クイとのイベントバトル 2
「……も~~っ、お姉ちゃんもさっきのお兄ちゃんと同じ目にあわせてあげようか?」
「……そんな事は不可能よ」
メイが自信を持っている事、何故なのか不明である。クイは考えてみたものの答えは出ない。
「なんでさ!?」
タネ明かしと呼ぶにも及ばない事を告げるメイ。確かに言われてみればそうだと納得するしかない話をするメイの意見。反論の余地はなかった。
「だって私の召喚した能力の『風』は実体がないもん。今さっき真空の防御壁を張ったし。どんなものも通さない……っていうまでの程ではなくとも、ほとんどあなたの攻撃はシャットアウト出来るわ!」
ただの風なら水蒸気などの影響で固まる部分があるだろう。しかし、真空だと外気などすべてを受け入れない以上凝固の効果が現れないのだ。
「確かめてみたほうが早いね」
そんな理論上の考えなんてどうだっていい。魔族は人間を超越していて当然なのだ、クイもそうした魔族の考え方が染み付いているのでやってみないことには諦めなかった。
クワッ!! と目を見開く。
どこかからパキィィィ~~ン……という音だけが聞こえてきた。が、防御壁には異常がなかった。
「うう……」とうなりながら、クイが下を向く。
「本当だね……一見完璧すぎて何も通さない感じ」
絶望的な表情をしたように見えた。完璧ね! とデュアがメイを褒める。トムもウインクでいいぜと合図を送る。褒めたはいいものの、デュアはクイが急に弱気になったのを訝しく感じた。
ハッと気づいて――
「もしかして……いいえ、もしかしなくてもクイは隙をうかがっているんだわ。よし、ここは忠告しなくちゃ!」
デュアはメイを呼んだ。クイはもしかして作戦を見破られたのかもと次善の策を練り始めている。
――メイ、聞いて。トムも。
あの子はたくらんでいるわ
トムがデュアに確認する。
――何を?
――私達の隙をうかがっているんだと思うの。だからメイが気を緩めたところで不意打ちをしかけてきそうなところが怖いわ……。防御を解いちゃダメよ、絶対。メイにもしもの事があったらまず勝ち目はなくなるだろうし
デュアの少し焦りだしている忠告を聞いて、トムとメイは肝に命じた。
――わかった。気をつけるようにする。グレイを取り戻すために……
――そうだぜ! メイがやられちゃ元も子もねーからな。安心して召喚に集中してろ……! もしお前がやられそうになったら俺がかばってやるからよ
トムの言動を茶化す余裕がメイに出てきたようだ。
――あーら、カッコイイ事を言っちゃって
しびれを切らしたようで、クイが怒りを内に秘めたトゲのある言い方でこの場の雰囲気を冷え込ませる。
「いつまで話しているつもり!? そろそろまた始めようよ。何を話していたかっていうのは大体想像つくけどね……」
3人で立ち向かう気持ちを奮い立たせて、トムが代表となってかけ声をあげた。
「やるぞ~~っ」
「オ~~ッ!」
風がメイの周囲を取り巻いていた。その量をどんどん増やしてメイは「負けないわ! 絶対」と思いつめている感じになる。
クイが風が無理なら他の部分を固まらせればいいだけという考えのもと、全ての現象の総取り、『原子』を支配してしまおうと恐ろしい能力の大部分を扱おうとしている。
「そろそろこの巻きついているのを外させてもらうよ」
クイの『原子』を固まらせるという恐怖の使用方法は成功してしまった!? ようで『凝固』によって空気の成分を固めて巻きついていた枝ごと落とした。
「……ふぅ。かたっ苦しかった」
メイは予想以上に厄介な能力だと辟易する。原子または分子単位で『凝固』させられるなんて反則だと悪態をつきたいくらいだった。
「さぁ、これからの邪魔はさせないぞ」
MAX凝固!! クイのこの叫びが本気ならどんな事が身に降りかかるかわかったものじゃない。真空の防御をギリギリのタイミングで発動させるだけで精一杯である。
「!! 危な……!!」
パキィィィ~~ンという嫌な音が耳に響いてくる。恐る恐る体を動かそうとしてみたが、すでに麻痺のように自分の意思では動かせない状態になっていた。
「! 右半身を動かせない……!」
デュアもただつぶやくことくらいしか出来ない。
「威力が強くなっているようね……」
「ああ……気をつ……けろ」
トムの声がした方を向くと、ほぼ全身を凝固させられてしまっているトムがメイをかばうような体勢で凝固させられてしまっている。しゃべるのも辛そうな状態であった。
「あまり喋らない方がいいわ」




