次の目的地は? 2
この作品について ↓
今回の話で久しぶりに『適応能力』について掲載しました。
数値化を嫌う人も多いようですが、この作品特有の数値にしたいと思っております。
大変でした……良かったら読んで下さい
「ねぇ、大事なことを聞き忘れていたんだけどさ、まだヴァルマーのところへ行っちゃダメ?」
精霊リリィが思案したかと思ったら、存外に軽い口調で行っても大丈夫だろうと太鼓判を推す。
「ん~~~~、そうですね。そろそろ良い頃でしょう。デュアを救いなさい」
まだ経験が足りないと言われるだろうと身構えていたのだが、その事実にメイが確認し直さずにはいられなかった。
「え!? もうそんなレベルになったの!? レベルより大切な物があると聞いた気もしたんだけどな」
「あら? 気づいていなかったんですか。もう皆さんレベル20以上ですよ」
そんな感じを覚えていないトムがリリィの意見に異を唱える。
「はぁ~? ウソだろ?」
大仰に驚いた評定をする精霊リリィが私を信じて下さい的オーラが凄いので、トムは少し疑わしく思っただけだってと謝罪した。
「まー、トム。私の言う事が信じられないというのですか」
「……いや、そういうことじゃ……」
歯切れの悪いトムの言い分にツッコミを入れまくろうとするリリィ。
「そういう事ってどういう事ですか!? トム」
レベルが上がっているとしたら、覚える事や強さを実感できる何かがあってしかるべきなんじゃないかとトムは思うのだ。その疑問をぶつける。
「だってよー、レベルが上がったっていう感覚がないんだもんよー。それに技も全然覚えていないような気がするんだ」
「は? 何を言っているんですか。しっかり覚えていますよ皆さん」
リリィに言われて、グレイもレベルが上った感じがしなかったし、戦闘経験がそんなにない割にレベルが数レベル上がった事を不思議に思ってリリィに尋ねた。
「え!? じゃあ僕も? というかさ、ど~~して急にレベルが上がったんだろ」
そこでリリィから想像の範囲外の事実を告げられる。
「あなた達、あの人に感謝しなければいけませんね」
該当する人物が思い浮かばなかったメイが質問した。
「あの人ってゆーと??」
トムにはまさかあいつが……という魔族が思い浮かんだらしく、悔しさからか体を震わせる。
「あいつかぁ~!!? あ~、考えるだけでムカムカするぜ」
トムにとっては自分に対する怒りがあるのでなかなか気持ちを抑えるタイミングが難しかったが、精霊リリィが上手くトムの怒りが少しでも落ち着いた頃合いを見計らって事実のみを3人に話す。
「こ……これこれあなた達、あのアイラさんという方はわざわざ経験値を置いていってくれたのですよ」
トムとメイが双子ちゃんらしく、思っているであろうことを共有しあっていた。
(「達」って僕らも入っているのかな?)
(そうみたい)
メイには、あの謎の魔族幹部がそういう真似をしていった理由がわからない。
「何でそんな事……」
「いわゆる良い人なんですよ。アイラさんは……」
魔族に良い悪いという感情がわかるのかなという3人の疑惑はともかくとして、実際してもらった事実なのだから悔しい思いを糧にしてでも受け取って置くしかないのである。
「女の癖に乱暴なアイツが……」
捉えようによっては女性差別に取られかねないことをつぶやくトム。そんなトムを気遣う素振りを見せながらも、仕事として精霊リリィが次の目的の指針を3人に伝えた。
「ま、とにかく皆さん。デュアの救出をしてくださいね」
「おう!!」
気を取り直して、意気込むトムを精霊リリィが応援する。
「そう! その心意気です! 頑張ってください!」
召喚に応えてくれたリリィにお礼を言って、メイが中心となって手を振って見送った。
「ありがとねー、リリィ。役に立ったわ」
「また呼んでくださいね。それではДо свидания. До свидания《ダスヴィダーニャ》」
急に異国語で別れの挨拶をしてくるのでトムは戸惑う。
「何語を話してんだ、あいつ……」
その問いにグレイが答えた。
「ロシア語で<さようなら>って言っているんだよ」
「ふーん」
トム レベル 22 HP160 適応能力 25→42 かしこさ 67
適応能力大幅アップの理由は、まず勝てない相手を前にしても戦士の本分を果たしてどうにか活路をわずかでも増やそうとしていたから
メイ レベル 22 HP114 適応能力 30→37 かしこさ 115
適応能力アップ理由は、召喚で間接的に援護をしようとしたのが結構早い段階だったから
グレイ レベル 22 HP138 適応能力 33→35 かしこさ 108
あのイベントバトル中、全く目立っていなかった彼だが実はメイの詠唱を邪魔されないようにアイラの一挙手一投足に集中していたのだ
※レベル上昇と共に、HPやかしこさも上がっていますが、一番重要な適応能力の上昇値のみをわかりやすくしてみました。




