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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
友情の芽生え
8/112

トムの心 1



 主にトムを狙っている怪しい影は彼らが眠りこけるのを待ちわびていた。

「あ~~あっ、疲れた。ふあーあっ……と眠い。グレイお先になっ」

 眠気に勝てず、トムはすぐに夢の中に入り込む。

「ああ、ボクも寝るよ」


 表の世界がどうとか、旅をしなければならない使命があるとか良くわからないうちに巻き込まれる形になったせいもあるのだろう。とにかくトムとグレイはベッドに入るとすぐ眠りへと誘われた。

(もう少しだけ様子を見るか)




イベント発動




 トムを狙っているヴァルマーは息を殺して細心の注意を払う。

(いや、待てよ。寝ぼけた状態の方が都合よいかもしれん。作戦変更だ)

 ヴァルマーはグレイの直感に気をつけつつ、トムを揺さぶって起こし始めた。

「…………はっ!? だっ、誰だ」

 ヴァルマーの美形な顔立ちに驚いたのか、それともこのヴァルマーという魔族の存在に驚いたのかよくわからないリアクションをするトム。何とか目覚め切れない頭で状況把握をしようとする。


“我が名はヴァルマー!! 貴様の『心』を頂戴する!!”


「な……!? オレの心……?」

“その通り!! 方法を知る必要はない。これだけなら教えてやる。私はクジャクさまの側近が一人、ヴァルマーだ”

(クジャク? リリィさんが言っていた魔族の親分のことか……?」

 魔族ヴァルマーが自分の使命を宣言し、そして実行に移そうとしてきた。

“貴様の『心』頂戴する!! 理玉は頂いた”

「こ……理玉?? 何だそりゃ?」


 寝ぼけているトムの頭の中はクエスチョンマークだらけになる。仮に寝ぼけていなくても理解不能で頭の中が混乱していたのだろう。



“理玉とは心の中枢のようなもの。なくなれば人形同然となる重要なものだ”


 その時、グレイが一瞬目覚めかけたが何事もなかったかのようにすこやかな寝顔に戻るのであった。小僧一人増えた所で少々面倒が増えるだけ。なので気絶させてやろうとした。

“こっ…………このガキ……! びびらせやがって”


 ヴァルマーがグレイの首に手をかけようとした所でトムに止められる。

「オレの友達に手は出させねえ。オレに用があるならオレだけにしろ!!」

“ふふふっ、私としたことが取り乱してしまったな。そうよっ、私も貴様の理玉以外に興味はない”

(こいつかなり抜けてんのね)

 だんだん目が覚めてきて頭が働いてきたトムが感じたヴァルマーの第一印象がそれだった。かしこさがトムより低いからそう思われても仕方がない。トムの賢さ58でヴァルマー、54なので。


「で? 理玉って何だ?」

 寝ぼけて口走ったことなんて覚えていないトムは、ヴァルマーが怒った理由がわからない。

「ええいっ、さっき説明してやったろう。いいからおとなしく貴様の理玉をよこせ!!

「よこせだと? あっ、この事か。だったらそうもいかねえ」

 トムもヴァルマーの意図が理解できてきたので反発し始める。強引なヴァルマーに対してトムは軽やかなステップを利用している。


○魔物幹部ヴァルマーの意表をついたスピードを見せる かなりのイベント経験値獲得



トムの適応能力18から23までup


“一人でごちゃごちゃしてんじゃねえ。よこせばいいんだよ!”

「けーっ、やぁ~なっこったい。そう聞いて渡せるかってんだ」

 イライラと歯噛みするヴァルマー。

“うぬぬぬぬ~~っ”

 ヴァルマーは忌々しげにうなり声をあげていた。そしてしばらく沈黙が続く。

(ちっ……そうはいってもこいつ強すぎる。む~? どうするか。オレ!! トム=ライトはただではやられねえぞ)


 トムの胸中など知ったことではないヴァルマーが事をさっさとすませるために技を使おうとしていた

“いつまでそうしているつもりだ”

 ヴァルマーの両手かの間からギターの弦のような滑らかな電流が発生する。

(やべえっ、もうダメだ。しかも無装備だったりするし)

“いくぞ、小僧”


 それは一瞬の出来事であった。

「うぁ………………!!」

 トムはヴァルマーの一撃で無力化させられる。ヴァルマーはトムの胸辺りから理玉を取り出し始めた。

“うはははは――っ!! 頂いた、頂いたぞ!! 光り輝く心の働きを司るモノをなーっ!!”


 その頃、隣の部屋で得体のしれない胸のつかえのようなもののせいで目を覚ますデュア。

「何かしら……? この感じ。妙な胸騒ぎがしてきた。まさかトム達に何かあったんじゃ? 見にいった方が良さそうね」

 デュアは嫌な感覚が外れてくれることを祈りながら急いで隣の部屋に行き、ドアを叩いた。

「グレイ!! グレイ!! 開けて。私よ、デュアよ。お願い、起きて」

「う~~~ん」

 よろよろと寝ぼけ眼でグレイがふらつきながらもドアを開けてくれた。


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