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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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謎の女性の企み 2

「やっぱうまかね!」

 グレイが微妙に呆れた感じで妹に聞いた。

「お前な~~、何語をしゃべってんだよ」

「方言のつもりはないよ。メイ語っ!」

 変なことを言うので男二人はギャグのようにこけてしまった。起き上がってトムが一言。

「くっ、くだらね~~。まったくどうしようもない程くだらないな」

 メイが機嫌を損ねた感じを装って、宿泊している部屋に戻っていこうとする。「まっ……待てよ」と慌てて二人が後を追う。


そして部屋の中でまたも三人で予定を立てるつもりだ。

「んん~~っ、食事したら心地よい眠気に襲われてるわ。おやすみ」

 眠くなる気持ちはとても良くわかるのだが、トムがメイを起こしついでに確認した。

「コラ~~ッ、寝んなっ。聞きたいことがあんだよ!! なぁ、グレイ」

 首を縦に振ってグレイが肯定する。

「改めてデュアの事についてなんだけど……」

「なーに、そのことぉ? 前に言ったよねぇ」

 

 グレイが聞きたいのは、また別の事である。

「前に言った事じゃなくてさーっ!! 僕が聞こうとしているのは……っ」

 いちいち細かいことを言われそうなのでメイはしぶった。

「何なのよ」

 話が進まないので、トムが口をはさむ。

「人の話は最後まで聞けっ。その後で判断しようぜ?」

 メイが「わかったわよ」と言いつつも、ぐうたらしていた。


 自分の考えを話そうとするグレイ。メイの態度はいつもの事と諦めて話をきり出す。

「メイはテレポーテーションが出来るだろ? だからさ、僕はアイツの所に奇襲をかけられると思うんだよ」

 聞いているんだかいないんだか、いまいちつかめないメイがひらめきが思いついたような表情で――

「そうよねっ、それもそうだわ。あ~~っもおっ、どうしてすぐに思いつかなかったのかしら。ううっ、きっと感情が高ぶりすぎていたせいね」

 トムもその考えには行き着いていたようだが、言わなかっただけだったみたいである。

「俺もその事が聞きたかったんだよな~」

「そうと決まったらもう行っちゃお! テレポ―……」


グレイは黙ってメイの足を引っ掛けてテレポーテーションを阻止する。急にそんな事をされたメイがお尻から転ばされて、痛い思い=尻もちをついた。

「んもぉっ!! 何すんのよ。痛いじゃない」

「バカッ!」

 そんなことをされれば、メイがしかめっ面で苦情を言うのは道理だ。しかし、考えなしに行ってアイツに負ければそれで終わりなんだぞとグレイがたしなめる。

「バカとは何よっ!!」

「お前ね~っ。今のままでアイツに勝てるとでも思ってるのか!?」

 うっ……と、メイは言葉をつまらせた。

「思えないわよっ!! だけど……だけど……奇跡を起こし得るくらい私達が一致団結すればあるいは!」


 メイの気持ちは痛いほどよく分かる。だが、男2人は魔族の約束なんて期待しない方が良いとは理解している上でそれでも回り道の修練の道を選択する。メイもそれに従った。

「おいっ、お前ら。ケンカしてらんねーよな。憎きヴィアンを倒してやろーじゃねーか!? その為には強くなるのが必要不可欠! そうと決まれば行くぞ。魔物退治だ」

 トムに続いてグレイもやる気を出す。

「よぉっし! 行こうっ」

 外《フィ―ルド》に出た所でメイが物騒な事を言い出した。


「早速なにか出てこないかナ~っ。そしたら命を奪って私達の糧にしてあげるから~」

「メイ……お前ねぇ、も少し慈悲の心を感じながらにしようよ」

「あ~ら、お兄さん。なして魔物に慈悲の心を持たないかんの? この世界で苦しんでいる人の代わりに倒せる力があるし、あたしらもこの異世界で苦しい思いをしてるのに……」

 方言のようでそうでない支離滅裂なメイの言い草に、グレイは彼女の頭にゲンコツを食らわせる。

「痛ったぁぁ~~いぃ!! タンコブが出来たぁっ。ちょっとおフザケ半分だったけどさ~」

 冗談が過ぎると男二人は思う。その後、草原の方から魔物っぽい影を感知した。


「コッコーだ!」

普通のニワトリより1.5倍くらい大きくて凶暴な魔物である。しかし、攻撃パターンのつつくをかわせるのであれば、特に強くない魔物なのだ。

「な~んだ、雑魚だな」

 まだ原理としてはリリィの加護ということしかわかっていない(それ以上の意味があるのかないのかもしれないけど)炎の力をトムが顕現する。剣に炎をまとわせて、一刀両断に焼き払った。


 魔物の弱点をつく。トムの適応能力が25→26にアップ


「あ~あ、もっと経験値が多くて骨のある魔物は出てこないもんかね」

 そんなことをトムが小声でぼやいていると、空中から鳥の魔物が急襲してくる。

「うわっ!? なんだ!?」

 急襲を運良く避けられたトムは驚きを隠せない。グレイはこの地域では滅多に出てこないけど、作戦次第でどうにかなる魔物かともう一度見た。

「まさか……サンダーイーグルか!?」

 鳥の体に電気が帯びているので間違いなさそうである。そいつがトム達を標的として狩ろうとしてくるのが伝わってくる。

「これは大物ねっ! 召喚、ロックファイヤー」

 術を素早く紡いだメイの召喚に応じるかのように空から火の粉が降り注いできていると思ったら、小隕石らしき物体Xが現れてサンダーイーグルの全身を潰して燃やすという二段攻撃になった。


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