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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
79/112

ジルヴィアの術にはまっている? 4 挿絵あり

「デュア!!」


 トムの声にデュアが静かにうなずいた。

「今こそ自然の力をとくとご覧なさい!!」

 根っこが意思を持っているかのように伸びてデスハウンドの心臓付近を貫いた。

「ギャウ……!!」

 根っこの突き刺さっている付近からデスハウンドの血液が流れ出し、泡を吹いて全く動かなくなった。魔物が地面に打ち付けられる。

「ふうっ、1匹倒すだけでなかなか苦労しちまったな」

「う、うん。そうね」


戦闘終了後ステータス


デュア  レベル 28 HP176   適応能力 45→48 かしこさ 114 勇者見習い

 自然と心を一つにする勇者見習いの特技の一つで魔物を倒したため

 

トム   レベル 30 HP223 適応能力 50 かしこさ 74 戦士


 変化なし(レベルアップせず)


メイ   レベル 29 HP150  適応能力 48 かしこさ 115  召喚士


 変化なし(レベルアップせず)



グレイ  レベル 30 HP182 適応能力 41 かしこさ 129 魔法戦士


 変化なし(レベルアップせず)



※レベル上昇と共に、HPやかしこさも上がっていますが、一番重要な適応能力の上昇値のみをわかりやすくしてみました。




 自然と心を一体化しているデュアが最後に感謝の気持ちを伝えていた。


(ありがとう、あなたは何ていう木?)


――私はブナの木です。お役に立てて嬉しゅうございます


(ブナさん、どうもありがとうございました)


――はい、ではまた会える日を楽しみにしております


 そんな事をしているなんてわからないトムがかす。

「おいっ、デュアっ。何してんだ、行くぞ」

「あ~~、もう。待ってよー」

 ブナの木に会釈して仲間に合流しようと走っていった。

「ふぁ~~、何だか疲れちゃったよー」


「そんな事でへばっていては、対クジャク様戦ですぅ~~ぐやられちゃいますよ」

 フォゲットの効果を消してジルヴィアが姿を現そうとしている。



………………あれっ!? 誰だ!?

「ぼっくでーす。また助言をしに来ましたーぁ」

 記憶のどこかでひっかかっている人型魔族だというところまでは出てきたので

「あ~~っ!! この前の……っ!」

 にこにこして「思い出しました?」という目でデュア達を見た。


 4人とも思い思いの思い出そうとしているポーズで

「えーっと……確か……。んーとえーと、ゔ~~~~~~」

 しばらく思案に時間をかけていた上に結果的には意味のない時間になってしまっている。

「誰だっけ?」

 コメディの様に自分の体が爆風で飛ぶ想像をジルヴィアがした。

「そ……そんだけ時間をかけておいて……誰だっけはないでしょう」

「だって忘れちゃったんだもん」


挿絵(By みてみん)



自分のトレードマークともいえる眼鏡を見れば思い出すはずだとジルヴィアが考えたのだが――

「この眼鏡に見覚えがないですか?」

「ない!」

 ここまで簡単に否定されてしまってはそうした記憶はいらないもの判断されたのかと苦笑して、このキーワード(名前)さえ言えば確実に思い出すことを試みた。

「ハハッ、やだな~お忘れになっちゃうなんて僕です、ジルヴィアですよ」

また今度は数秒考えて……

「ああっ、思い出した思い出した! いんや~、ごめんなさいねっ。思い出しましたよ」


 実際はジルヴィアに記憶操作されていたという事実があるのだが、そんな事は知らないデュアが申し訳なさそうにする。

「あ~~~~~~っ!! テメェは……!」

 だからといってトムのように騒ぐ奴はわずらわしいのだが、冷静に返した。

「おやおや『テメエ』呼わばりされる筋合いはないのですけどね……」

 どうやらトムはクイの件を鮮明に思い出して怒りがぶり返してきているようだ。

「すっとぼけやがって……てんめ~~ッ。テメーの弟のクイってゆークソガキがこいつを」

 

近くにいるグレイを引き寄せて

「コイツをっ、グレイをっ、1回殺してんだぞ!! それなのにのこのこ出てきやがって……!」

「やめろっ、やめるんだトムッ! もう過ぎた事は……」

 眼鏡の奥の目を伏せて、グレイは少し傷ついた顔をした。

…………………………長い沈黙の後でメイがトムを止める。

「ちょっ、ちょっと傷を……心の傷を深めないでよ……。それに……それになによ! あなた!」

 魔族であってもジルヴィアは感情の機微がわかるみたいだ。追求の言葉を投げかけられる前に身の上話を始めた。


「ちょっ、ちょっと待って下さい。あなた方の言いたい事はわかるつもりです。私も今は魔族幹部ですが……私は……1回死んでいるのです」

 ヴィアンの例もあるので、デュア達も慎重になっている。

「なっ……何だって……!?」

「どういう……事?」

……しまった! つい私の事を完璧に思いださせるようなミスをと思いつつもジルヴィアは気を取り直して、『ま……いいでしょうその方がクイと私の過去を知って同情してくるはず』ですから好都合だという風に考えていた。


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