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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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ジルヴィア戦 イベントバトル 6 挿絵あり

仕切り直すトム。これからしてやろうとしている行動を宣言して、魔族ジルヴィアに真っ向勝負を挑んだ。

「この……えっと……翼野郎! おっと……アブねぇ。お前の魔力を再びこの魔力封印装置付き眼鏡で封じてやるっ!」

 手始めの攻撃でジルヴィアが氷を放ってきたのでかわした。

「ほうっ……出来るものならやってみなさい」

 ジルヴィアに鼻で笑われた。トムは馬鹿にされたのでいきどおる。

(……カ~~ムカつくぅ~~)

「言いやがったな! やってやる!」

「どうぞ?」



◇ ◇ ◇


 場所変わって、ディリーとピュティアの話。

「んもー!! ディリー! まだなワケ~~!?」

 口数の多くないディリーがわずらわしそうにした。

「うるさい! 美琴……っと……。ピュティア『モーモー』ってお前は牛か!」

 家畜呼わばりされたのも気に入らなかったが、ピュティアにとってはこれから注意する方が重いようである。

「ディリー! 本名で呼ぶなってゆってるでしょー!?」

 呼ぶなといわれると呼びたくなるのは人のさが、ディリーも例外ではないようでまた本名を口にしていた。


「すまんすまん、草薙美琴……」

「あーっ、また言ったぁ~!! そ・れ・よ・り本当にまだぁ!?」

 もう少し注意されることで気を引けたのかと思っていたのだが、ピュティアに話を打ち切られたのに生返事な感じになってしまったディリー。

「あー……それならもうすぐそこだ」

 いつの間にか目の届く範囲に来ていた事実にピュティアは目を丸くした。

「ええッ!?」

 あれがさっき津波を起こした者の関係者だろうと目で示す。

「ほれっ」


 今は一人で頑張っているトムが氷の地面で四苦八苦していた。

「おわっ! うおっ! くそ~~滑るなぁ。お前ー、卑怯だぞっ。飛んでんじゃね~~」

 少し逆ギレ感のあるトムの叫びをジルヴィアは相手にする気もない。

「フン、下等生物が! ほざくんじゃありませんよ」

 始めの内はトムもフラフラ危なっかしい動きしか出来ずにいたが――

「へへへっ、何とか慣れてきたぜ……」

――いでよ、ファイアーブレード――

 し~~~~ん。周囲には静寂のみが存在している。

(アレ? 何で剣が出ねえんだ? ハッ、もしかして手っていうか腕が凍らされているせいなのかー!?)

 凍らされているのを今度こそどうにか出来るかもしれないと思っていたが、残念ながら変化がなかった。


                       ◇


 どう見ても魔族にしか思えない者と戦っている少年を確認して、ディリー達が手助けにいこうと決める。

「加勢しよう、ピュティア」

「OK、ディリー」

 まだ彼らはディリー達の事に気づいていない。ごく簡単な作戦会議をして行動に移った。

「後ろに回って俺が斬りつける……! いいな」

「んで、私は金縛りをかければいいわけね、OK」

 このタイミングだという所で、ディリーが声をかける。


挿絵(By みてみん)




「実行だ。頼むぞ、ピュティア」

「OK。了解」


 両手に全身の神経などを収束させて金縛りを発動した。

「金縛り!」


「う……っ!」

 まったく予期していない方角から何やら術にかかってジルヴィアは動けなくなる。

(何……だ!? 体が動かない)

 背後で小さな物音がしたと思ったら……剣で背中を切りつけられた。

「……がっ……!」

 剣をさやにおさめる音がする。


 ダメージを負ったジルヴィアの動きが鈍っている。名も知らぬ者に助太刀をしてもらったトムはあっけに取られた。

(ただ者じゃなさそうだな……)

 剣士に必要な理想の体つきをした人物に質問を重ねた。

「あんた、何者だ!? たんなる剣豪じゃないだろう!?」

 トムを一瞥いちべつしたが、特に興味がなさそうに後ろを向き

「それに答える義理はない」

「じゃあ名前くらい名乗ってくれよ」


 それくらいなら別に構わんという感じで話す。

「俺の名はディリー、連れは巫女だけだ。こいつは……ピュティアという」

「どうもー、ピュティアで~す」

 無駄話をしないディリーとフレンドリーなピュティアに名前紹介をしてもらった。まだ斬りつけられた痛みに呻いているジルヴィアを確認して、デュアが今がチャンスだとばかりに魔力制御用眼鏡をトムから奪い取るようにして彼の方へ走る。耳に眼鏡の弦をかけるようにして、落としづらいかけ方をした。元の人間型の姿に戻ったのだった。


 ディリーがジルヴィアの方へ行って――

「すまん……俺はあんたにどうしても聞きたいことがあってな。少し手荒いが許せ……」

 お腹に強烈なパンチをお見舞いして気絶させた。デュアはその彼におずおずと声をかける。

「あ……あの……」

 ぐったりした状態のジルヴィアを持ち上げて肩に乗せ、無愛想に応じる。

「なんだ?」

「あのっ、あのっ。私達も連れて行って下さい」

「何でだ?」


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