!!


デュア レベル10 適応能力レベル 26→28 かしこさ 77


挿絵(By みてみん)



「うふっ♪ ありがと。あんたって割と馬鹿よね、敵にこれを見せ続けてくれるなんて」

 素早い動きでデュアがヴァルマーから理玉を取り戻す。すぐさま(トムの胸に理玉よ戻れ)と念じながら入れ込もうとする。

“しまった。私とした事がとんだ失態を。小僧!! その小娘を蹴散らしてしまえ”

「遅いわ。トム、あなたの『心』は大切に元の場所にしまっておいて」

 ヴァルマーに操られかけたトムはデュアに攻撃しかける瞬間に理玉を入れられる。そしてトムは正気に戻った。

「ん……? どうしてオレはこんな所にいるんだ? あっ、デュア。オレとお前だけで何でこんな所にいるんだっけ?」

「どーしたもこーしたも。トム~っ、そんな簡単に敵の策に引っかかってんじゃないわよ」

 今の状況は読めないものの、トムは魔物ヴァルマーに倒されて連れ去られたことを思い出す。


 そこへ張本人ヴァルマーが無視するなとばかりに出現シーンをやり直した。

“ヴァルマー様登ーー場ーー!!”


「あんたなんかお呼びじゃないわ。シリアスな雰囲気を壊さないでよね」

 怒りに身をゆだねたデュアがヴァルマーの事を突き飛ばす。

“ぐぬぬぬぬぬ――――っ、よくもやりおったなーーっ!”

 邪魔で仕方ないと思うデュア。ヴァルマーに辛辣な言葉を投げかけた。

「まだいたの!? もうっ。どっかいなくなってくんない?」

“ええーい! ものすごく惜しいままその小僧の『心』を諦めるわけなかろう”

「そんなにトムの『心』を欲しがるなんて秘密がありそうね。教えなさい!」

“ふんっ、貴様に教える義理はない”

 

イラストは妹の許可を得て掲載。

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