ジルヴィア戦 イベントバトル1 挿絵あり
デュア達が険悪になりそうな所でパンパンと手を叩いてメイが自分に注目させた。
「こぉ~~ら、なぁーに痴話ゲンカしているのよ。ジルさんが語ってくれているんでしょ!」
「あ~~、はいはい。申し訳ございませんねっ」
ジルヴィアが少しうろたえるも、まだごまかせるのではないかと思って話を続ける。
な……に……?
も……もしかして私って……。私って……正体がメッチャバレやすいのでは……!?
「さっ、どーぞ。お話がまだあるのでしょう?」
もうデュア達は4人ともこれ以上話すことはなさそうに歯切れが悪かった。
「う……それは……。もう十分……話し……ました……」
ジルヴィアはこれ以上話すとボロが出そうだと考えて身を引くことにする。
「それでは私もこの辺で失礼させて頂きましょう」
眼鏡を少し直そうとした時、失敗して
……あっ……!!
はずれてしまった。
「う……あ……」
苦しんでいるジルヴィアの様子にデュア達は息を呑む。
「な……なーんか、ヤバイ雰囲気……!?」
「おおおおおおおおおお……」
姿形が別ものになっていくのを黙って見ているしかない4人は!! な……これがジルヴィア!? うそだろ!? と思う事くらいしか出来ずにいた。
「うゔ……ゔあ゛ぁぁぁ」
(あぁ……もう敵わないなこの人……いや、化け物には……)
今の魔族化が強く押し出されて異常な魔力を放出しているジルヴィアには勝つ要素が見いだせない。
(戦うことしかもう能がないって感じに……)
どうにか眼鏡をかけさせないと……!! こっちがやばくなる……。そう思った4人がそれぞれ感想をもらす。
「やっべ~~……あれが本来の姿らしいぞ」
トムが勝てそうもない強敵を前にしながらも一番前で戦う態勢をとり、
「牙がある、暗黒の翼がある! さすが魔族……」
メイがジルヴィアの姿に想像心を刺激され、
「感心している場合……!!?? もう……」
デュアがメイを軽くいさめて、ジルヴィアを見つめ返し、
「コレをつけさせる、それが先決だ」
最後にトムがやらなくてはいけない行動を再確認した。
………………………………
ほんの少しの猶予時間がごとく、魔族ジルヴィアにイベントバトルを申し込まれる。
「何を言っていル……! そちらが来ないとあらばこちらから行くゾ!!」
空間に響くかのような重低音、ジルヴィアがほぼ魔族化してしまっている証拠である。4人全員恐怖心を押し込め、かけ声をかけ合ってこれからの行動への勇気を奮い起こしていた。
よし……! 行くぞ……!!
……行っ……くぞぉ~~
「ん~~~~~~~~~~~~~」
まずはトムが手を上にかざし――
「ファイア~~~~ッ!!」
トムの掌からもうもうとした炎が舞う。
……やったか!? ……ってやってるわけね~~
炎の熱気によって、そして当たった時の蒸気でしばらく視界が悪かったのが晴れた。しかし炎は直撃していたが、ジルヴィアにダメージを受けているのを感じ取れない。
メイッ! 後はよろしくなというトムの言葉を受け、メイが準備を完了した。
メイの周囲を風が包むかのように吹いている。今のメイの力で発生させられる風の強さでジルヴィアに真空のダメージを与えるかの様に風の形を変化させていく。
風力50ッ!!
暴風雨の時に聞くような風の音。風はかまいたちの様になり、ジルヴィアの体を切り刻んでいった。こちらにまで被害が及びかねないのでデュアが軽く注意する。
メイ~~、やりすぎ!
その声自体は風の音にかき消されてほぼ聞こえなかったのだが、デュアの表情が怒っているように見えたので謝る。
「たはっ、ゴメン」
デュアもデュアで自然の力で雨雲を引き寄せて、指先1本でジルヴィアに雷を落とす。
雷×5
デュアこそやりすぎなんじゃないの? とメイは声に出した。
まだデュア達のターンは終わらない。
最後にグレイがジルヴィアの方へ向かう。
「後は僕に任せて!」
そうデュア達に伝え、剣に意識を集中させて剣に水属性を付加した。
「ウォーター~~ソードっ!」
ジルヴィアの瞳が大きく見開くと、グレイの剣が凍りつかされる。
「うあっ!」
しかし、グレイには想定内の事な上に水が固まって氷の剣になっただけなんだから思わずニヤリとしてしまった。
「いやぁ、ありがとう。僕のソードを強力にしてくれて」
軽く嫌味な言い方、嬉しい悲鳴かの声色でグレイはジルヴィアに言い放ったのだが、ジルヴィアも上手くいったというような表情で声を出して笑い始めるので困惑する。




