表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
38/112

デュア救出のためにすべき事 1

 しばらくメイが戻ってこないので男2人(トム、グレイ)は心配で仕方がない。

「む――――っ、メイのやつは何やってんだ! おっせーなっ」

 自分以上にトムが気をもんでいるので、グレイは空笑いしてしまった。

「ハハッ……」

 それを不謹慎に感じたトムが怒る。

「笑っている場合じゃねーだろ。ちくしょ~~」

 そんな折、白い霧が晴れてメイが宿屋に直接テレポートしてきた。


 心配していた事を伝えるためにも、トムがメイに問う。

「ばっきゃろー!! なーにやってたんだ」

「なに……ってデュアの様子を見に行けって言われたから言ってきたんだろうが!」

 トムがつい悪口な感じにメイに怒りをぶつけてしまったので、彼女も応戦する。グレイはメイの言葉が粗暴になっていたのでいらない癖が出てしまっていると頭を抱える。トムとメイは何だかまだぎゃーすかぴーすかと喧嘩けんかをしていた。

(あぁー。メイの悪いクセな男言葉が腹を立てると出るってやつが)

 そんな二人の仲裁にグレイはどうにか入ろうとする。


「……んだよ(なによ)っ!!」

 グレイは鬼のような目を二人に向けられる。これではお手上げだった。

(は~~、もう僕の手に負えそうもないや。あーあ、しゃーないな……気が済むまでやらせておいた方がいいかも)

 相手にしてられないとグレイが諦めたので、まだ二人の喧嘩が続きがあり、宿屋の外に出てとうとう技を使うまでに……

「あーもうっ。このわからずや!! いでよ、ウォーターアロー!」

 技を出されたのでは、トムも黙ってはいない。

「やるかー!? くのやろ~炎剣ファイヤーソード


 さすがにそこまではしないと踏んでいたグレイだったが、技を使用してまで黙らせようとしている二人を何とかなだめすしかないと頭の痛い思いを感じながら止めに入るしかないと間に入ろうとした。

(ハァ……二人ともそこまでしちゃうのか……全く)

 そしてグレイが、二人の行動の浅はかさを指摘する。

「もーっ、二人ともっ。何をやっているんだよ!! デュアを助けに行こうって考えなきゃいけない時に」

 二人ともハッとした表情でそのことに気づき

「……そーだった……」


「ホラッ! 二人とも気付いたんなら部屋に戻って作戦会議だよ」

「おっ、おう」

「うん」

 二人にやるべきことを再確認させたグレイが、どこか近くで何者かの気配を感じた気がする。しかし、今そんなことを考えていても意味があると思えないので気のせいだと自分に言い聞かせた。

「どうしたの? グレイ」

「い……いや何でもないよ、戻ろうか」

 グレイ達が宿屋に戻った後、気配を抑えていた謎の人物がグレイのことを評価する。



(アタイの視線に気づくだなんて……あのボーヤ、油断出来ないわね)

「なんだよー、グレイ。なんかあったのか?」

 取り越し苦労の可能性の方が高い気がするのでグレイはトムの疑問もごまかした。

「! な……なにも」

「そっか。ならいいけどよ」

 先に行っていたメイがすぐに来ない二人に「何やってんのよ早くー!」と急かしてくる。

「今、いくぜー」

 用心するに越したことはないかなと考えるグレイであった。


 宿の中の部屋に戻って来たトム達。

「なぁー、グレイっ。さっきのことだけど本当に何にもないんだな?」

 今の状況なのでトムもいつもより気を張り詰めているのかもしれない。いつもなら彼が気にすることのないことを訊いてくるのでグレイはちょっとビクっとした。

「べ……べつに」

「あー、ウソついてる~~」

 メイが確信しているかのような口調でグレイの嘘を見抜く。

「! な……何を根拠にそんな事を言うのさ……」

「バッカねえっ。それぐらい一緒に育ってきたんだからわかっちゃうわよ。双子なんだから」

 あはは……。グレイは力が抜けて空笑いしてしまった。


「って笑っている場合と違うだろー! さっきごまかそうとしたりするなよっ。教えてくれよな、水くさいぞ」

 トムに言われたことで、グレイは苦笑いしながらもしばし沈黙。それから話す。

「……なんか値踏みしているかのような人の気配っぽいものを感じたんだけど、二人とも気づいてなかったみたいだし勘違いかなと思ってね」

 気配というところにトムとメイが顔を見あわせた。

「いや……別に感じなかったよな?」

「うん」

 やはり勘違いだったのかと思って、何故か手を拳形にして「そっか」と納得した表情を作る。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ