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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
61/112

魔族幹部達の次なる刺客って? 3 挿絵あり

 なかなか次の魔族幹部を出すのに焦らしてしまっていますね。


後、もう少しだけかかります。クイ登場に^^;

                 ◇


 今の時間だけは2人きりでゆっくりしたい気分で散歩に出かけている。なので特にトムはこれから先の事は一時的に棚上げしている。

「――ねぇ? いつまで歩くつもり?」

 デュアに問われて考えなしに景色の良い方へと歩いていたトム。おマヌケな感想をもらした。

「へ……? どこだ……ここ?」

 どうしようもないトムの言動にデュアが不満そうにしている。

「こっちが聞きたいわよ」

 デュアの表情が怒りに変わりそうだったので、気を紛らわしてもらおうと今いる場所について話しだした。

「ま、いーじゃねーか。ここは良い景色だぜ」


 脳天気なんだからと思いながらも――

「ほんとね。きっと町の近くの丘なんだわ。そんな斜面を登っていた感覚がなかったけど。ゆるい坂だったみたいね……」

 大した高さじゃないけど、現在拠点にしている町が見渡せた。そうなると不思議と自然の恩恵を感じられる気がするというものだ。

「空気もきれいでうまいね」

 そういったトムが空気を吸い込むかのような動き。気持ちよさそうに両手を広げてのびをした。


「散歩っていうよりこれじゃハイキングっぽくない?」

 デュアの考え通りだと思わず吹き出し笑いをしてしまうトム。

「でも俺、どこから来たかわかんねーかも」

 も~~っ、何さわやかに迷子になりそうで怖い宣言してんのよ仕方ないわねという表情。呆れながらも用意をしっかりしていたデュアが道に迷った時用のアイテムをアイテム袋から取り出す。


「でも大丈夫よ。ほらっ、アイテムに『糸でんわ』と『コイコイ手』があるでしょ? 非常時にって思って糸でんわを持ってきてるから」

 こんな状況で使用するなんて思わなかったけどと思うデュア。敵襲とか自分達だけでどうにも出来なさそうな時に双子ちゃんを呼べるように持ってきたのに情けないとしょんぼりしていた。

「おーし、グレイにメイ? 聞こえるかー?」

 糸でんわ――特殊な回線みたいに1キロくらいならつながるという原理の難しい不思議アイテム。言うまでもなく、現実世界の糸電話と使い勝手が全く違う代物。

「OK。聞こえるよ~ん」


挿絵(By みてみん)



 メイの明るい声は不安な気持ちを緩和してくれる。トムはデュアに糸でんわを渡した。

「わ、悪いんだけどさ『コイコイ手』を操作して俺達を宿屋まで誘導してくれない?」

「あれま。デュアに電話交代した。まっ、いーけど。テレポート使った方が楽じゃない?」

 もっとも簡単な意見を提案されたデュアだったが、そのメイの意見を却下する。

「いつどこで何が起こるか今でもわからないこの世界。無駄なMPを使わない方が良いと思うのよね」

「うん、わかった。じゃあせっかく購入したんだもんね。そのアイテムを使うよ」



「グレイ」

 妹に呼ばれてグレイが起きあがる。

「ん?」

 コイコイ手の片方をアイテム袋からグレイが取り出し始めた。

「あれ=『コイコイ手』でここに誘導してあげて」

 仲間とはぐれた時はこのアイテムを使おう、このアイテムとリンクした『コイコイ手』を持っている仲間だけを呼び寄せることが出来るぞといううたい文句の便利アイテムである。


OK! 任しとけよ! グレイがアイテムを起動するとアイテムに登録されている声が流れる。

ほーら、コイコイ。こっちゃコイ

「わわっ、何だ勝手に足が……」

「これが『コイコイ手』効果なのね」

 自分の足で歩いているわけでなく、何かに引き寄せられているかのような感覚で足が自然と町の方へ向かっているのがわかるデュア達。

 コーイ、コイコイ。こっちゃコーーーーーーーーーーーーーイ!!


「わわわっ、な……なんかまたっていうか速くなってきた」

「おぉーい、デュア。大丈夫かー??」

 自分も引っ張られている感じを味わいながらもトムはデュアの心配をしている。

「なんとかね~~~~~~」

 デュアもあせりながら返事を返した。

「こら~~っ、お前ら遊んでんだろーー」

 メイ達が操作して遊べる機能があったのか、アイテム特有の通常機能だかわかりづらいタイミングでスピードが弱まってくる。


結構いい陽気なので体が水分を欲しがっているのを気づく。アイテム袋から水筒を取り出し


喉の渇きを潤すように一気にトムが飲み干してしまう。

「あ~~、うまかった。生き返ったぜ~~~~~~」

 トムだけが喉を渇かさせていたわけではない。自分も欲しかったのにとデュアがトムにイライラした口調で訴えかけていた。

「も~~~~っ、トムったら全部飲んじゃった!! バカぁっ!!」

「大丈夫よデュア。こんな事もあろうかと少し余分にもらってきたから」

「よかった」

 水が欲しい気持ちが高まってしまったデュアにとってメイがまるで救いの女神のようだった。デュアからすごい感謝の気持ちを込めて見つめられるメイは恐縮してしまうくらいだが、水筒に水をついで渡した。渇きを潤すのにゆっくりと飲み干す。


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