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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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クイの様子見? 4 その後

 クイは口を滑らせたと気づいて――「え!? ぼ……ボク、今なんか言ったかなあ?」

「残念だけど言っていたわよ」

 まだバレていると決めつけられたわけではないとクイが口笛を吹いた。

「とぼけてもダメよ!! バレているんだから!!」

 思い通りに行かなかったのでクイが舌打ちをする。

「バレちゃ仕方がないな。その通りだよ。お姉ちゃんの言う通り。認めはするけどだからどうしたっていうのさ。ボクも最近知ったばかりだけどさ」


 その能力に驚きの声をあげていたトムが共感を求めた。

「ふぇ~~。ボーズもこの頃知ったのか?」

「うん、そうだよ」

 能力を使うにあたって戸惑いを感じなかったのかとデュアが問う。

「何か……固まるのを見てなにも思わなかったの?  不気味だとか」

「んーん、別にぃ」

「そう……」

 今になってトムが納得したように左の手の平に右拳を打った。


「てーことはだ……お前ってもしかして敵だったのかーーッ!?」

 トム以外の3人が単細胞な奴と思ったのはいうまでもない。まずはクイが容赦なく悪口でさげずんだ。

「気づくのが遅いんだよ、バ~~~~カッ」

 残念だけどデュア達もこれにはフォローをする気が起きず、クイの罵倒に追随する。

「うん、バカね」

「バカ」

「バカ」

 っと全員から連呼されてしまった。


 トムが不満を持っている表情で言い返した。

「なんだよーーっ、バカバカ言うんじゃねえよッ。余計バカになるだろっ!」

 そのトムの反論は流し、そんな事より大切なクイが自分達に近づいて来た理由……それをデュアが聞き出そうとする。

「どうして……私達に近づいたの? 何か目的があるはずよね?」

その訳をいうわけにもいかないクイは口をつぐむしかない。

「そ……それは……」


 クイのうろたえている様子を見て――

「いい。言わなくても良いさ」

「グ……グレイ!」

 多分そうじゃないかという事を誘導尋問した。

「また……来ると良いよ。僕達をしにね」

 ! 気付かれたと表情に出してしまったので4人とも気づいたのではないだろうか。

さ……さすがあのお兄ちゃん頭が冴えている切れ者だな……!

「じゃあ……今日の所はひくよ。じゃあね」


 クイが風の様に消えた。

(クイ……)

 デュアは何を思ったか。

「おま……! グレイッ!! なんであのガキを……!!」

 それ以上を聞くまでもないとグレイがトムの口をおさえる。

「言いたい事はわかっているよ。今は返してやるんだ」

 トムがグレイの次の言葉を待つようになったので手をさげる。トムは少し苦しかったので息を吸い込んだ。


「僕達を偵察しにきたんだ。ま、いわばスパイみたいなもんかな」

「偵察……ってどういう事だよ……」

 デュアはトムったらまだわからないの……と思って持論を展開する。

「トムは感じなかったの? あの子のいいしれない威圧感プレッシャーを……」

「あたしも何となく感じたわ」

 改めて考え返してみるとトムも実はそう思ったのがわかった。

(あのただの幹部のガキに思えない目……! すごかった……確かに目があった時に威圧感があったな)

 トムは心中で思ったつもりだったのだが、小声で口に出してしまっていたようだ。


「たしかに」

「ちょっとたじろぐわよね」

 グレイとメイにあいづちを打たれる。デュアは同じ結論が出るだろうとわかっていても再びグレイに質問した。

「……にしてもクイはなぜ……なんの目的で近づいて来たのかしら」

「おそらく僕がさっき言ったように偵察に来たんだろうね」

 グレイの推理もどきにトムがうなる。

「うーん、やっぱり頭のキレるやつは違うな」

「ハハッ、やめろよ。照れるじゃないか」


 まんざらでもなさそうだなと思う一同であった。


                    ◇


 

 ――その頃のクイ

どうしてあのお兄ちゃんは僕が敵だって断言できたんだろう? 僕ってば自分で言うのは何だけどあんなに芝居が上手かったのに……だからアイラ姉ちゃんとかいろんな人(?)があのお兄ちゃんたちのパーティを片付けようとしているのかな……と思考の海に沈みつつある。

あ~~~~、それにしてもくやしいよぅ~。そうだ! 兄ちゃんに力を貸してもらおう!(ちなみにアイラは遊んでもらう事のあるお姉さん。今、助力を求める予定なのは血を分けた実の兄弟)


「ジルヴィア兄ちゃ~~~~ん」

「ん……誰か呼んだ気がしたが……」

 そのジルヴィアが後ろを向いても人影がないので空耳かなと思う。

「ボクだよ、ボク」

「うん……?」

 きょろきょろと周囲を見まわした。やっぱり気のせいか……とジルヴィアが思った時――

「兄ちゃん。下だよ! 下見てよ!」

 からかって悪かったとジルヴィアがクイの頭をぽんぽん叩いた。


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