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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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ジルヴィア戦 イベントバトル 3

 突然ジルヴィアが笑い出した。

「クックックックックッ、見てしまったみたいですね? みなさん私の本来の姿を……! フ……見てはいけないものを見てしまったというのはまさにこの事を言うのですよ……。こうなってしまった以上改めて魔族のはしくれとしてあなた達を倒させて頂きます」

……………………………………………………

 重苦しい雰囲気になってしまって覚悟を決めるしかないのかとデュア達はどこか残念そうにしている。

(どうしよう!! あの優しい笑顔はどこへやら……殺らなきゃいけないのかな……。かなり本気だ……)


 ジルヴィアの方にはもちろん迷いなんてない。デュア達が逡巡している間に先制攻撃を仕掛けてきた。

「どうしました? あなた方が来ないのであれば私から行きますよ!」

(~~~~~~ッ)

 ジルヴィアがせまってきているけどデュアは足がすくんでしまっているようである。

(動けない……みたいだな……。よしっ、ここは俺が押さえといてやろう!)

もう攻撃をしてくると予想がついたトムが『ファイアーシールド』を展開して全員を守る。

「……つうっ……!」

 最初から生死をかけた勝負をするなんて気持ちを今でも持ちきれないデュア。今でもためらう気持ちの方が強くて体がついて行かないのだ。

(動けない……どうしよう私……? 迷っている暇なんてないのかもしれないけど……。戦いたくない)


 それでもただ無駄にダメージを食らった所で状況が改善されるわけではない。それも含めてトムがデュアを説得する。

「デュア、しっかりしろ! アイツはさっきまでの俺達を知っているアイツじゃない! わかるだろデュア」

 まだ迷いにとりつかれているようで下を向いたまま首を振った。デュアの気持ちも理解は出来る。だけどこんな戦いで何かがあってからでは遅いのだ。トムはそれが怖い。

(オイオイ……しっかりしてくれよーっ。こうなりゃ双子ちゃんにも援護してもらって時間を稼ぐっきゃ―ねーな)

 グレイとメイに視線を送ると、それに2人とも気づいた。


「!」

 トムが求めている事がわかって双子ちゃんは協力する意を込めてうなずく。

(サンキュー)

 牽制の攻撃を仕掛けるタイミングを図るためにグレイが声で注目をさせ、目で合図した。

「メイッ」

「OK! グレイ」

ダメ押しとばかりにメイは小声でやろうと決めた事を兄のグレイに確認する。


「んー。まっ、いいんじゃないかな? やってみて」

 メイが指で丸を作って「OK」した。

「ほぅら、おっにっさんっこっちら手のなる方へ」

 そんな方法じゃ相手にしてもらえないだろとトムはがっくり肩を落とす。

「くっ、くだらね~~。ん? オイオイ。んなチョーハツに乗るなよな~~」

 ジルヴィアが挑発に乗ったかのような動きを少し見せたと思ったが、トムの懸念けねんの通り、苦笑していた。


「フンッ、くだらないですね。そういう事をする方は凍ってもらいます!フリージィン」

「……うっ……」

 顔をゆがめたメイだが、すぐにそれは演技だと「ナーンチャッテ~~」と言い放った。ジルヴィアがどこか悔しそうにしている。

「あーはっはっはっはっ、ひっかかった。実は風の盾を作っていたんだよ―ん」

 得意そうにジルヴィアをからかうメイを見て、グレイもやる気がアップした。

「僕も負けていられないな」


 自分の周囲に水の力を集中させていくグレイが遠くから大轟音の鳴るものを呼び寄せる。

――津波!!――

海のある方から地下を通って大量の水通過による地鳴りが鳴り響く。大量の水がジルヴィアに襲いかかった。


                          ◇


 津波に気づいた2人の人影――


「む!? ピュティア。何か地鳴りのような音が聞こえなかったか?」

 同行している男の問いにピュティアと呼ばれていた女の子が返事をする。

「え~~……? そうかなぁ? ってゆーかどうしたのよディリー、あんたがそんなに動揺しているなんて変よ」

 言葉をつっかえつつも動揺なんてしていないアピールをした。

「う……べ、別に動揺なんて……。でもそうともいうのかもしれんな」

 ディリーの煮え切らない態度にピュティアが怒り出す。

「どっちなのよぉ、ディリー。はっきりしないわねっ」

 

 感じとれているのはディリーだけのようだ。その証拠にピュティアは興味がなさそうである。

「……なにか……なにか俺と波長の合っているヤツがいる気がするんだ。同じ目的の奴らが……」

「ふーん、そう。別に私には関係ないわね」

 それなのにつかず離れずなピュティアの態度、ディリーは不思議に思って尋ねた。

「じゃ……何でお前は『関係ない』と思いながら俺についてくるんだ?」

 痛いところをつかれたといった表情をするピュティア、あまり言いたくはなかったがその理由を話す。

「え……そ、それは……っ。姉さんがあんただけじゃ不安っていうから。代わりに私がついてきているのよ悪い!?」


 ピュティアの姉の方がディリーとの付き合いが長かったようである。

「フン……シスコン」

「な……っ!! うっ、うるさいっ。姉さんはあんたの左目のコト……」

 からかって悪かったとばかりにピュティアの頭に手をおいてなぐさめるディリー。地鳴りのした方に歩を進めようとするディリーの後ろ姿をピュティアが追った。

「俺は地鳴りの聞こえた方へ行ってみる……」

「仕方ないから私もついていくわ!」


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