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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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クイとのイベントバトル 1

 そこまでしてもらえる理由をメイは思い浮かばない。理由がわからないという気持ちを口に出した。

「……なんで……」

「だってメイは切り札なのよ。忘れたの? リリィの言っていたこと……」

 仲間と助け合う事など重要な事を思い出す。

「そうだった、ゴメン……」

 一度祈るように目を閉じて気持ちを切り替えた。

「あたしが……ううん、あたししか『凝固』を防ぐ事が出来ないんだもんね……」


 メイの背中を押すようにデュアとトムが相槌を打ち、笑って言う。

「……さっきのお兄ちゃんを生き返らせる方法なら一つだけあるよ。だってまだ仮死状態だから」

「!」

 衝撃を受けたメイに変わってデュアが訊いた。

「何……それは……?」

 一度上を仰ぎ見てからデュア達を正面に見据え、ただそれのみを告げる。

「ボクを倒すことさ」

 デュアはこんな子どもの姿をした魔族を……と逡巡した。


<デュアッ!>

 ペンダント越しにグレイが語りかけてくる。

<子どもを殺すっていうニュアンスならためらうし、酷だろうと想像できるよ……。だけどね、本当に殺生するわけじゃないんだ>

 すぐにはデュアも意図がつかめなかった。

「どういう事……?」

<ん~~~~、説明が難しいなー。まぁ、かみくだいて言うなら……えっとね、本当に殺す必要はないんだよ。寸前で止めるってゆーのかな? いわゆる瀕死ってやつさ。だよね、父さん>


グレイとトムの父親が照れている。

<ん~~~~、まぁそんなもんってところだよ。仮死状態ならばどうにかなる可能性もあるけど時間が経つと厳しくなるぞ。ちゃっちゃとやった方がいい。ちゃっちゃとね>

 久しぶりに聞く父親の声にメイは勇気をもらった。

「パパったら……ずいぶんと簡単に言ってくれるじゃない」

 そのメイにトムからの苦情が入る。

「コラ~~~~ッ!! メイっっ! おじさんと話してないでこっちの加勢をしてくれよ」

 どうやらクイが仕掛けてきているようであった。


イベントバトル


レベル33の幹部魔族クイのステータス


HP 392 適応能力 54 かしこさ 110


仲間ステータス


デュア  レベル 26 HP169   適応能力 45 かしこさ 109 勇者見習い


トム   レベル 30 HP223 適応能力 50 かしこさ 74 戦士


メイ   レベル 29 HP150  適応能力 48 かしこさ 115  召喚士


グレイ  レベル 30 HP0 適応能力 41 かしこさ 129 魔法戦士(ただいま仮死状態中)


「じゃあ行くから。じゃあね、パパッ!」

 最初から戦闘参加出来なかったお詫びとばかりにメイが大地の精霊の力を借りて木にお願いする。

「……木よ……。永い眠りから目覚めたまえ!!」

 近くにある木の根っこが巨大化していき、更にぐんぐんと枝も伸びてクイを根っこと枝で取り押さえた。

「わーんっ、卑怯だぞっ、お姉ちゃん。ボクをどうしようってのさ! ねぇーー」

 クイの戯言のような話にメイはただちらりと一瞥するのみである。

「まったく、クイッ! どっちが卑怯なの! グレイを仮死状態にしておいて。無益な殺生じみた事はイケナイくらいわかるんじゃないの!?」


「そーだ、そーだ」

 メイの意見にトムが賛同する。だが、クイはどうでも良さそうに答えた。

「いいよもう、その言葉は。耳タコだよ」

 クイが面倒そうにしている事実にメイの怒りが爆発しかかっている。

「耳タコぉ? 1回しか言ってないじゃないのっ」

「だ――――ってボク魔族の子だもん」

 屁理屈をこねるクイの一言にメイの怒りが霧散しかかり始め、何だか強く言っても無駄な気分になってきた。


「だからって……」

 急に『くすりっ』というような含み笑いをしたクイがメイに対して小馬鹿にしたような感じで冷たい声音で言う。

「忘れちゃったのぉ? ボクに『凝固』の能力があるってコト……卑怯だって言ったのもわざとだよ。こんな巻きついている枝なんて壊しやすく固めて砕いてやるんだから!」

「そんな事はさせないわ!!」

 大地の精霊に続いて、今度は素早く風の精霊を召喚しているメイが特殊な風を起こしてもらった。

「!」

 お姉ちゃん……と底が見えないような暗い瞳でクイが聞いた。得体のしれない恐怖を押し殺してメイは平静を装い――――

「あらぁ、ごめんなさぁい。邪魔をするつもりはなかったんだけどね……」

 皮肉を口から出す。


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