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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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74/112

メイの回復まで 1

◇


しばらくして

――食堂――

「ちわっース! お早うございま―っス!」

「お早うだって? おそようじゃないのかい?」

 食堂のおばちゃんと軽口を言い合って、「ハハハ……」とみんな笑顔になり

場が和やかになる。

「え~~、もうそんな時間なのかよー?」

食堂の壁かけ時計をチラ見してもうこんな時間だったのかとつぶやいた。

「そうだよ。まったく……早くお食べよ。おや、メイちゃんは? なんて……あんたらの親でもあるまいしねえ。何にするんだい? みんな」


「俺はん~と何にすっかな。あっ、そうだ。俺はヤギのミルクのスープとパンとサラダを頼む」

 トムが早速注文したので、デュアとグレイが後に続く。

「わ……私はライスボールと味噌汁でも頼もっかな」

「僕は少し具合が良いと言いがたいんで煮込みうどんなら」

 任せな! と元気よく応対するおばちゃん、そのまま調理場に入って調理を始めた。「席はどこに座る? 」とデュアが2人に尋ねた時、たまたま4人がけテーブル席のお客さんが食事後の会計をしに行ったので空席になった。


 ここで良いよねと2人に確認してそこへ座る。ウェイトレスがやってきて(ここの食堂のおばちゃんの娘さんらしい)テーブルの食器をどかしてテーブルを拭いていった。

「あ~~、大丈夫かな? メイは……」

 一人で部屋にいるメイをデュアが気にかけていた。寝ているのならそれに越したことはないよなとトムがグレイに返事を求めるが、グレイはグレイでぐったりしている。

「おっ、おいッ。大丈夫かよ? ったくこの双子は……」


 行儀が良いといえばその通りだが、特に話題もないといった感じでデュアもトムも黙ってしまう。どことなくまだかな~といった動きはしているが。

――しばらくして


「はーい、煮込みうどんお待ちぃ!」

「僕です……」

 グレイが弱々しく手を上げた。

「おやおやァ? 元気ないねェ。ホレッ!」

 少しわざとらしく食堂のおばちゃんがアツアツの料理を腕に近づけると……

「うあっちゃあ!!」

 少し器の厚い部分が腕に当たったのでグレイは腕を押さえる。


「ははは! 元気じゃないか! ホレ、食わせてやるよ」

 そんな事までしてもらっては周囲の目もあるし恥ずかしい。少し焦ってグレイはそこまで具合が悪くないですからとどうにかごまかしきった。


うーん、いけずぅとか古い考えをしていそうな目ですごすごと去っていった。 (フゥーッ、セ~~~~~~~フ) 今度はトムがおせっかいを焼く。「ほらっ、食えよ。大丈夫なんだろ?」(そこまで大丈夫って強調される程は回復しきってないんだけど……心配かけたくないし) 人は誰しも他の人が食べているものが魅力的に見えてしまうものだ。トムも例外ではなかったようである。「あははっ! いやー、悪い。それ美味そうだなっ」 

見られていて落ち着かないが、グレイは煮込みうどんをすすった。

「くくくっ、本当に美味そうに食うなお前」

 結構喉に通りそうだとグレイがもう少し煮込みうどんをすすりながらも食べている合間に――

「お前な~、『くくく』って悪役みたいな笑い方してんなよな」

「別にいいじゃないか」

 トムとグレイでいじりあっている内に横から何かを食べる音が聞こえてくる。

「ってー! お前っ、デュアっ!! 何を食っとんじゃー!!」

「だって……ちょうど今来たのよ。あたしが注文したやつ」


 「俺のは?」

 そんなに手間は変わらないし、俺のも来ていておかしくないんじゃないかとデュアに尋ねたがそっけない答えを返されただけだった。冷たい言い方をされたし、つれねー奴らとトムが口をとがらせる。

「お待たせしました」

「おーっ、やっと来たか」

 美味しそうだから頼んだヤギのスープにまずひとくちだけ口につけた。

「ん~~~~っ、うめぇ。なんだろう? この不思議な旨さ……クセになりそうだぜ!」


 あまりに美味しそうにトムがスープを飲んでいるので、デュアが少しだけスープ皿から失敬する。

「ふーん、そんなに美味しいの? どれどれ……」

 スプーンを口につけた。トムは顔を少し赤らめてこ……これって……間接キスじゃん……と極力意識しないつもりでもデュアの狙っていない行動に内心歓喜する。

でもデュアには自覚がなく、更にトムのある意味触れて欲しくないからかいをした。

「あれー? 少し顔が赤いんじゃないのぉー?」

「るせぇ!!」

 トムの機嫌が微妙に悪くなってしまったが、デュアは図星なんだーとニヤニヤしている。


 その後、約10分間は食べる音のみが場に存在した。

(これじゃ漫才じゃない。ってゆーか、グレイは具合平気なのかしら)

 デュアが心配したタイミングでトムがグレイに調子を尋ねていた。デュアとトムはそれだけ仲の良い2人なんだと裏付けられるかもしれない。

「そういやよぉ~、おめえ。もう大丈夫なのかよ?」

「うん、おかげ様でね」

 実際体調の悪さが改善してきたからこそ妹のメイの心配も出来るまでになっていた。

(そろそろメイのところに行ってあげなくちゃ)


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