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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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デュア救出のために出来る事 2

「あ!! そういえばデュアはどうしてた?」

 本題に移ろうとしたのか、トムがメイの耳の近くで大きめの声で聞いた。

「なっ、なによ。トムったら急に言ってきたりして」

 そんな近くで尋ねてこなくても、ちゃんと話すわよとメイは「耳がキーンとしたわ」とトムに文句をつける。

「それに関してはすまねえって~~、教えてくれよ」

(さっきまでケンカしてたなんて、この二人は忘れているんだろうな)

 グレイは、トムとメイに似た者同士の何かがある気がしていた。トムに尋ねられたそのすぐ後で、メイが見てきたことを全て語ることにした。


「じゃあ話すわよ。耳をかっぽじって良く聞いてよね」

 これからにつながる重要なことが聞けるかもしれないとトム、グレイ2人して同じ行動。生唾を飲み込む。

「あたしがヴィアンのところに行った時はデュアは寝ていたわ。んで~、私が騒いだから起きちゃって――」

 状況が想定しにくいので、トムがまとめてくれるように頼んだ。

「タンマタンマ! もうちょっと簡単に教えてくれねえか」

「~~わかったわよ。とにかく無事だってことは間違いないわ」

なんだか呆けているトムに確認。

「ちょっとぉ、聞いてるぅ!?」

 疑うような強い口調で聞かれた2人はかしこまってしまう。

「は、はい~~~~っっ」

「それでね、しばらくバカ(=ヴィアン)と話したのよ」

 敵の幹部と話す事なんかあるのかと、トムが身を乗り出した。

「そ……それで!?」

「あたしたちは軽ぅーーい友情ドラマをしちゃったの……」


 何でそうなったという表情をしながらも、二人はメイの話の腰を折らないようにしてその後の状況を聞くために急かす。

「それで?」

いちいち話が遮られたと感じているメイが怒りだした。

「もーー、いちいち割り込んでこないでよ!!」

 メイの剣幕に勝てないグレイは、毎度のごとく謝罪を口にしてしまう。

「ご……ごめん」

 メイが咳払いを一つして、またさっきの続きから語りはじめたと思ったらすぐに終わらせた。

「気を取り直して話の続き行くよ? まぁ、とにかく無事は確認できたの。それでね私はね……すぐ帰らせられちゃった」


トムとグレイが拍子抜けしてずっこける。

「全っ然 簡潔じゃないよ~~!!」

「さっきの方がまだわかりやすかったかもしれねえ」

 機嫌を損なったメイは、これ以上話す気がなくなってしまったようであった。

「だって……あたし説明とか苦手なんだもん」

 グレイが「そーだったよ」と肩を落とす。

「ま、まぁ。無事だったのはまだ良い情報だよ」

 自分のお手柄でこの事がわかったんだからと、メイがふんぞりかえった。

「あたしが行ったからわかった事なんだから」

 トムが「あっそう」と興味のなさそうな表情をして、

「説明がちんぷんかんぷんでわかりづらくて仕方なかったっつーの!」


 悪かったわねという感じでメイが舌を出した。そんな状況を見ていてグレイは、ため息をついてまた険悪なムードになりそうと危惧。なので話を違う方向に持って行こうとする。

「ね、ねぇ! デュアを救うために結果的に早い方法は戦うしかないと思うんだ! とにかくいろいろと考えられるようにならないと勝てないよ。レベル上げしなきゃ」

 トムとメイが、じと~っとグレイをそういう目で見ながらもそれには賛同した。

「そーだな! ストレス発散にもなりそうだ」

 グレイはアイコンタクトだけでメイの解答を待つ。


「そうねっ、久しぶりに暴れちゃお!」

 そうと決まれば、戦士だからかトムは燃えてくるようである。誰よりも早くフィールドに向かって走りだした。

「おっし~~! 決まったんなら行こうぜ。腕がなまっちまう」

 そして彼らは町の周囲にいる魔物討伐に精を出し始めた。しばらくすると、植物系の魔物が1匹現れる。

「んぎゃっ、豆の魔物っ! やぁだ~~」

メイがそんな反応しているのは豆が好きじゃないからだろう。

「敵に選り好みしてる場合じゃねえよ? 一気に勝負をつけちまえばいいんだ」

 メイが豆が魔物化した敵を気味悪がっていると、トムが敵が気付いていないうちに炎をまとわせた剣を構えた。


「だりゃああ」

 鋭い切れ味が豆型魔物を襲った。倒したと思ったトムが決め台詞を言いかけたが――

「ふ……キマっ……」

 しかもカッコつけた表情までしていたものだから、豆型魔物が起き上がってきたのが恥ずかしくて仕方がない。

「何ぃぃぃ~~。オレの剣で倒しきれなかった……やるな、マメッ」

 その恥ずかしさから逃れるためにトムは豆型魔物の健闘を称えるのだが、メイに意地の悪い表情で馬鹿にされてしまった。


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