クイの様子見? 3(挿絵追加)
能力的にはとても危険なものを持っているクイ。
ただ、今の所は戦闘する気はなさそうで?
グレイがハッとして気がつく。
「もしやコレは最強の能力『凝固』の力なのでは……」
全員動けなくしたつもりだったのだけど、人間は用を足す事もあるんだったうっかりしてたなとかクイが考えている。それに自分の能力をすぐに言い当てられた事に計画の練り直しが必要かもと思った。
「やだな~~、クスクスッ。もうわかっちゃったのォ? 頭が良すぎるねえ、お兄ちゃん」
やっぱりそうか! とグレイが納得する。
「でも……ここまでとはね……。だけど君の能力は未完成っぽいね……」
クイが頭にクエスチョンマークをつけた。
「『?』 どういう意味かなぁ。お兄ちゃん」
まずはその能力が未完成の内に倒すのがセオリーかもしれないが1人では分が悪い。もう少し冷静さを失わせて一番重要な事は話さないという戦法をグレイは考えて実行した。
「説明してあげてもいいよ。君の能力はまだまだなのさ。もしコレが本気だったら笑っちゃうね」
「なにお~~~~っ」
乗ってくると思っていたよと、グレイが内心でほくそ笑む。
「僕はきっと君にこの事を言ってしまったら仇になってしまう予感がする。間違いなく。でもこうした方が結果的に良いと思うから教えてあげるよ。スパスィーバって思うんだね! フフフッ」
どうやらクイの気を引くのに成功したようである。
「はっ、早く言ってよ!」
このレア能力の脅威の側面をグレイは語る。でも予想通り、クイはよくわかっていない様子だったので付け入る隙は存在しているだろうなと思った。
「この『凝固』は人の命を奪うのもたやすいって話さ。なにせ『凝固』させるんだからね。血を凍らせてしまえばみんなジ・エーンド、終わりという恐怖」
能力的にはとても危険なものを持っているクイ。
「ただ、今の所は戦闘する気はなさそうで? なに? どういう事、、、僕は子どもだしよくわからない……」
「これ以上言ったら不利になるって話したろ? だからもう言わない」
クイはそれを聞き出そうとはしなかった。近い内に気づけるだろうと自分の中で納得したからだ。「でもこの能力が僕が知る以上にすごいって事はよくわかったよ」
グレイが側頭部を指差して、クイの年齢より聡い事実を褒める。
「君はここの回転が早そうだから今にでもわかるようになるさ」
「お兄ちゃんってちょっと不器用だね」
必要以上の笑顔でグレイが威圧的になった。
「余計なお世話だよ」
デュアとトム――
「あの2人、何を話しているのかしらね」
「さぁな?」
展開についていけず置いてけぼり感を味わったトムが寝転がろうとした。グサッ!! とまではいかなかったかもしれないが背中に痛みを感じる。
「っ痛~~~~っっ!! んだよ」 トムの背中が触れた草が折れていく!? しおれるならわかるんだが、草が折れるという異様な光景を見てデュアは問いかけた。
「……坊や……いいえ、クイ。何をしたの?」
「ちょっとね。僕の能力を確かめてみただけだよ」
グレイと話していた間の一部の記憶のぼやけ、それに先程の草の状態などを総合してデュアが恐ろしい可能性に気づく。
「ま……まさか……! クイ、あなたの能力は……!!」
クイはまだ気付かれていないだろうと嘘をついた。
「ボクの能力? 何それ」
自分の推理に間違いないと思うデュアが確信にせまる。
「……とぼけないで。その能力は『凝固』なんでしょ」
「ううん、氷だよ」
確かに氷でも一時的に人の動きを制限できるだろう。しかし氷の影響をわずかでも感じさせないなんて無理があるのだ。デュアがそれを指摘して本当の事を聞き出そうとしていた。
「ウソつかないで」
信じてほしい、信じてもらえないという経験をクイは何度経験してきたかはわからない。だけど、クイにボクを信じてほしいオーラを出されても信用には足りない。
「ウソ? ボクが嘘をつくわけがないじゃんこの目を見てよ」
確かにウソを付く必要はない、しかし――
…………………………
(う~~ん、ウソだろうな。無邪気な部分があってもどこか曇っているとかそんな印象)
まだお子様年齢な魔族なら答えるかもしれない。クイに能力についてを断言口調で聞いたらポロッと本音を言ってしまうかもしれないし。そう考えていたデュアの思い通りになった。
「じゃああなたの能力は特殊な『氷』だと思っていいのね?」
「ち……違うよ!! ボクの能力は『凝固』だよ!!」
うふふといった感じの微小なほほ笑みで
「あら、バラしちゃったわね」




