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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
60/112

魔族幹部達の次なる刺客って! 2(挿絵あり)

「ん?」

 何を言っているかまでは不明だが、デュアには声が聞こえた気がした。

「どうしたんだ? デュア」

「なんか今、私を噂する声が聞こえたような……」

 町のお店もちらほらしか開いていないので、結構人の話し声すら聞こえる朝の宿屋前。気のせいだろうとトムが何気なく答える。

「そうか? 俺には聞こえなかったけど? 疲れてるんじゃね―のか。もう少し寝たらどうだ?」

 二人っきりの時間を大切にしたいデュアが訴えた。


「いやだもん。久しぶりに2人でいられているんだから」

 そういう事にうといトムが勘違いで見当違いの事を言いながら笑っている。

「二人? ハハハ、いやだなぁデュアってば。2人じゃないじゃん。メイもグレイもいるんだからよ」

 全然わかってないとデュアはトムの頭にゲンコツを食らわせる。何でそうされたかいまいち理解できていないトムが痛みに頭を押さえた。

デュアが少し頬をふくらませてトムを「無神経!!」と思う。

「何だよ、デュア。殴ることねーじゃねーか~」

「全くトムはロマンのかけらもないんだから」


 不満たらたらなデュアだが、トムのどうしようもない一言に呆れて等分気付きそうにないわねと諦めた。

「だって俺、ロマンチストじゃねーもん」

 ハァ……とタメ息をついて――

「そうね!」と肯定する。

 この雰囲気はご機嫌斜めになっちまっていそうだとトムは感じ取った。

(ありゃりゃ、やべえなコレ。機嫌を損なっちまったみてーだ。よしっ! こうなったらアレでいくか!)

「少し散歩でもしねえか?」

 いくら長袖パジャマが普通の服装に近いとはいえ、やはりデュアはためらってしまう。


「パジャマのままで?」

 妙に変な空気になってほんの一瞬でも時間が止まってしまったかもしれない。ハッ! はずしちまったァ~~ぁぁぁ~~俺のバカバカーーッとトムが自分を責めている。そんなお馬鹿なところのあるトムをデュアは懐かしいバカさ加減と思ったのか少し笑った。

「クスクス。トムったらおとぼけね」

顔を赤くしてトムはうろたえる。

「悪かったな!」

 トムがあまり見たことのないデュアの可愛らしい笑顔にほうけていると……

「今、着替えてくるから出て行って」

 そんな笑顔でドギマギさせておいてそれはひどいだろと心中で思ったトムだったが、出て行かないと嫌われるだろうしそれはごめんなので部屋の外に出た。


 デュアは着替えの前に一息ついた。

ふう……

そしてペンダントを見つめ

「パパ、ママ。おはよう」

 そしてパジャマを脱ぎ始めたデュアは自分の胸を見て……

「はぁ~~~~あたしって胸がまだ未熟よねーっ。トムにもんでもらおうかしら? そんな冗談言ったらトム、すごく困ったような顔をするんだろ~な~。うーん、でもきっとダメね。反射的に手を出しちゃいそうだし」

 くだらない考えを思い浮かべてても仕方ないかと自重して着替えを終える。


「いーよ~っ。トムッ。入って良いよ」

「おうっ」

 許可が出たのでドアを開けたトム。いつもの冒険者用装備を軽量化しているので新鮮である。

「おっ、久しぶりに普通の格好したな。うん、感心感心」

 最低限の防具は服に隠れて見えていないが、トムも上着に長袖Tシャツ・ズボンという出で立ちに着替えてきていた。

「何が感心なのよ?」

 そこの話を広げる必要ないとトムが話を打ち切る。


「いやっ、別に深い意味はないから気にするこたねーよ」

「そ? だったらいいけど……」

 さりげなく手をデュアの方へ差し出しているトム。デュアはそれに応じてしっかりと手をつなぐように握る。自然と笑みがこぼれた2人はトムが先導してデュアも嬉しそうにしていた。

「じゃ、行こうか」

「うん!」


 いい雰囲気を邪魔しないようにこっそりと目が冷めていたグレイとメイが温かい目で気付かれないよう見つめている。

「進歩したな、あの2人」

「クスッ。そうね」

 少しでも好きという気持ちが前進したかと考えて、メイも微笑ましい気持ちになった。


挿絵(By みてみん)


いつもより文字数少なめかもしれない。。


今年の更新はここまで。次は正月三ヶ日のどこか予定

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