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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
新幹部 現る
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魔物退治再開 2

水の属性を持った矢に全身を膜で覆われ、ウオームは身動きが取れない。そこを鋭利な矢の様になった水が貫く。ウオーム退治成功!

「やったー! 水の弓矢はそういうことをすることもあるのね。まだ発展途上だから新しい発見」

 戦闘終了後に真っ先に反省するグレイ。それをメイは茶化すのを忘れたりしなかった。

「僕……ただ考えていただけで戦闘終了してたよ。ダメだな~っ」

「そうよー、グレイったら。戦略を練ってくれるのはいいけどだいたい終わってるんだから。パーティ攻撃に参加してよ」

 今回は戦士として不完全燃焼だったトムも自戒した。デュアがただ思ったことを口に出して、トムを挑発して彼の自尊心プライドを刺激しているが彼女にその自覚はない(どこか天然?)


「オレは一応参加してたって感じ。役に立てたって印象がねえから」

「ふふん、あたしが一番活躍したわね! 男の役立たずー、な~んちゃって」

 そこまで言われてはトムも黙ってはいられなかった。

「な……! んな言い方ねえだろ。ったくよ~」

 そして一歩先に歩いた所でまた魔物と遭遇した。桃色パンサーだ!

「またかよ~~続けて出ることねーじゃん。あっ、でもこいつ経験値の多いレアモンスター……」

 トムがすぐ出てくんなよ~とぼやく。しかし、魔物が何なのかを確認してやる気がアップした。

「こいつも牙があるぞ! 気をつけろ」

 一度やられた身で注意を促すグレイには説得力がある。

「グルル……」


 威嚇しているのは恐怖を感じているからだ。桃色パンサーは臆病な魔物なので、最初のうちはこうでも逃げ出すチャンスをうかがうに違いない。

「ひゃ~、気持ち悪い魔物の後は怖いの!? 気が抜けないよー」

 メイがまた臨戦態勢を整えなおしていた。

「グルオオオーー」

 桃色パンサーがトムに噛みつこうとしてきた。横からグレイが前の戦いでの汚名返上を誓って、桃色パンサーの牙を剣で受け止める。

「よし、今だ。僕……そんなに持たないよ」


桃色パンサーが奇襲を受け止められたことで、後ろに何度かバックステップし街道沿いにあるへいを使って逃走を図り始める。まるでカートゥーンアニメの『ピンクパンサー』が慎重にどうするかという感じで動いているのとほとんど同じ。今、魔物の外見を言うのは何だが、中国のそっくりだけど別ものですと無理やりごまかそうとしているような外見である。そんな大人の事情っぽい話はどうでもいいか。桃色パンサーが逃げるのが先か、デュアとメイが攻撃するのが先かという状況になった。

「うんっ、行くわよ。メイちゃんっ!」

「OK」

 デュアの鞭が桃色パンサーに絡まって、動きを制限される。


「グレイッ、よけて」

 鞭を装備したメイも後に続く。桃色パンサーは逃げ出したそうな動きをしているが、ほとんど動けない。メイの声を聞いて鞭をかわすと、そのムチが桃色パンサーを直撃! ひるんでいる隙に、デュアも連撃を決めた。

「ギャオオオ!」

 苦しんでいる桃色パンサーの様子を確認して、デュアは退治できそうだと確信した。トドメをさすのはトムかグレイの仕事である。

「やったかしら? うう……二人ムチ使いとして攻撃役を決めるとからまっちゃうことがあって大変なのよね~」

 桃色パンサーは逃走したそうだが、体力的に無理だった。


「グルル……」 もうダメだと気絶する桃色パンサー。

「今、楽にしてやるぜ。炎剣フレイムソード!」

 敵を消滅させないと経験値が入手できないので、トムが心を鬼にしてジャンプして上から桃色パンサーの背中に剣を突き立てる。

「グォォォォォ!!」

 桃色パンサーを倒すことに成功する。それは桃色パンサーの身体が光りに包まれて消滅したことでわかった。

神経を消耗した分、この魔物モンスターの経験値は高い。皆のレベルが4もアップした。


デュア レベル 15 HP94 適応能力36 かしこさ 85


トム   レベル 15 HP112 適応能力25 かしこさ 63


メイ   レベル 15 HP89 適応能力 30 かしこさ 81


グレイ  レベル 15 HP101 適応能力 33 かしこさ 90



「はぁ、はぁ……結構手強い相手だったな」

 トムが肩を上下させて息を整えていた。デュアはメイのムチとからまった部分をやっとのことで解く。

「ふーっ、やっと取れた」

 どうも体調がすぐれない感覚をグレイは感じたが、まだ平気だろうと自己判断して気合を入れ直す。

(ヤバ……僕……また、熱っぽくなってきたかもしれない……ゔゔ~ん、辛いな。だけど弱音を吐いてられないよ。頑張ろうっ!)

 まだやる気の強いトムが、敵討伐の士気をあげた。


「さぁ、もうひとがんばりすっかー!」

「おーっ!!」

 デュアにメイも異論はないようで、フィールドをしばらく散策するのだが、敵が出てこない。

「あれ~? っかしーぞ? 出てこねえー」

「なによーっ、モンスターったらあたし達に恐れをなして出てこないとか!」

 自分の実力はまだまだだと思っているトムが口を挟んだ。

「そんなわけねえって」



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