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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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クイとのイベントバトル 3

 トムが本気でガードしてくれた、そうじゃなかったらと思うと。勝つために何よりもこの状況をどうにかしなきゃと行動した。

メイが多分リリィならどうにか対策ないしは回復を出来るだろうと踏んで召喚魔法で呼び出す。

「召喚、リリィ!!」

 空間の狭間から出現。そのリリィだが眠そうだ。

「むにゃ~~、なんですか。おやすみなさい」

 さすがにここで帰られてしまうのは痛すぎる。状況を理解してもらうためにも一大事だという雰囲気を発生させて引き止めた。

「こら~~~~っ!! おやすみじゃないでしょ!! ……ったく大変なのよっ!」

「なにがです?」


どこか抜けているリリィに脱力しながらも、仕方がないのでして欲しい事を説明する。

「この状況を見てわからないの? あなたを呼ぶって事は治療を頼みたいって事なの!」

「誰のかし……」

 横目でトムを確認して――

「あっ、トムですか。うーん、これは大変ですね確かに……。防御壁を張ったのにこの状態異常ですか……。あまり見覚えがない……! 恐るべし『凝固』!!」

「ねぇ、何かいい対策はないかしら?」


 メイに方法を尋ねられたリリィだが、あまりこうした治療の経験もなく途方に暮れたように遠くを見つめるのみだった――そこでまだあの世との交信を終えていないデュアが何か知らないかと質問していた。

「私もかつて……このような光景を見たことがあるようなないような程度の知識しか持ちあわせていませんが……。一筋縄じゃいかない相手ですよ『凝固』の使い手は……」


 パパ……! そうなの?

<そうだぞ~>

 しばらく目を丸くしていたメイが我に返って

「そ……それで!? 倒す方法は!?」

「愛です」

 対抗策を思いついたリリィがメイに方法を伝える。

「あい……」

 何だか饒舌じょうぜつになったリリィの話す方法をデュアが簡潔にまとめる。それにメイは感心していた。


「そうです。愛を持たぬなんてごくわずかにしかいないハズ。あの子は完璧に魔族の子ですからその僅かに入ってしまっていますね」

「リリィが言いたいのは愛をもって戦えばあちらにも愛が与えられるかもしれないって事ね」

「流石……頭の回転が早いわね」

 少しの間、よそ見されていたクイがわざわざ忠告をしてくる。それでも驚異的な能力だから助かるけど。

「何、よそ見してんの? こっちから行くよ?」

 MAX凝固!!


 風の防御壁に精霊の加護を与えて更なる守りを固める、という精霊術があったようである。それの使用でもしかしたら『凝固』の恐れを軽減できるかもしれなかった。結局はこの後の戦闘で明らかになるだろう。

「メルテッド! これでかなりやわらげられるかと」

「ありがとう」

 またもメイの耳に何かが凝固していく耳障りな音が響いた。

パキィィィ~~~~ン

 クイはやったか!? と思う。


……が!

霧の中からしっかりと動いている人影が見えた。

「あなたにとって残念でしたっ! ちょっと肩をやられたくらいで済んだよ」

 これ以上の能力がない『凝固』で勝敗を決せなかった事にクイは焦りを見せる。

「な……何で!? なんでなのさ! ボクのパワーはMAXなんだぞ!! それなのに……!!」

「グレイ、あなたの考えをもう一回言って」

 デュアのペンダントの交信機能で今度はグレイの声が届いた。


<わかった……クイ!!>

「!?」

<君はまだ幼いだろ。さっき言ったようにまだその『力』を発揮しきれない事がある>

 クイはデュアのペンダントから交信されているのを理解できていないようで、どこかうろたえながら自らの力を誇示していた。

「何だよお兄ちゃん。その言い草は! どこから言っているかは知らないけどボクは魔族なんだ。不可能っていう文字はないんだ!!」

<魔族だからどうしたって話さ!>


 自分の兄、グレイがクイを強く注意している事にメイは意外と思う。グレイが珍しく怒ってる……!

<君は魔族だっていう意識をしすぎているんだよ。その方が最強だと考えている、そうだろう!?>

「そう思って何が悪いの!! ボクは……ボクは……魔族の子なんだ~~~~~~~~っ!!」

 不可視の力が風の防御壁を破っかのようでみんな静止してしまい、交信も途切れた。

「はぁ、はぁ。ボクを怒らせたのがいけないんだ」

 ふらっ……とクイがめまいを感じる。

「な……っ!?」

「まったく『力』の使いすぎです」


 どこからともなく具現化した精霊に体を支えられた。

「……あんたは……」

 メイに召喚された精霊リリィが召喚者の代わりに具現化可能時間だけでもとクイの気を引く。

「精霊リリィです。あなたはがむしゃらに『力』を使っていました」

「そんなコト……!」

 それ以上否定せずにいる。わかっていながらも認めたくないという感じだろうか。

「少しはわかっているみたいですね」


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